J.バトンがマクラーレンに決まった理由・・・その3 イギリスの期待
J.バトンとL.ハミルトンが同じマシンに乗るとどういうことが起きるだろうか。L.ハミルトンはアグレッシブに、まるでカートのようにF1を振り回して
走る。一方のバトンは、その対局にあるていねいさを身上としたドライビングスタイルだ。タイヤにやさしいブラウンBGP001で勝利を重ねられたのがその証拠といって
もいい。マクラーレンのマシンは、時にはタイヤに攻撃的なL.ハミルトンのドライビングスタイルに合せた方向にある。となると、来年のJ.バトンの闘いは
楽ではなくなる可能性が高くなる。少なくともJ.バトンは、L.ハミルトンを相手にすることで、F1デビュー以来最も厳しいシーズンを迎えることは間違い
ない。
一方で、J.バトンは、ワールドチャンピオンの”腕”を買われてマクラーレンが契約したのか、という質問に対して、”もしかすると、メルセデス・エンジン
との契約を2015年まで安泰にする交換条件だったかも”という声も聞こえる。マクラーレンが現在ダイムラーAGに”預けてある”40%の株式を2年間で
買い戻すことを、ダイムラーのツェッツェCEOが明らかにしている。つまり、ダイムラーとマクラーレンは袂を別つわけだが、エンジン供給を保証するため
に、J.バトンを引き取るとマクラーレンが申し出た、というものだ。
とはいえ、L.ハミルトンのチームメイトとしてJ.バトンがマクラーレンに加入することは、イギリスのチームであるマクラーレンにとって大歓迎ではある。
まず、チャンピオンナンバーのゼッケン1が手に入る。そして、2年連続のチャンピオンがチームメイトになったのはF1史上初、それも、イギリス人同士の
チャンピオン経験者のコンビとなると、1968年のジム・クラークとグラハム・ヒルまで遡らなければならない。マクラーレンのメカニックたちが大喜びする
顔が浮かぶようだ。もちろん、イギリス国民も。考えてみたまえ。中嶋一貴と小林可夢偉が2年連続ワールドチャンピオンで、日本のチームコンビを組むこと
を!