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「MP4-26」解説とスペック

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MP4-26

サイドポッド前端にエグゾーストの出口を持つロータス・ルノーといい、超小型ギヤボックスを開発したウィリアムズといい、2011年の新型マシンは隠し球を持っているケースが多い。マクラーレンMP4-26も隠し球(一目瞭然だが)を持っていて、Uシェイプ・サイドポッドがそれだ。ロータス・ルノーとウィリアムズ、それにマクラーレンでそれぞれアプローチは異なるけれども、目的は同じだ。すなわち、マルチ・ディフューザーの禁止によって失ったダウンフォースを取り戻すためである。

サイドポッドをU字形のすることで、リヤに質の高い(つまり、乱れの少ない)空気を大量に導くのが狙い。この空気をビームウィング周辺に向かわせ、ディフューザーの効率を高める考えだ。コクピットよりくぼませるために、ラジエターとオイルクーラーの熱交換機はL字形になることを強いられ、前傾し、内側に傾いている。空力優先の設計思想を象徴するようなレイアウトだ。よくぞこんな形状を成立させたものだと感心させる要因はもうひとつあって、サイドインパクトへの対応である。コクピット開口部上端の脇には衝撃を効果的に吸収するための円錐状のパーツを配置するのが常套手段だが、MP4-26は物理的に成立しない。どのような構造で厳しい条件をクリアしたのか、気になるところである

ローンチ仕様ではオーソドックスなブローン・ディフューザーを採用しているように見せかけていたが、どうやら排気系でも隠し球を持っているような気配。この点は、テストで明らかになるだろう。リヤ・サスペンションの形式はプルロッドに転換。流行だから切り換えたのではなく、プッシュロッド式と比較したうえでの採用だと、テクニカル・ディレクターのパディ・ロゥは説明している。客観的に判断し、空力的に優れているのがプルロッド式。だから、採用したと。

KERSはメルセデス製を採用する。2009年の際は専用デバイスとして開発できたが、今回はメルセデスGPを交えての共同開発となった。09年仕様はバッテリーと制御ユニットを両サイドポッドに振り分けていたが、最新型はすべてのユニットをサバイバルセル内に収めている。U字形サイドポッドに気を取られて見過ごしてしまいそうだが、超ハイノーズが流行するなかで、マクラーレンは前年型よりローノーズである。

【STINGER / Text by Kota Sera(世良耕太)】

■シャシー
型式: MP4-26
モノコック: マクラーレン製カーボンファイバー・コンポジット/フロント&サイド衝撃吸収構造
サスペンション(前): インボード・トーション・バー/ダンパーシステム・プッシュロッド式ベアクランク(ダブル・ウィッシュボーン)
サスペンション(後): インボード・トーション・バー/ダンパーシステム・プルロッド式ベアクランク(ダブル・ウィッシュボーン)
サスペンション・ダンパー: KONI
エレクトロニクス: シャシー、エンジン、データ・コントロール・ユニット/電子制御ダッシュボード/オルターネーター電圧コントロール/センサーおよびデータ分析テレメトリー・システム(すべてマクラーレン・エレクトロニック・システムズ製)
ボディーワーク: セパレート・エンジンカバー/サイドポット&ルーフ/フロントウイング一体型ノーズ(全てカーボンファイバー・コンポジット)
塗装: アクゾノーベル・カー・リフィニッシュズ製
タイヤ: ピレリ P Zero
無線: KENWOOD
ホイール: ENKEI
キャリパー・ブレーキ: akebono
マスター・シリンダー: akebono
バッテリー: ジーエス・ユアサ バッテリー
ステアリング: マクラーレン・パワー・アシステッド
計器: マクラーレン・エレクトロニック・システムズ

■エンジン

型式: メルセデス・ベンツFO 108Y
燃料搭載量: 2.4リッター
気筒数: 8
最大回転数: 18.000
バンク角: 90度
ピストンボワ: 98mm
バルブ数: 32
燃料: エクソンMobil製 高性能無鉛ガソリン(5.75%バイオ燃料)
スパーク プラグ: NGK製レーシング・スパークプラグ メルセデス・ベンツ・F1・エンジン専用モデル
潤滑油: Mobil 1製 コンバイニング・グレーター・パフォーマンス・オイル
重量: 95kg (FIA レギュレーション最低重量)

■KERS
タイプ: メルセデス・ベンツ
e-Motor: エンジンマウント電子モーター/ジェネレーター
ESS: 集積エネルギー蓄電池、電動エレクトロニクス
パワー: 60 kW

■トランスミッション
ギヤ・ボックス: マクラーレン製カーボンファイバー・コンポジット/積層型衝撃吸収構
ギヤ: 7速+リバース
ギヤ: セレクション     マクラーレン・シームレス・シフト 手動式フライ・バイ・ワイヤ
クラッチ: カーボン/カーボン、手動式フライ・バイ・ワイヤ
潤滑油: Mobil

大きい写真はこちら(WEB専用ページです)。
http://www.f1-stinger.com/f1-data/2011/team/mclaren/photo_gallery/
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