オーストリアGPで喜んだ人/悲しんだ人
2連戦のイギリスGPを前に、波瀾万丈という言葉がこれほど相応しいレースはめったにお目にかかれなかったオーストリアGP。
観る者をドキドキさせた”事件”は、最後の最後まで筋書きを見せずに続いた。レースの1時間27分あまりの間の出来事で、喜んだ人と悲しんだ人がこんなに明確なこともめずらしい。熱戦がパワーサーキットのシルバーストンでも続くことを期待して。
☆喜んだ人
<ジェンソン・バトン>
まずは真先に。
当然、6位はジェンソン・バトンにとって、第四期(とホンダは言わないらしいが)ホンダF1最上位タイ。フェッテル+フェラーリが脱落したこともあったにしても、ちゃんと走ったという意味で、現状の位置として6位は悪くない。
もっとも、こんなところで喜んでいていいのか、という冷静な観方に対して、バトン自身もわかっているだろうが、現状の中では”上出来”。喜ぶ資格は充分とみた。
そして、迎えるイギリスは母国GP。信じられないことに、バトンはここで、表彰台に乗ったことがない。ということで雨乞いをしたくなった?!
★悲しんだ人
<フェルナンド・アロンソ>
レッドブル・リンクの週末にツキのないドライバーは何人もいた。縁石でサスペンションが壊れてクラッシュし、レースでも立ち往生したダニール・クビアトがその最たるサンプルだったが、アロンソも”まずまずの”ひどさだった。予選で、古いタイヤを履かされてビックリし、”まるで小学生みたいな間違い”と呆れ、レースでも、10番手走行中にリタイアを余儀なくされた。
「3〜4周目あたりからエンジンがちゃんと機能してくれなかったし、バッテリーの問題でパワーもロスしてたから、レース中ずっとリタイア寸前の状態だったよ」。アロンソのがっかりをよく表すコメントだ。
☆喜んだ人
<パスカル・ウェーレイン>
ある意味で、2016オーストリアGPの最高殊勲賞は彼かもしれない。殿(しんがり)チームから、マシンのアップデイトで一気に浮上した。今後も成長してきそうだが、マクラーレン・ホンダを抜かないようにお願いしておきたい。
マノーのレースを統括するデイブ・ライアンは、元マクラーレンの生え抜きとして、”彼がいるならチームは必ずトップに来る”と言われる切れ者。そのライアンが、”間違いなくトップチームになる”と自信のコメントを発した。
☆喜んだ人
<マックス・フェルスタッペン>
またまたやってくれました。今度も、キミ・ライコネンを押さえ込んで2位。18歳は表彰台であっけらかんと、どこまで伸びても伸びたらないご様子だった。
★悲しんだ人
<キミ・ライコネン>
「3位はいい結果だけど、この終り方にはちょっとガッカリしてる」
☆喜んだ人
<長谷川祐介(ホンダF1プロジェクト総責任)>
雨という味方もあったが、バクーとレッドブル・リンクで、確実な進化を遂げたマクラーレン・ホンダ。厳しい観方をする長谷川F1プロジェクト総責任も頬を緩めた。
★悲しんだ人
<トト・ウォルフ(メルセデス・チーム代表)>
メルセデスが最終ラップで同士討ちした瞬間に、モニター台を拳でドカンとたたいて悔しがった。さて、彼が腹立たしかったのは、何に対してだったのだろうか。
<番外編・驚いた人とビックリした人>
☆驚いた人
<ルイス・ハミルトン>
「ニコと接触して驚いた」
★ビックリした人
<ニコ・ロズベルグ>
「ルイスがイン側に向かって来てビックリした」
[STINGER]
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Ferrari S.p.A / FERRARI MEDIA
Red Bull Racing / Getty Images/Red Bull Content Pool
MERCEDES AMG PETRONAS Formula One Team
McLaren Honda/LAT Photographic