◆N.フルケンべルグがレースをかきまわす?! その1
第18戦ブラジルGPで、誰も考えなかった新人がポール・ポジションを奪った。ウィリアムズのニコ・フルケンべルグだ。予選の裏舞台と、この結果がレースにどう影響するかを検証する。
◆ウィリアムズの賭け
天晴れのポール・ポジションだった。乾き始めの難しいコンディションをスリックタイヤでスムーズに走り
きった。しかし、フルケンべルグにケチを付ける気はないが、タイトルがかかったレースを進めたい上位陣に代わって、彼らの心境を代弁すると、こんな感じか。
「面倒なことになったな」。
なぜかと言えば、フルケンべルグが、ドイツ人ドライバーの多くに見られる”強引なレース”をする典型だからだ。
フルケンべルグのポール・ポジションは、ウィリアムズが賭けに出た結果だった。いち早くドライのスーパーソフト・タイヤを履かせた。その布石は、ポイントテーブルでウィリアムズと3点差のフォース・インディアのエイドリアン・スーティルがQ1でコケていたからだ。
そこで、地元のルーベンス・バリチェロにポール・ポジションを狙わせるために”賭け”に出たのだ。ついでに、かどうかは別にして、本人はスリックタイヤにしたくなかったフルケンべルグのタイヤも交換した。
ウィリアムズのギャンブルは成功した。だが、チームの思惑とは別に、フルケンべルグのアタック・タイミングがことごとく吉と出た。「とてもスムーズに運転できたよ」とフルケンべルグ。
もしかすると、フランク・ウィリアムズ代表は「困ったな」と思ったかもしれない。度重なるポカを理由に、契約打ち切りを考えていたからだ。これで断りにくくなった。
困ったのは、ウィリアムズのチーム代表だけではなかった。
(つづく)
[STINGER] / 山口正己