歓喜のハミルトンと失意のロズベルグ–アメリカGP決勝後コメント
何度もセーフティー・カーが入った荒れたレース。ハミルトンがレースをコントロールし、トップを奪って優勝、三度目のワールドチャンピオンを手にした。
対して、スタートに失敗したものの、その後見事な挽回を見せてほぼほぼ勝利を手中にしていたロズベルグだが、今シーズンの流れを象徴するようなミスで、チャンピオンシップだけでなく、勝利も失ってしまった。
ポディウムに上る前、ハミルトンにキャップを放り投げられ、ムッとした表情で投げ返したロズベルグ。
歓喜のルイス・ハミルトンと失意のニコ・ロズベルグのレース直後の声。
◆PRESS CONFERENCE
—-ルイス、おめでとう。アップダウンもあったけれど、最後まで諦めませんでしたね。子供の頃の夢を叶えることができましたか?
ルイス・ハミルトン(以下、ハミルトン):本当だね。素晴らしい瞬間だよ。言葉にすることは難しいよ。ここに座って思い出すのは、初めてイギリスで勝った時に、父親と”We are the Champions”を歌ってクルマを運転して家に帰ったんだ。今や僕は3度目のワールドチャンピオンだよ!凄いよね!
いつもサポートしてくれた父親、そして家族が僕を支えてくれたんだ。そして、世界中のファンからポジティブなエネルギーをもらってる。僕は本当にF1を楽しんでドライブしてる。
F1は若者を鼓舞するプラットフォームだよ。もし、今日、ここでの出来事から刺激を受けたなら、夢や希望を諦めずに続けて欲しいと思う。今日、僕は何度もレースを失ったと思ったんだ。僕は順位を下げて、ニコがセーフティーカーの間にピットに入って、本当に速かった。でも、僕は2位は嫌だったんだ。そして、僕たちはプッシュし続けた。ニコは素晴らしいレースをしたね。チームメイトとして、本当にリスペクトしてるよ。そして、とても謙虚に言うけど、今日、僕はセナと肩を並べたんだ。今日は本当に素晴らしい日だよ。
—-ニコ、荒れたレースでしたね。最初、スリックタイヤに履き替えた時、あなたはアドバンテージを持ってるように見えました。ピットストップの後、あのコンディションで素晴らしいパフォーマンスでしたし、レースをコントロールしていました。でも、一度のスリップがあなたの勝利を奪いました。そのこととスタートについて聞かせてください。
ニコ・ロズベルグ(以下、ロズベルグ):スタートはホイールスピンしたんだ。今までなかったよ。テストでもレースでもね。説明できないし、信じられないね。後で調べる必要がある。だけど、本当に、本当にタフな時間だよ。レースをリードしていたのに、勝利を失ったんだからね。とても良いフィーリングだったのに、最悪だよ。1コーナーはとてもアグレッシブだったね。僕が何か言うことがあるかい? 二度と見たくないよ、最悪だね。
何も言えないね。ものすごく、アグレッシブだったんだ。僕たちは互いにヒットしたし、ルイスが僕の方に来たからね。本当にいいことじゃないよ。それ以上、何も言えないよ。
◆From the Floor
—-ルイス、様々な感情があると思います。中途半端な午前中の予選、そしてここにいます。アメリカのファンがワールドチャンピオンを祝福していました。最終ラップはどんな気持ちでしたか?
ハミルトン:最後の15ラップから10ラップはタフだったよ。異常なレースだったよね。ニコととても接近したけど、僕はスタートをうまく決めた。意図的なところはなかったよ。僕たちはとても深く入ったけど、彼はアウトサイドでウエットだった。彼がターンして、僕はターンしてなかったから、接触してしまった。レースを通じて気持ちはアップ・ダウンしたね。一時はレースをリードしたけど、失ったりもした。僕は苦労したし、あちらこちらでスライドして、4位に落ちてしまったしね。そして、トラックはドライになった。本当にトリッキーなコンディションだったけど、最後の10ラップ、セーフティカーの後ろにいて思ったんだ。「OK、あと10ラップだ。このままワールドチャンピオンだ。どうすればいい?」って。僕はここ数年やってきたこと、学んできたことをすべて思い出していたんだ。すべてをね。決定的な瞬間だよ。そして、今だ!って。とても近づくことができたんだ。
デビューして9年、ここに座ってることはとても奇妙だよ。シーズンはまだ終わっていないしね。今シーズンがどんなに素晴らしかったか、チームがどんなにアメージングだったか、信じられないし、とても謙虚にそして興奮してるよ。次にどうするかは考えられないけど、ここを出て、カメラの前に立たなければならないことはわかってるよ。たくさんの人とハグして、レースの後には一杯飲まないとね。僕はこの人生、そして人々の祝福を楽しみ続けるよ。
—-ニコ、トラックを外れた時、クルマに何か悪いところを感じていましたか? レース後、感情が高ぶっていたと思います。でも、なぜ、ルイスに帽子を投げ返したのですか?
ロズベルグ:僕はクルマに何か悪いところがあったとは言っていないよ。僕のミスだよ。ホイールスピンしたのは、タイヤが冷えて、まだ適切な温度になっていなかったんだろうと思う。すごく奇妙な感じだよ、こんなことは一度もなかったのにね。本当に何だったのか、理解したいよ。(帽子を投げたのは)ただの遊びだよ。それだけさ。
—-あなたの位置は、2年間で2度目です。あなたは勝てるクルマに乗っていますが、何度もルイスにやられています。来年はどうしますか? どこからモチベーションを得ますか?
ロズベルグ:まだ、何も考えられないよ。今日はまだ失望だけさ。何を言えばいいんだい? 何が起きようとも、過去は変わらないからね。常に、フル・アタックして、プッシュするのが僕のやり方だよ。
【翻訳:Masataka Hoshi】
Photo by MERCEDES AMG PETRONAS Formula One Team / DAIMLER