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「MGP W02」 解説とスペック

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MGP W02

皮肉なもので、フロント・セクションを中心とした激変ぶりが2010年の失敗を物語っている。2010年型マシンの開発が後手にまわったのは、2009年終盤までレッドブルやマクラーレンとタイトル争いを演じたブロウンGPにとって、(チームの規模を考えれば)致し方のないことだったのだろう。新生シルバー・アロー第1号となったMGP W01は流行のハイモノコックを取り入れたものの、真っ先に空気を受け止めるノーズコーンは成功を収めたBGP001の手法を踏襲し、低いまま。すなわち、新旧をつなぎ合わせた折衷案的なデザインだった。

低迷の理由はそれだけではない(例えば、第5戦スペインGPではホイールベースを延長している)だろうが、シルバー・アロー第2弾のW02は思いっきりハイノーズに転換。しかも、薄く、とがっている。垂れ下がった形状よりもストレートな形状のほうがクラッシュテストをクリアするのに有利とはいえ、ぎりぎりの極薄設計に違いない。空気をフロントウィングで確実に受け止めるコンセプトから、多くの量をリヤに流すコンセプトに全面スイッチしたことを意味する。

効果があったのかなかったのか、はっきりしないままお蔵入りとなってしまったのが、2分割構造のインダクション・ポッドだ。開口部の位置を低くすることでリヤウィングに流れる気流にいい影響を与えるのが目的だったが、規則が変更を受けたことでブレード状のロールフープ構造を採用することができなくなり(チーム・ロータスは抜け穴を見つけて 採用してきたが)、W02ではコンベンショナルな形状に改めた。規則変更とは関係なく、トライしてみたものの思ったほどの効果はなかったのかもしれないし、吸入空気の効率にネガティブな影響があったとも考えられる。

リヤ・サスペンションは流行のプルロッド式に転換。ドライブシャフトが露出するなど、ボディワークのシール性に疑問符を付けなくなるが、パフォーマンスにそれほど影響がないということなのだろうか。ブローン・ディフューザーは、エキゾースト・マニフォールドの出口が車体中央寄りにあるのが特徴だ。

2009年にマクラーレンの大きな武器となったKERSは、メルセデス・ベンツが主導して開発したシステムだった。その発展版をメルセデスのワークスチームが優先的に積む。これは武器(マクラーレンとフォース・インディアも同じシステムを搭載)。W02が速さを見せるかどうかは不透明だが、激変したことは事実だ。

【STINGER / Text by Kota Sera(世良耕太)】

■シャシー
型式: MGP W02
モノコック: カーボンファイバー&ハニカム・コンポジット構造
サスペンション: プッシュロッド式トーション・スプリング独立型縣架サスペンション
ダンパー: Penske
ホイール: BBS
タイヤ: ピレリ P Zero
ブレーキ: ブレンボ製ブレーキディスク&パッド(カーボン)
ステアリング: カーボンファイバー
エレクトロニクス: FIA標準ECU&FIA公認エレクトロニック&電子システム
トランスミッション: セミオートマチック・シーケンシャル電子制御ギヤ・ボックス(アルミニウム製)
ギヤ: 7速
クラッチ: カーボンプレート

■サイズ
全長: 4.800mm
全幅: 1.800mm
全高: 950mm

■エンジン

型式: メルセデス・ベンツFO108Y
燃料搭載量: 2.4リッター
気筒数: 8
最大回転数: 18: 000rpm
バンク角: 90度
ピストンボワ: 98mm
バルブ数: 32
重量: 95kg (FIA レギュレーション最低重量)

大きい写真はこちら(WEB専用ページです)。
http://www.f1-stinger.com/f1-data/2011/team/mercedes_gp/photo_gallery/

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