日本GP 決勝トップ3記者会見
優勝:ジェンソン・バトン
2位:フェルナンド・アロンソ
3位:セバスチャン・フェッテル
ジェンソン・バトン(以下、バトン):ありがとう。ここは誰にとっても特別なサーキットで、みんな大好きなんだ。日本のファンの前で勝つことができて、こんなに嬉しいことはないよ。ここ何戦か、確実にマシンの戦闘力を高めてくれたチームにも感謝してる。チームのみんなが頑張った結果、観客にもいいレースを見せることができたよ。
Q.戦術的にも素晴しい表彰台獲得で、セバスチャンとのバトルを楽しんでいたようですが?
フェルナンド・アロンソ(以下、アロンソ):まずはセバスチャンのタイトル獲得をお祝いしないとね。たしかに楽しいレースだったよ。スタートしてから1台もほかのマシンを抜いていないけど、戦術は重要だったんだ。タイヤの消耗が激しいから、ピットストップのタイミングを慎重に考えなければならなかったから。マクラーレンとレッドブルを相手にいい勝負ができて、その結果、表彰台にも立てた。あまり冴えないレースが続いていたから、この成績はチームにとっても大きな意味を持っているんだ。残りのレースに向けて士気が高まるだろうね。もちろん、来年にもいい影響を及ぼすはずさ。
Q.できれば勝ちたかったでしょうが、表彰台に立ってタイトル防衛を決めることができましたね?
セバスチャン・フェッテル(以下、フェッテル):何から話していいのか判らないけれど、とにかく長いシーズンだったよ。今日はソフト・タイヤでのペースが上がらなくて、なかなか苦しいレースになったんだ。マシンの状態は悪くなかったんだけど、それでもフェルナンドは抜けなかったよ。いずれにしても、ここでタイトルを獲得できたのは素晴しいことだね。いろいろ言いたいことがあったはずなのに、上手く話せないよ。今はチームに対する感謝の気持で一杯だよ。みんながレースのときだけではなくて、常に大変な努力を続けてくれたんだ。家族や友人たちの存在も忘れちゃいけないね。今日はジェンソンとフェルナンドが強くて、改めて力の差がほとんどないことを証明していたよ。幸い、ここまで僕が順調にタイトル争いを進めてきたけど、実際には誰が勝ってもおかしくなかったんだ。もちろん、優秀なドライバーもたくさんいるよ。
Q.日本とのつながりが深いことはよく知られていますが、改めてここで勝った心境を教えてください。
バトン:日本GPには、僕だけではなくチーム全体が特に力を入れていたんだ。周りのみんなもそうだろうね。なにしろ3種類のマシンが3秒以内の差でチェッカード・フラッグをうけたくらいだから。F1がいかに厳しい世界か、それだけでよく判ると思う。日本のファンは僕を応戦してくれているし、いくつも素晴しい思い出があるんだ。そういう意味でも、特別なレースなんだ。最後になったけど、とにかく今シーズンのセバスチャンは最強だったね。まったく手も足も出ないというレースが何度あったか判らないよ。
Q.見事な走りでドライ・コンディションのレースを制した今の気分はいかがですか?
バトン:ドライで勝ったことぐらい、何度もあるよ。まあ、とにかくいいレースだったね。スタートはよすぎたぐらいで、グリーンに飛び出してしまって、すこしタイムをロスしたんだ。レース内容はすごく面白くて、タイヤの消耗が激しかったんだ。ただ、ペースを上げればいいというものではなくて、考えながら走る必要があったね。そこが面白かったんだ。鈴鹿は流れるように速く走ることを求められるサーキットで、ミスの許容範囲が少ない。まさに完璧なコースで、観客も特別なんだ。たくさんのファンが集まってくれて、すごく嬉しかった。今年は大変な災害があったから、みんなの心にすこしでもいい思い出を残すことができれば最高だね。これほどスピードの出るサーキットで勝ったことはなかったから、その点でもこの1勝は大きいよ。
Q.セバスチャンがペナルティを受けると思ったのではありませんか?
バトン:あのとき(スタート直後)は彼が近づきすぎてコースから押し出されたように思ったんだけど、あとで映像を見てから考え直したよ。ただ、あのときそう感じたのは事実だよ。だけど、協議委員が言っていたとおり、問題はなかったんだ。スタートで差がつくと、よくああいうことになるものなんだ。それはともかく、マシンの状態も素晴しかったから、残りのレースが楽しみだよ。セバスチャンの王座は確定したけど、まだレースは4戦もある。最後まで、全力で戦うつもりだよ。
Q.終盤、うしろの二人が迫ってきてから最速ラップを出しましたが、それまではタイヤのことを考えてペースを抑えていたのですか?
バトン:ここまでセバスチャンのレースぶりを見ていて、ああしようと考えたんだ。余裕を持って走って、必要な時タイムを出すというやり方だよ。セバスチャンはいつもそうしていたから、今回は真似させてもらったんだ。効果はあったと思うよ。
Q.このレースのウィナーと世界チャンピオンに挟まれているわけですが、あなた自身にとってもいいレースでしたか?
アロンソ:いいレースだったし、今回は初日から順調に進められたと思う。フリー走行を問題なくこなして、予選は
4〜5番手だったんだ。トップ5に入って、2台のフェラーリが揃ってウェバーを抑えたんだから、マシンの状態はよかったということだね。それからレース内容が、また完璧だったんだ。好スタートを切って、戦術もピットストップも上手くいったよ。スタート前に予想していたより、すべての面で上だったと言えるだろうね。終盤、マシンにはほとんど手を加えないけど、今回のレースでのこりの戦いに対する士気が上がったことは間違いないよ。サーキットとの相性がよければ良いレースになるんだから、また優勝を目指して頑張れるよ。
Q.終盤は、すぐ後ろにセバスチャンが迫り、前のバトンにも接近するという展開になりましたね?
アロンソ:まず、セバスチャンを押さえるのは本当に難しかったんだ。あの段階では彼の方が速く走っていたからね。DRS(可変リヤウイング)が効いている区間で抜かれないように、最後はシケインと1コーナーへのブレーキングでずいぶん頑張らなければならなかったんだ。そうしているうちにジェンソンとの間隔が縮まってきたから、何周かペースを上げたけど、結局相手はタイヤとマシンを労わる走りをしていただけで、逆転の可能性はなかったと思う。それから、やっぱりスタート位置の違いがおおきかったんだ。5番手のグリッドから出たわけだから、追いつくまでにかなり時間がかかってる。最終的に2秒の差がついていたけど、2番手か3番手のグリッドからスタートしていれば、ゴールまで10週というあたりで、あの位置につけることができていただろうね。
Q.今回はいつになく難しいレースになって、ピットストップを終えた時点で2台のマシンが前にいるという状況でしたね?
フェッテル:最大の原因はオプション・タイヤでの走りに問題があったことなんだ。ルイスがどうなったのか知らないけど、序盤は彼と二人で後続を引き離すことができたよ。そのあと、無線でジェンソンがルイスを交して、こちらよりコンマ7〜8秒速いペースで追いかけてきていることを知らされたんだ。上手くタイヤを温存して、ピットに入るまで早いペースを維持できる状態になっていることはあきらかだったよ。ハード・タイヤではいい状態だったけど、ピットを出たところでフェルナンドに先行されて、フォース・インディアを抜くのにもすこし手間取ってしまったんだ。ようやくフェルナンドに追いついたかと思うと、こんどはヴァージンに引っかかって、もうすこしでぶつかるところだったよ。そのあともDRSを使って接近したけど、抜くところまではいかなかったんだ。向こうの方がストレートで速いことは金曜の段階で判っていたから仕方がないね。いずれにしても楽しい内容のレースで、特に終盤、ジェンソンとの差が詰まっていった時は気合が入ったよ。後ろから追い上げるドライバーの方が面白いということだね。だけど、ジェンソンはまだ余裕を持っていたみたいで、結局そのままゴールすることになったんだ。