日本GPの余韻◆その3 —バトンの処遇の本当の意味—
ジェンソン・バトンは、今シーズンでF1ドライバーとしての活動に一区切りをつけることを9月上旬のイタリアGPで発表した。
ポジションが実に曖昧な形で、”リザーブドライバー”として2017年もマクラーレンに在籍することになった。リザーブドライバーとは、要するに2人のメインドライバーの補欠である。ワールドチャンオン経験者が補欠? 若干違和感があるが、ともかくバトンは引退せずに2017年もマクラーレンの一員である。

イタリアでの発表の直後は、”2018年にGPに復活するかもしれない”とコメントしていたが、鈴鹿のトークショーで”鈴鹿1000kmを走るかもしれない”とコメントしたり、会見で、”F1以外のレースに参加するかもしれない”とコメントして、不思議感を加速した。
いったいジェンソン・バトンは来年、どうするのだろう。
まず、なぜマクラーレンがバトンをリザーブにしたか。ひとつ考えられるのは、ジェンソン・バトンがチームにとっていい仕事をするドライバーだということだ。ルイス・ハミルトンとの3年間で、実はあのハミルトンよりマクラーレンに計上したポイントはバトンの方が多かった。そのドライバーが他のチーム、たとえば、フェリペ・マッサが抜ける古巣ウィリアムズに移籍されると、相手の戦力を増強させることになる。だからチームに縛りつけておく。
もうひとつの可能性は、フェルナンド・アロンソが、マシンの調子によってはシーズン開幕直前に他に移籍する可能性がゼロではない。その場合に備えて、リスクマネージメントとして確保しておくという考え方。

さらに、最近若干腕前に陰りが見え始めたフェルナンド・アロンソが、新加入のストフェル・ヴァンドーンに置いていかれることにでもなったら、これまたシーズン途中でサヨナラすることも考えられなくもない。
いずれにしても、バトンが奇妙な居すわり方をしたおかげで、シートがひとつ減ったことになり、押し出された若手もいる。ストフェル・ヴァンドーンの次に控えてマクラーレン・チームの一員になっている松下信治もその中の一人だ。
[STINGER]山口正己
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