噴火にめげなかったF1メンバー
—かくてスペインGPは無事開かれる
各チームに、噴火の影響で、中国からの帰国がさぞ大変だっただろう、と打診した。返事があったチームのメールは、どれも悲壮感はなかった。”大きな影響はなく、スペインGPには問題が及ばない”というものだったが、中でも最高傑作は、トロ・ロッソの広報担当、エリック・シルバーマンからの返信だった。
「帰国は非常にイージーだったよ」という書き出しで、第二期ホンダF1時代の広報担当だったエリックは状況を伝えてきた。
「月曜日の夜、エミュレーツで上海からドバイに飛んで、ドバイからニースに移動した。で、ニースからカレー(ドーバー海峡に面したフランス)までレンタカーを運転し、そこでフェリーに乗ってドーバーを渡り、タクシーで家に戻った。予定よりたった1日遅れただけさ」。
さて、これは強がりなのか、ということになるが、西洋人、中でもF1関係者は、ポジティブ・シンキングが得意である、ということが見えてくる。たった1日の遅れ、と言っても、中東を回ってヨーロッパ・レンタカーで移動し、ドーバーを渡ってからタクシーと一口で言っても、それぞれの移動距離を考えると、決して同じことをやりたくない。
中国GPが終わった日曜日の夜、メディアセンターからホテルに向かうシャトルバスの中で、知り合いのイギリス人ジャーナリストに状況を訪ねると、「予約は取れた。ただし、5月4日のね!!」と答えるのを聞いて、そいつは大変、と答えたが、チームの関係者の多くは、「これで明日の朝、早起きの心配をしなくていいので今晩はたっぷり飲める!」と答えている。日本人なら、眉間にシワを寄せて悲壮感一杯になるところだが、そうした場面でもウィットを忘れていない。もしかするとこれがF1を勝ち抜く基本的な精神構造かもしれない。
F1の最高権威、バーニー・エクレストンは、「スペインGPは開催されるさ。みんなが困っている状況であることは確かだが、全員が家に帰れる方法を見つけられるだろう」とコメントしているが、その通りだった。見通しでは、バーニーさんが何枚も上だったいとうことだ。
ちなみに、各チームは、チャーター便を用意するなどして、週末には全員が本拠地や自宅に戻っているが、レッドブルのクリスチャン・ホーナーは、22日に送ったチームリリース(→)の中で、「マーク・ウェバーと一緒に行動して、多分一番早く帰宅できたと思ってバーニーに自慢の電話をしたら、 彼は3時間前にロンドンのオフィスにいた」。さすが!