桜井孝太郎、イギリスF3開幕戦に参戦
日本人最年少BMWスカラシップ・ドライバー、桜井孝太郎(16歳)が、イタリア、モンツア・サーキットで開催されたイギリスF3選手権開幕戦に、ハイテック・モータースポーツから参戦した。
レースの1週間前に、スネッタートン・サーキットで行なわれた最後の公式テストで、縁石に撥ね上げられクラッシュし、モノコックを全損させてしまったが、チームはなんとかマシンを用意しモンツア・サーキットに持ち込んだ。
土曜日の1時間のフリー走行が実質的なシェイクダウンという状況。45分を過ぎたことろでミッションにトラブルが発生した。予選ではセッション早々にタイヤ交換のためにピットインし、エンジンが再始動せず、最後尾からのスタートとなった。
土曜日の第1レースでは、スタートダッシュを決めて、21番グリッドから一時は8番手まで浮上するものの、2周目にセーフティ・カーが入った。レース再開直後の混乱の中、前車をオーバーテイクしようと右横にマシンを振ったその場所に、桜井のさらにアウトを狙ったマシンが並びかけ、後方からもう1台のマシンが続き、行き場を失った桜井は前車のリヤタイヤをヒット。宙に舞いながら裏返り、そのまま地面に激突し、ロールバーを地面に擦らせながら滑走してタイヤバリアに突っ込んだ。すぐに救急車でメディカルセンターに運ばれたが、幸い大きな外傷はなく、検査の結果、奇跡的にも身体に異常は無しと診断された。
レース後の事情聴取では、事故がレーシング・アクシデントと判断され、桜井にはペナルティが課されることはなかった。しかし、マシンの修復は不可能で、チームは日曜日に開催される第2戦、第3戦への出走を取り消すこととなった。
◆桜井孝太郎
「予選でのトラブルが結果的に大きかったですね。セルモーターが回らずコースに戻れなかった。決勝は、最後尾から上手くスタートを決め、2周の間に8台をパスし、全体の12番手まで上がってNクラスのトップを奪ったところまでは完璧でした。セーフティーカーが戻ったあと、トップを奪い返そうとしましたが、狭いモンツアで前後左右をふさがれて、行き場を失って接触してしまいました。空中に舞って裏返り、逆さまの状態で地面に落ちて頭の上から火花が散りながら滑走している時は、さすがにびっくりしました。でも本当に身体に怪我がなくて良かったです。接近戦でのアクシデントは起こり得ることだし、チームのミスでもありません。ヨーロッパのドライバーと戦ううえで、まだまだ未熟な部分があったこともわかりました。日曜日の第2、第3戦に出られなくて、ポイント争いで引き離されるのは悔しいですが、残りの27戦を全部勝ちにいけばいいと思うしかないです。いまは来週のレースのことを考えるだけです。せっかくマーク・ウェバーのように空を飛ぶ経験もし、彼の気持ちもわかったのですから、この経験を生かさないと(笑)。僕は負けたままで終わる気はありませんからね」。