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「MVR-02」解説とスペック

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MVR-02

完全なキープ・コンセプトであり、正常進化である。初めて手がけたマシンにポテンシャルがあるのかないのか、たった1年を過ごしただけではわからない。
F1は結局のところ、経験の積み重ねが重要。その経験がないところにもってきて、風洞試験を行わずオールデジタルで設計を行うと宣言したものだから嘲笑を
浴びることになったが、2年目のアプローチは正攻法だった。たとえオールデジタルでの設計を続けるにしても、そこには1年目の参戦で得た技術の蓄積が少な
からず反映されるからだ。1年目より2年目は良くなっているはず、それを糧に3年目を考えればいい。

印象が大きく異なるポイントはフロントに集中している。流行のVシェイプを継承したノーズは、2010年のVR-01では細く尖っているのが特徴だった
が、新型のMVR-02ではだいぶ太くなった。どことなく、昨年のルノーR30を彷彿とさせるシルエット。VR-01のフロントウィングはデビュー当初カ
スケードウィングを持たず、これがゆえにいかにも経験不足な感を漂わせていたが、MVR-02は複雑かつ現代的なデザインのフロントウィングを装着。ス
テーの内側にカメラマウントを配置するなど、流行をそつなく取り入れている。

アンダーカットを大きくとり、リヤに向けて急激に傾斜させるサイドポッドのデザインもVR-01から引き継ぎ、洗練させている。新規チームの例外に漏れ
ず、ヴァージンも昨シーズンはブローン・ディフューザーを採用しなかったが、MVR-02では採用してきた。しかも大胆なアプローチ。排気管の出口をリヤ
タイヤの前方低い位置に設けるのが、過去のブローン・ディフューザーに多いレイアウトだったが、MVR-02は後方中央部まで排気管を伸ばし、スターター
を差し込む小さな穴を通じてディフューザー内に排気を吹き込むレイアウト。独創的な手法である。

デジタル技術を駆使している例として、ギヤボックスに関連した油圧系のトラブルまでCFD(数値流体力学:コンピューターによる流れの解析)を用いて解決
を図ったと、デジタル依存の徹底ぶりを自慢するが、コスワース製エンジンとXトラック製ギヤボックスは、引き続きこのチームにとってのアキレス腱であるの
は間違いない。マシンの外観が一気にモダンになったように、中身も進化していることを期待したい。

【STINGER / Text by Kota Sera(世良耕太)】

■シャシー
型式: MVR-02
モノコック: ヴァージン・レーシング・モノコック(カーボンファイバー)
サスペンション: ヴァージン・レーシング・フレクシャー・ジョイント・ウィッシュボーン(カーボンファイバー&チタン)
ダンパー: ペンスキー
タイヤ: ピレリ P Zero
ホイール: BBS
燃料タンク: ‘FT5’安全仕様
容量: 220リッター以上
キャリパー: APレーシング製4点式キャリパー
ブレーキディスク&パッド: Hitco(カーボン)
ステアリング・ホイール: ヴァージン・レーシング(カーボンファイバー)
パワー・ステアリング: ヴァージン油圧式ステアリング・アシスト(レーシング・カーボンファイバー)
シート: カーボンファイバー
シートベルト: 6点式ハーネス
エレクトロニクス: FIA標準ECU&FIA公認エレクトロニック・システム
ギヤ・ボックス: ヴァージン・レーシング(精密アルミニウム)
ギヤ: 7速
ディファレンシャル: 電子制御油圧ディファレンシャル
クラッチ: AP Racing

■エンジン
型式: コスワースCA2011
タイプ: 90°V型8気筒
燃料搭載量: 2.400cc
気筒数: 8
バルブ数: 32
最大回転数: 18.000rpm
重量: 95kg
ピストンボワ: 98mm以下
オイル潤滑方式: ドライサンプ
スパーク・プラグ: Champion

■サイズ
全長: 5.200mm
全幅: 1.800mm
全高: 950mm
ホイールベース: 3.300mm

大きい写真はこちら(WEB専用ページです)。
http://www.f1-stinger.com/f1-data/2011/team/virgin/photo_gallery/

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