モナコGP 木曜記者会見
金曜恒例のチーム代表、または関係者を集めた記者会見は、モナコの変則スケジュールで木曜日に行なわれた。
今回は、グレアム・ロウドン(ヴァージンCEO)、ヴィジャイ・マルヤ(フォース・インディア代表)、エイドリアン・ニューウェイ(レッドブル/マシン・デザイナー)、ペーター・ザウバー(ザウバー代表)、マーティン・ウィットマーシュ(マクラーレン代表)が参加。
Q.ここはポイントを獲得する最大のチャンスだと思いますか?
グレアム・ロウドン(以下、ロウドン):何が起こるか判らないモナコは、今のところ確かにもっとも可能性が高いレースだ。去年もトラブルで脱落するまでは好位置につけていた。あのころ問題だった信頼性不足は克服されているので、どうなるか楽しみだ。
Q.マシンの開発状況はいかがでしょう?
ロウドン:いろいろな理由で思ったほど進んでいない。ブローン・エキゾーストを開発していたのだが、FIA(国際自動車連盟)が禁止するかもしれないということになり、凍結している。その他についても、ペースは予定より遅れている。ほんとうならこのレースまでには、ずっと先へ進んでいるはずだった。
Q.マルシアは技術面でチームに貢献していますか?
ロウドン:去年のすえごろ、スポンサーだったマルシアがチームの所有権を一部買い取ることになった。その意味でチームと一体の存在であり、将来的にはお互いに協力し合うことになるだろう。マルシアの技術をマシンに活かすこともあるだろうし、逆にチームが、たいへん興味深い市販車の開発を手伝うこともあり得る。
Q.やはりシーズン中もっとも結果をのこすチャンスが大きいレースだと思いますが?
ヴィジャイ・マルヤ(以下、マルヤ):まったくそのとおり。序盤の遠征では、まだ基本的な開発の段階だった。バルセロナで大がかりな空力面の改造をおこなう予定だったが、上手くいかなかった。ここではフリー走行の段階から進歩の跡が見られるので、ぜひ大好きなモナコのレースでポイントを獲得したいものだ。
Q.あなたがF1界で代表的な役割と果たしているインドの状況は、グランプリ開催をひかえてどうなっていますか?
マルヤ:きわめて順調だ。サーキットもほとんど完成しており、十分間に合うだろう。さきごろ(バーニー・)エクレストンが、延期されていたバーレーンGPを先におこなって、インドGPは12月に延ばすかもしれないと発言し、地元ではちょっとした騒ぎになった。予定どおり10月30日に開催されても、遅れることになっても、問題はない。主催者は着々と準備を進めている。
Q.(ナレイン・)カーティケヤンが走っていることで、地元の関心も高いのではありませんか?
マルヤ:カーティケヤンとチャンドックが揃ってグリッドに着くことはたいへん喜ばしい。私たちもインドで新人発掘を進めており、将来的には、さらに優れたドライバーがインドで誕生することだろう。一般のF1に対する認識も、おおきく変わってきている。
Q.ジェイムス・キーはチームにとってどんな存在でしょう?
ペーター・ザウバー(以下、ザウバー):C30は彼が作ったマシンであり、明らかに昨年よりも進化している。いい仕事をしてくれているおかげで、チームは確実に前進しつつあると言えるだろう。
Q.マシンの開発はどのように進んでいるのでしょうか?
ザウバー:今回は前後のウイング、ブレーキダクトに小さな変更を加え、フロント・サスペンションも改良されている。
Q.全体的な開発の流れはいかがですか?
ザウバー:空力を中心に進めている。他のチームもおなじだろう。エキゾースト・システムも新しくする予定だったが、それについてはロウドンも言っていたように、ストップがかかっている。
Q.当面の目標はなんでしょう?
ザウバー:もちろん前にいるチームとの差をすこしでも縮めることだ。そして後ろのチームを、逆に引き離したい。
Q.たとえばルノーに追いつくことは考えていないのでしょうか。
ザウバー:もちろん考えているし、十分可能だろう。
Q.今朝、(マーク・)ウェバーのマシンにトラブルが発生していましたが、どんな問題だったのですか?
エイドリアン・ニューウェイ(以下、ニューウェイ):ギヤボックスの配線が切れていた。そのために、ギヤボックスバレルのセンサーがひとつ働かなくなっていたんだ。貴重な走行時間をロスしてしまったのは痛い。影響を最小限にとどめて、マークにはぜひ予選からいい結果を残してもらいたい。
Q.ピットストップのやり方を変えるということですが?
ニューウェイ:バルセロナでフェラーリがうちの動きを察知していたので、その対策をほどこすことになった。いつピットにはいるか、事前に読まれない工夫をするのだが、大きなことではないし、効果があるかどうかも、やってみないと判らない。
Q.開幕当初からKERS(カーズ=Kinetic Energy Recovery Systemの略。運動エネルギー回生装置)が唯一の弱点になっていますが、どのような難しさがあるのでしょう?
ニューウェイ:KERSは複雑なシステムで、完成させるには多大な研究と開発が必要だ。もとは2年前に使われていたルノー・マレリのものだが、マシンに搭載する方法などが大幅に見直されている。それがトラブルの原因になったようだ。解決するのは簡単ではない。できるだけ早く手を打ちたいところだが、たしかにKERSは私たちの弱点と言えるだろう。空力やシャシーの開発
と違って、なかなか上手くいかない。
Q.KERS専門の新しい部署はないのですか。
ニューウェイ:あるにはあるが、小さなグループだ。後から考えると、あまりにも規模が小さすぎたのかもしれないが、そういう問題にはいろいろ難しいところがあるし、問題が発生したからといってすぐに組織を改変することもできない。
Q.このレースでは初めてスーパーソフト・タイヤが使われますが、感触はいかがでしょう?
ニューウェイ:午後の走行を見るかぎり、問題はないようだが、まだなんとも言えない。ここは、おそらくタイヤへの負担がもっとも少ないサーキットだ。従って、スーパーソフトを使うというピレリの判断は正しかったと思う。寿命も思ったより長そうだが、正確な判断は日曜まで下せないだろう。
Q.今日の結果は意外だったと思いますか?
マーティン・ウィットマーシュ(以下、ウィットマーシュ):たしかにこれまでの流れとは違うから、意外といえば意外だ。できれば私からも、エイドリアンにいくつか質問したいぐらいだ。スペインでウチのマシンはかなりよくなり、レッドブルと勝負ができる状態だった。予選ではまだ差がついていたが、スタート位置の違いによって、レース結果が変わっていたかもしれない。ここは先週とまったく性格のことなるサーキットで、ドライバーの存在が非常に重要だ。おそらく、これまでよりは接戦になるだろう。追い越しは難しく、可変ウイングの効果も期待できないから、予選結果と戦術が大きくレースを左右するだろう。
Q.バルセロナのセクター3で速かったことが、モナコに向けて明るい材料だと言っていましたが?
ウィットマーシュ:まだ初日が終わったばかりで、いろいろと不確定な要素も多い。他チームがどんな仕様で走っていたかも判らない。スーパーソフト・タイヤについても、もっと詳しく知る必要がある。ただ、低速サーキットの方がウチに有利だという可能性はあるだろう。このままレースまで好調を維持していきたいものだ。