バーレーンGPキャンセルの波紋
バーレーンGPがキャンセルになった。当面、「開幕戦から外れた」という表現が正しく、中止になったわけではない、という解釈もある。
しかし、バーニー・エクレストンが、”復活を願っている”というニュアンスのコメントをしていることから、このキャンセルがそのまま中止につながる可能性が高いともみられる。
いずれにしても、まずは、一日も早いバーレーンの統治を祈りたいが、厳しい状況の中でも時間は進むが、F1は、逆境の中で前進することを常としている。最も大きな変化は、開幕戦が、2週間先に伸びた、ということだ。
バーレーンGPのキャンセルによって、直前に用意されていたテストも、バルセロナかヘレスで3月8日から11日の4日間で行うことになりそうだ。そうなると、何が起きるのか。
まず、チームの予定がギリギリの日程から、少し余裕ができた。本来のスケジュールでは、開幕直前テスト-開幕戦に向けて、昨日までバルセロナで行われたテストのデータを反映した3台のマシンを準備して、水曜日までにバーレーンに向けて発送しなければならなかったからだ。
しかし、時間的に楽になったからといって余裕ができるわけではない。開幕戦がオーストラリアGPになればなったで、それまでの間の開発プログラムを進める時間でできたことになり、忙しさに変わりはないのだが、そうなると、”いつもの開幕戦”と違う状況が起きてくる。
開幕戦が遅れることで、有利になるチームが出てくる。それは、ノウハウと資金的な余裕があって、かつ、現在歩調があっていないチーム。ずばり、マクラーレンである。
バルセロナF1合同テストの状況のままでマシンをバーレーンに送ることになると、その後アップデイトパーツを空輸したとしても、フェラーリとレッドブル、さらにルノーがリードするレースが予測されていた。マクラーレンは若干、つまづき気味、と。しかし、開幕戦が長引くということは、マクラーレンがその遅れを取り戻す猶予ができた、と解釈できる。
逆に、ルノーにとっては、ありがたみが減る。ルノーは、マシンポテンシャルとしては、ビッグ3(レッドブル、フェラーリ、マクラーレン)には届かないながら、仕上がりのよさで、開幕からしばらくは、ビッグ3の鼻を明かす活躍を予測することもできた。しかし、開幕戦まで時間が伸びたことで、その可能性は低くなったかもしれない。
また、こうした事態に備えて、情報収拾が重要になる。いわゆるロビー活動で情報を先取りし、先回りしてプログラムを組み直す。F1に参加していたが実はマル投げに近かった日本の自動車メーカーが最も不得意とするパートだ。日本の自動車メーカーは、いいときに止めた、という皮肉が聞こえてきそうだ。