イタリアGP 金曜記者会見
金曜恒例のチーム代表、または関係者を集めた記者会見。今回は、ジョルジオ・アスカネリ (トロロッソ/テクニカル・ディレクター)、エリック・ブーリエ (ルノー/チーム代表)、ステファノ・ドメニカリ (フェラーリ/チーム代表)、ティム・ゴス (マクラーレン/チーフ・デザイナー)、ペーター・ザウバー (ザウバー/チーム代表) が参加。
エリック・ブーリエ(以下、ブーリエ):たいへん熱心で、新鮮な存在だから、チームにとっては貴重な存在だ。夏の間、どこか惰性になって成績も振るわなかったのだが、すこしは挽回することができた。ブルーノがチームをやる気にさせた面があることは間違いなく、1月からいっしょに仕事をしてきたので、もちろんスタッフともすっかり馴染んでいる。
Q.みんなブルーノが実戦に出られることを喜んでいるのではありませんか。
ブーリエ:そのとおり。ずっとガレージの裏でエンジニアやメカニックといっしょに過ごしていたし、ドライバーに対しても献身的につくしていた。それが続けて走り、しかも予選で活躍したのだから、スタッフは自分のことのように嬉しそうだった。
Q.ロメイン・グロジャンはどうなるのでしょう?
ブーリエ:それはその時の状況次第だ。彼の今の仕事はGP2を戦うことで、F1チームの第3ドライバーでもある。これからどうするかは、まだ決めていない。ただこのあとは、リザーブ・ドライバーとして、チームと行動をともにする予定だ。
Q.資金や技術の面で、これからチームをどの方向へ進めていくつもりですか?
ペーター・ザウバー(以下、ザウバー):どの方向もなにも、前進あるのみだ。設備は整っているから、資金が豊かになればなるほど成績は伸びるだろう。だからできるだけ多くのスポンサーを集める。いたってシンプルな話だ。
Q.人手は足りていますか?
ザウバー:増員する可能性はある。現在280人のスタッフがいるが、もっと多ければいろいろな面で余裕ができるだろう。
Q.今日は小林可夢偉が予想以上の走りをしていたのではありませんか?
ザウバー:そう言えるだろう。最後にとまってしまったのは駆動系のトラブルが発生したからだが、スピードに問題はなかった。特にロングランでは速かったから、レースへ向けての見通しは明るい。
Q.今回は、あまり期待していなかったということでしょうか?
ザウバー:問題はブロウン・ディフューザーなんだ。システムが上手く機能しなかったので、バルセロナ前に開発を中止してしまった。そのころは、みんなシルバーストンから禁止になると考えていた。モンツァでは、このことが大きなハンディキャップになると予想していたんだ。
Q.セルジオ・ペレスにエステバン・グティエレスと、メキシコへの肩入れが顕著になっていますね?
ザウバー:テレメックスとの関係がとても上手くいっているし、ペレスはよく頑張っている。彼はまだ新人で、テレメックス・ファミリーの一員でもあるんだ。テレメックスのおかげで、メキシコの企業が私たちに関心を寄せてくれているという事実もある。これは非常にありがたいことだ。
Q.スパのレースから、セッティングやマシンの仕様に関して変わったことがあるのでしょうか?
ティム・ゴス(以下、ゴス):このところ好調でレッドブルをよく追いかけている。スパには、ダウンフォースの小さいリヤウイングを持ち込んだ。それまでのコンセプトを捨てたというか、変更したんだ。ダウンフォースの小さいチームやウイングはその一環で、結果には満足している。できれば、実際以上の成績を残したかった。予選でのミスがなければ、ジェンソン(・バトン)は表彰台に立つ代わりに優勝争いを演じていただろう。マシンのいいところが、ようやく判った。そのテーマに沿って開発を続けていけば、もっと伸び代があるはずだ。
Q.スパとモンツァで、マシンに変更はありますか?
ゴス:ここはダウンフォースがさらに小さいサーキットなので、専用のパーツをもちこんだ。フリー走行からその成果が出ており、今日のペースは非常に良かった。また戦闘力が向上したと考えていいだろう。
Q.ダウンフォースを減らしながらグリップを確保しなければならず、予選までは全体の7割以上使うDRS(可変リヤウイング)が、決勝になると2ヵ所でしか使用できないなど、特殊な条件がいろいろありますが、セッティングを決定する上で、大きな問題はないのでしょうか?
ゴス:たしかに複雑な状況だし、高い妥協点を見出せるかどうかが勝敗を分けることになるだろう。予選ではずっと使うDRSが、レースではほかのマシンの後ろにいるときしか使用できない。そうなれば、本来のトップスピードが追い越しを成功さ
せる上で不可欠だろう。しかし、答えは何種類もある。気が遠くなるほどいろいろなシミュレーションをやってきたし、そこから導き出された結論が正しいかどうか、レースで証明されるだろう。タイヤの問題も絡んでくるから、もちろん楽ではない。
Q.重要な地元のレースですが、今日のフリー走行は順調だったのでしょうか?
ステファノ・ドメニカリ(以下、ドメニカリ):確かにモンツァのレースは重要だが、だからといって自らいつも以上のプレッシャーを背負う必要はない。今朝はかなり苦労させられた。午後はいろいろなセッティングやパーツを試したけれど、まだマシンのバランスが完璧に取れたとは言えない。それでも改善の兆しはあるので、ティムが言った高い妥協点を目指して、今夜のうちに答えをだしたい。今回も予選ではなく、決勝のペースアップを目標に作業を進めることになるだろう。
Q.路面温度が午前中の22度から41度にあがったことも、午後のほうがタイムの伸びた要因になっているのでしょうか?
ドメニカリ:それはあると思う。最初からタイムが伸びたのは、そのせいだろう。それがすべてではないにしても、重要なファクターのひとつだったことは間違いない。
Q.魔法の杖があるとしたら、マシンのどこを変えたいですか?
ドメニカリ:答えがすぐ頭に浮かんだが、教えるわけにはいかない。
Q.3年かけて大がかりな改革をするということですが?
ジョルジオ・アスカネリ(以下、アスカネリ):新しいコンコルド協定が追い風になるはずだ。風洞実験施設などを整え、60人のエンジニアを雇うことになっている。これまでの経験を本各的に生かす時期が、いよいよやってきた。
Q.スパでは、今年最高の予選結果がでました。これも進歩の跡でしょうか?
アスカネリ:それは考えすぎだろう。たしかにいい結果を残せたが、物事は客観的に見なければならない。11位と12位は、私たちの現状からすれば好成績だ。17位と18位よりは、ずっといい。
Q.これからもシーズン終了まで、この調子で成績を伸ばせるでしょうか?
アスカネリ:もうSTR6の開発は取り止め、STR7に精力を注ぎ込んでいる。しかし小規模チームなので柔軟な対応ができないわけではなく、今回も新しいパーツを持ってきた。現代のF1でもっとも重要なのは、迅速な対応が可能かどうかだ。有力チームの強みもそこにある。私たちは少しでもそれに近づこうと努力している。今年のシーズン終盤も、おなじ信念で戦うことになるだろう。ここまで、そのおかげで確実に進歩し続けることができたのだと思う。