イタリアGP 木曜記者会見
木曜日恒例の記者会見。今回はフェルナンド・アロンソ(フェラーリ)、ルーベンス・バリチェロ(ウィリアムズ)、ジェンソン・バトン(マクラーレン)、ヴィタントニオ・リウッツィ(フォース・インディア)、ヤルノ・トゥルーリ(ロータス)といった、イタリアに縁のあるドライバーたちが参加した。
Q.地元のレースに臨むわけですが、いかがでしょう?
ヤルノ・トゥルーリ(以下、トゥルーリ) モンツァの雰囲気は特別なんだ。地元のレースで、フェラーリを応援する大勢のティフォッシ(熱狂的なファン)が集まって、イタリア人ドライバーも応援してくれる。モータースポーツの聖地に、ロータスという伝統の名前を背負って帰ってきたから、感慨もひとしおさ。どこへ行ってもロータスのファンがいたから、ここでも昔からF1を見ていた人たちがどんな反応を見せるか楽しみだよ。
Q.ギヤボックスの問題は克服できたのでしょうか?
トゥルーリ: この2〜3戦で、信頼性は向上してきたけれど、油断はできない。何戦か、そのために失ったレースもあるからね。目標だったコンストラクター・ランキング10位というポジションをキープしているから、これからも全力をつくしたい。同じようにダウンフォースの小さいカナダの結果から、見通しは明るいはずさ。
Q.新チームがこれまでと違う空力セッティングにどう対処するかも興味がありますね?
トゥルーリ: 新チームはデータがないから、レースごとに戦闘力が変ってくるんだ。予測するのは難しいけれど、カナダの結果が、ダウンフォースの低さから見て、最も参考になりそうだね。
Q.F1300戦目のスパは、あまりいい結果になりませんでしたね?
ルーベンス・バリチェロ(以下、バリチェロ) 前回はなかなか楽しかった。ドライバーがみんな祝福してくれて、若い連中も、どうすればこんなに長くモチベーションを保てるのか、不思議がっていたよ。移動やプレッシャーが辛くて、レースをしている意味がわからなくなることもある。だけど、基本的には好きだからやっているんだ。木曜は楽しかったし、準備も万全だったけれど、高速のブランシュモンで、路面が濡れているのに気づかなかったんだ。問題はイン側にいて、(ニコ・)ロズベルグの進路を塞いでしまったことなんだ。時間を巻き戻してやりなおしたいくらいだよ。ああいうコンディションは得意だから、8位以内に入るチャンスはあったと思う。
Q.モンツァは3勝していますし、9年連続で完走し続けています。相性のいい場所なので
バリチェロ: 去年、ジェンソン(・バトン)と1〜2位を独占したし、フェラーリに乗って勝った時は最高だった。ここでは、いつも良いレースができるんだ。ストレートの対処方法とか、みんながいつもと違う仕様で走る。なかなか面白い週末になるんじゃないかな。
Q.終盤戦、ウィリアムズはどうなると思いますか?
バリチェロ: シンガポールには新しいパーツを持ち込むんだ。ウィリアムズに合いそうなコースだから、楽しみだね。つねに全力で取り組んでいるから、シーズン終了までに、ひとつレベルを上げたいね。イスタンブール以来、何度もQ3に進出しているから、さらに前を狙うことも可能なはずさ。
Q.リウッツィに) スパではいろいろなことを試していましたが?
ヴィタントニオ・リウッツィ(以下、リウッツィ) 開幕から抱えているトップスピード不足の問題があって、金曜から予選にかけては最悪だった。決勝ではすこく良くなっていたけれど、まだまだだったから、1ポイントでも獲れたのは上出来だったよ。
Q.去年、ここではマシンの状態も良かったわけですが?
リウッツィ: スパのあと、新しいパーツを組み込むから、さらに強くなっているだろう。トップ10入りは狙えるはずだから、明日からの走行が楽しみだよ。
Q.来年もチームに留まる可能性はありそうですか?
リウッツィ: チームとの関係は良好だから、気にしていないんだ。先のことより、目の前のレースに集中するようにしているよ。まずはチームがコンストラクター・ランキングで6位になれるよう頑張ること。来年のことを考えるのは、それからでも遅くないだろう。
Q.去年の成績は2位でしたが、今年はどうでしょう。
ジェンソン・バトン(以下、バトン) スパを見れば、ダウンフォースの小さい仕様で上手く走れることがわかると思う。優秀なマシンだから、ここでも期待できるよ。ぜひとも上位を争いたいね。
Q.去年はシーズン後半に苦労していましたが、今年はどうでしょう?
バトン: チームの状況が違うからね。マシンの状態も良くなっているし、好位置につけていると言えると思う。2回ほど不本意なレースがあったけれど、スパでは最速だった。マシンを改良したこともあったし、ダウンフォースが低かったこともプラスに働いたんだ。ああいう仕様が僕たちのマシンには合っているから、終盤戦の見通しは明るいよ。今回はもちろんそうだし、ダウンフォースの高いシンガポールでも、夏休み前から取り組んできた対策が効くはずさ。とにかく、モンツァはウチのマシンに向いたサーキットだから、恐れることは何もないんだ。
Q.タイトル争いでは(ルイス・)ハミルトンと(マーク・)ウェバーが少しリードを広げていますが、この先の見通しはどうでしょう?
バトン: 状況はめまぐるしく変るし、1レースでぜんぜん違ったものになる可能性もある。すぐに逆転するかもしれないんだ。
残り6戦のうち、前の二人が1回でも悪いレースをすれば、まったく変ってくるだろう。別にアクシデントやトラブルに見舞われるのを待つ必要さえない。肝心なのは、自分が残るレースに全力で取り組むことさ。
Q.フェルナンド、あなたはどうですか?
フェルナンド・アロンソ(以下、アロンソ) ジェンソンの言ったとおりだと思う。スパの前は混戦だったのが、たった1レースで違う状況になったからね。ということは、これからも一戦ごとに変ってくるわけさ。今年から導入された新しいポイント・システムが大きく影響している。これまで、タイトル争いをするのは二人か、せいぜい三人のドライバーだった。それが今年は5〜6人で争っているんだ。1勝すれば大きく浮上するし、逆もある。当面の目標は、残りの6戦を最高の状態で消化することなんだ。そうすれば、結果はついてくるだろう。
Q.今回、フェラーリはどうですか?
アロンソ: やれると思う。スパは思ったほど順調ではかったし、結果を残せなかった。その原因を分析して、対策も施しているから、モンツァでは良くなっているはずだよ。
Q.昨日、世界モータースポーツ評議会の判定が出ましたが、それについての感想は?
アロンソ: そんなことよりモンツァのレースに集中していた。FIAが出した結論を受け入れて、目の前のレースに全力で取り組むしかないよ。
Q.今回は逆転でタイトルを獲得する最後のチャンスになるのでしょうか?
アロンソ: 残りのレースが少なくなるほど、失敗が響いてくるんだ。今回とスパで、ポイント争いを有利に進める必要があるだろう。残りの6戦を、すべて表彰台に立って終えられれば、チャンスはあると信じている。ここもシンガポールも大事だけれど、あと1回、アクシデントやトラブルでポイントを獲れないレースがあると苦しいだろうね。
Q.世界モータースポーツ評議会の決定について、フェルナンド以外のドライバーはどう考えているのでしょう?
バトン: 僕たちが決めることじゃないし、どんな意見を持っているか、それほど重要ではないだと思う。FIAに任されていることだしね。重要なのは、規則がはっきりしていて、公正に運用されることだよ。
リウッツィ: 同じ意見で、大事なのは全員が規則を理解できることだと思う。どのチームも、成績のためにチームプレーを考えることはあると思う。問題はその方法だよ。
バリチェロ: みんなの言うとおりで、特につけ加えることはないね。
トゥルーリ: FIAの決定を尊重するよ。それから、規則を明確にしようとする動きは歓迎できるものだよ。
Q.フェラーリへ移籍して初めてのイタリアGPということになりますが、今朝サーキットに入ったとき、何か特別な感慨はありましたか?
アロンソ: 今日はフェラーリと同じ色に塗ったフィアット500でサーキットへやってきたんだ。それがあまりに目立っていたから、大勢の人たちに追いかけられて、ちょっと大変だったよ。その点では、特別だったかもしれないね。だけど、それ以外は、いつもの何も変らないよ。レースのうちのひとつ、というだけさ。もちろんガレージの中では、メカニックもエンジニアもやる気で、いい雰囲気になっているよ。家族や友だちを観客席に招待しているスタッフもいるからね。地元だから、ぜひ良い結果を残したいと思っているんだろうね。僕自身というより、チームにとって特別なレースであることは間違いないよ。期待に答えられるような結果を残したいね。