HAMMY’S EYE 2011 ＜オーストラリアGP→マレーシアGP＞
“ハミー”だけが語れるフォーミュラ･ワン
＜rd1オーストラリアGP→rd2マレーシアGP＞
話題山盛りの新シーズンが始まった。スペクタクルな戦いをより楽しむための［STINGER］特別企画。ブリヂストン･タイヤとともに14年間F1を直近で見つめたハミーこと浜島裕英さん（ブリヂストンタイヤ開発第2本部フェロー）の視線で迫る、”タイヤからみた2011年の見どころ！”。
今回は、開幕戦の公道レースのオーストラリアGPと、灼熱の第2戦マレーシアGPにスポットを当ててタイヤから見たグランプリを伺った。
[STINGER］山口正己（以下、STG） 開幕戦を観て、タイヤでレース展開が去年と変わりそうと感じましたか?
浜島裕英 ブリヂストンタイヤ開発第2本部フェロー（以下、浜島） ピットインのタイミングが重要ですね。タイヤの使い方によって、最初にタイムが出てどんどん落ちる人と、タイムが落ち込んでも再び戻る人と、いろんなパターンがあるようです。そのあたりの特性を早く見極めることが大切と思います。
[STG] それはタイヤの性格の違いということでしょうか。
浜島: ひとつはクルマの性能ですね。タイヤとのマッチングが大切ですから。みなさん、（ピレリ･タイヤに代わって日が浅いことで）まだデータない。少ない時間でどう見極めるか。去年まではある程度データを持っていたので、いわゆる”想定”の範囲内をきちんとやる、という方法が取れた。（タイヤの性格や変化の仕方に）アンノウンがけっこうある。観ている人は楽しめる部分ですが、やってるエンジニアは、責任を求められるから大変と思います。
[STG] レッドブルとS.フェッテルは、今後も鉄壁?
浜島: 第一戦のオーストラリアGPを見る限り、精神的に落ちついていますね。去年のように、アタフタしているように見えないです。
[STG] それは確実にレースを進めるために重要な要素ですね。
浜島: 速さは前からあった。だから、彼を倒そうと思ったら、アタフタさせることが必要かもしれないですね。
[STG] レッドブルの二人の差がついたのは、タイヤに関係あり?
浜島: それはどうでしょうか。ウェバーは数日前に、「セットが違っていた」というようなコメントをしていました。第二スティントでウェバーはハードを選んでいますよね。判断もひとつのファクターではないかと思います。
[STG] なるほど。
浜島: でも、去年のメルボルン（オーストラリアGP）の予選でも、ベッテル（浜島さんはS.フェッテルをこう呼ぶ）が1分23秒924秒でコンマ1違う。ベッテルが得意なんだと思います。
[STG] ということは、そこに惑わされてはいけない。
浜島: もったいないですよね。
[STG] M.ウェバーがあたふたしているのではなくて、相手をアタフタさせないと（笑）。
ところで、気温差30℃のメルボルンとセパンですが、タイヤで最も違うのはどの辺りですか？
浜島: 同じタイヤとなると、う〜ん、やっぱりリヤタイヤのオーバーヒートが心配になるでしょうね。メルボルンでも、急いでピットインした人たちは、リヤタイヤの不安定さが問題だったようですから。温度の影響は、気温通りではないですが、（メルボルンとセパンでは）タイヤ温度が15℃くらい違うと思います。
[STG] その意味では、常に高い温度にされされる。
浜島: ですね。冷やされることないですから。オープンホイール（タイヤがボディの外に出ている）フォーミュラカーでは、空冷効果が大きいですから。
[STG] 小林可夢偉のタイヤの使い方はどうだったでしょうか。
浜島: タイヤの状況からみて、もう少し交換を遅らせてもよかったかもしれないですね。
[STG] ピレリは、マレーシアでは、タイヤ交換が3回か4回、と言っています。
浜島: それは開幕戦のこの前も言われていましたが、路面がよくなればどうかなぁ。
[STG] メルボルンは公道コースでもありますし。
浜島: 基本的には、ゴムが乗ってくると路面がきれいになる。ガムテープでペタペタやるとゴミが取れるのと同じ効果です。その分効果はあるので何とも言えないですね。
[STG] タイヤカスが多かったことについては?
浜島: これも、一口にはいえないですね。例えば、プラスティックの下敷きと消しゴムをこすりつけると、カスの出方が違いますね。プラスティックは破断が欠け飛ぶけれど、消しゴムは、こねられてカスがでる感じでしょ? 極端にいうとそういう違いがあるので、観てみないとなんとも、ですね。
[STG] シューマッハが開幕戦で不振でしたが。
浜島: レースではぶつかっちゃったんでなんとも分からないですけど、予選失敗が痛いですね。まだまだ往年のキレが見えないかな。シーズン中の練習ができないのが辛いですね。走ってリカバーするタイプなので。
[STG] もう少し様子をみたい、と。
浜島: ですね!!
[STG] ありがとうございました。
浜島: こちらこそ、暑い中、頑張ってください。
