イギリスGP 木曜記者会見 2/2
Q.フェルナンド、チームの中には、あなたが最近の2レースを獲れるという空気がありましたが、その勢いは失われてしまったのでしょうか? それとも、イギリスでも同じような活躍が可能だと思いますか?
アロンソ: 正直言って、ここの方が難しいと思う。サーキットの性格がカナダやバレンシアと違うから、やってみないと判らない。だけど、2回も不運な週末を経験したんだから、そろそろツキが戻ってくるころだろう。
Q.ルイスはここで特別なヘルメットを使いますね。先週は忙しそうだったので、レースに戻れて良かったのでは?
ハミルトン: 忙し
い1週間を過ごしたのは、僕もジェンソンも同じだよ。イギリスGPの前はいつもそうなんだ。地元のレースだから、その前にはいろいろなことがある。ヘル
メットについては、毎年2回、特別なレースがあるんだ。シルバーストンとモナコだけどね。モナコでも、いつもちょっと変ったことをする。去年もイギリスの
国旗をあしらったいつもと違うヘルメットを被っていた。今年はグレナダから親戚が駆けつけてくれるから、両方の旗をヘルメットに描くことにしたんだ。なか
なかカッコイイと思うよ。家族のルーツは西インド諸島なんだ。他にない物だから価値があるし、いずれチャリティ・オークションに出すかもしれない。
Q.ふたりとも、ここではブローン・ディフューザーを使うのですか? そうだとすると、効果はどんなものでしょう?
バトン: 前
回のレースからディフューザーとエキゾースト・システムが新しくなった。上手くいっている物もあれば、そうでもなくて時間がかかりそうな物もある。テスト
ができないから、よけいに難しいんだ。実際に使ってみて判断するしかないよ。取りつけてすぐに上手く働いてくれれば、もちろん最高なんだけど、たぶん慣れ
るまでに時間がかかるだろうし、セッティングも必要になるはずだ。そういうわけで、金曜と土曜は忙しくなるよ。だけど、いずれ強力な武器になると信じてい
るから、これも重要な作業なんだ。
Q.タイトルを争う関係なのに、本当に反目は起きないのですか?
ハミルトン: そういうことが起って欲しいと思うのは判るけど、残念ながらないね。上手くやっているよ。まぁ、芝居をしているようなもので、それは成功してるんじゃないかな。ジェンソンがジェームス・ボンドで、僕が敵役というわけだ。
バトン: 大事なのは協力し、チームとして強くなることなんだ。コース上ではもちろん戦うけれど、今は走っていないからね。早く走りたいよ。
Q.蒸し返して悪いのですが、マシンが宙を舞ったあのアクシデントの印象は強烈でした。自分で映像を見て、どう思いましたか? 走っているとき、あのことが頭をよぎったりしませんか?
ウェバー: 確
かに、あれは滅多にないことだった。飛んでいる時はどうなるか心配だったし、あのあたりに橋があったんじゃないかと、不安になった。確かめようにも、自分
ではどうしようもなかったしね。でも、僕は前にもクラッシュしたことがあるし、ドライバーはみんなそうだ。フェルナンドも、いつかブラジルで激しいやつを
経験している。トラブルやアクシデントは仕事の一部なんだ。だからといって、自信を失うことはないよ。
Q.ここはバルセロナと同じように、レッドブルが有利なサーキットですが、こういうコースで対抗する策はあるのでしょうか?
アロンソ: やっ
てみないと判らないね。バルセロナでは1秒近い差をつけられていたし、今回もフリー走行が始まる前の今は、レッドブルが明らかな優勝候補だ。でも、明日
走ってみて、マシンの感触がよければ、変ってくるだろう。ただし、これといった策はなくて、ただがんばってセッティングを進めるだけさ。コースが新しく
なったこともあって、明日はいつもより多く走り込むことになるだろう。そして、土曜に仕上がっているようにしないとね。
Q.オランダ人なので、日曜はワールドカップであなたたちのスペインと対決することになります。あなたが優勝して、スペインがワールドカップを獲るということはあると思いますか?
アロンソ: スペイン・チームはよくやっているので、チャンスはあると思うけれど、ここからでは何ともしようがない。僕は僕の仕事をして、あとはTVで試合を楽しむだけさ。
Q.このレースを前に、連絡をとりあったり、技術的な情報を交換するということはあったのでしょうか?
バトン: 今
週はファンのためのイベントがたくさんあってね。ふたりともシミュレーターに乗って、セッティングを進めてたから、その情報はすごく役に立つ。PRの仕事
をしていたから、いっしょに過ごすこともおおかった。地元のレースがあるときはいつも忙しいんだけど、それだけ顔を合わせる機会も増えるということだか
ら、リラックスしながらも、集中した状態でレースを迎えることができたよ。
ハミルトン: チームもその点、素晴らしい仕事をしてくれた。ああいう仕事は退屈で疲れる場合があるけれど、今回は楽しむことができたし、今日も、あれは何だったっけ?
バトン: ヴィーダブ・キャンパー。すごいバンだよ。
ハミルトン: そ
れに乗ったんだ。ウォーキングからここまで、50マイルの距離が、それだととてつもなく長くかかるんだ。でも、珍しい経験で、とても楽しかったね。チーム
はそうしたことに長けているし、ジェンソンが言ってたとおり、シミュレーターを使ったトレーニングも役に立っているよ。
Q.レース終盤にルイスの後ろを走っていて、セーフティ・カーで出た場合、前回のアロンソのようなことをチームに訊ねますか?
バトン: そういう状況になってみないと判らない。その時々でチームが判断することだから。
Q.ルイスと組んだことがありますが、イギリス人ふたりの関係を、どう思いますか?
アロンソ: とても良いんじゃないかな。
Q.あなたの時より良いということでしょうか?
アロンソ: 同じくらいだ。
Q.ハミルトンがセーフティ・カーの後ろで採った行動は、故意だったと思いますか?
アロンソ: バ
レンシアはもう終ったことだから、先の話をしたい。思うようにポイントが獲れなかったから、今回やるべきことははっきりしているよ。後半戦で、主なライバ
ルより30ポイント多く獲得しなければならないんだ。前半、あれだけトラブル続きでここまでやれているのだから、後半戦では十分に狙える目標だろう。
Q.これまでに優勝した5人のうち4人がここに顔を揃えています。後半戦を前に、今回はたいへん重要なレースになると思いますが?
アロンソ: ここと、そのあとの2レースほどは、非常に重要だろう。4週間で3レースあるから、7月だけで25ポイントがかかっているわけだ。ここでライバルより多くのポイントを稼ぐことは、すごく大事になってくるんだ。
ウェバー: レース毎に状況が変るという意味では、新しいポイントシステムはすごく興味深い。前回、フェルナンドはセーフティ・カーで問題を抱
え、ルイスはドライブスルーのペナルティを受けながら2位に入った。予選で苦しんだジェンソンが決勝では良いレースをした。僕はクラッシュし、セブ
(フェッテルの愛称)は完璧な週末を送った。こういう浮き沈みの激しい状況が最終戦まで続くだろう。アブダビまで、安定して最高の週末を過ごしたドライ
バーが優位に立つ。これからもマシントラブルやアクシデントやピット作業のミスなどで泣くレースがあるはずだけど、それがF1というもので、だからこそ大
勢の観客ガ集まってくれる。ここにいる全員に、大きなチャンスがあるはずさ。
バトン:まったくその通り。ひとつ加えるなら、新しいポイントシステムはとても良くできていて、安定した成績だけじゃなく、勝つことも重要という
点だ。1位と2位のポイント差が大きいから、それだけ優勝の価値が高く、皆が全力で戦う。マシンの改良についてもいろいろ言われるけれど、実際に走らせて
みるまで、自分たちがどの位置にいるのか判らない。F1の歴史をふり返っても、稀にみる激戦じゃないかな。今年は優勝したドライバーがたくさんいて、良い
レースも多い。こういう状況が長く続いて欲しいね。
ハミルトン: ああ、言いたいことを、全部言われてしまったよ。
Q.バレンシアのレース後、FIAはセーフティ・カーの規定を見直すべきだと言っていますが、それについて何か新しく聞いたことはありますか?
アロンソ: いや、特に何もない。今日ミーティングがあったそうだ。今日、5時半からエンジニアと話しあうから、そのとき何か判るかもしれない。
Q.バレンシアの事件ではとても興奮していましたが、今後、同じような状況になったときは、もう少し冷静に対処できると思いますか?
アロンソ: 先週も言ったとおり、冷静になったレースの翌日にウェブサイトで僕の言いたいことはすべて明らかにした。やるべきことははっきりしているんだ。この2レースは、非常に不運だったから、状況を把握して、後半戦に備えるだけさ。
Q.4〜5カ所に高い縁石があって、心配する声が聞かれますが、詳しく説明してもらえますか?
ウェバー: そ
の通り。ベケットの縁石は、特に問題だよ。見ている方はいいかもしれないけど、ドライバーは困る。高速コーナーにあの種の縁石を設ける必要性が判らない。
縁石の主な目的は、コーナーのイン側を守ることで、モンツァやカナダなどがそうだ。ニュルブルグリンクとバルセロナの最終シケインもそうだろう。5〜6速
で抜けるカーブに、そんなものは必要ないんだ。今夜の内にも再検討して欲しいね。マゴッツとベケットでは、多くのマシンがアクアプレーンでコントロールを
失っている。(ファン・パブロ・)モントーヤはそのせいで縁石に乗り上げ、サスペンションを傷めてしまった。そういう場合、できるだけスムーズな路面が好
ましいし、敢えて凹凸をつける必要はないんだ。どんな形で乗り上げても、トラブルの原因になるからね。低速コーナーは良いけれど、高速コーナーには必要な
いよ。二輪のライダーがどう感じたのか判らないけれど、たぶんそのためではないだろう。ああいう縁石は、ツーリング・カーやサルーンカー用なのかもしれな
い。二輪のライダーも、ああいう縁石に乗り上げたいとは思わないはずだ。