中嶋一貴 ウイリアムズ
「スタートに失敗、タイヤの選択も誤ってしまった」
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◆レイン・タイヤで判断ミス
――大混乱のレースでしたが?
一貴 うーん、自分にとっては、まずはスタートが一番痛かったですね。グリッドもそうですが、周りにいる KERS 搭載のクルマも速かったし、そこで失ったポジションをなかなか回復できなかった。
そのあと、雨が降ってきて。最初の降りはじめは(雨は)多くなかったので、フル・ウエットではなく、インター(ミディエイト)で行ってたら、もっとよかったんですけど。でも、それもできず……。まあ、いろんなことがすべて、後手後手に回ってしまいましたね。
――雨が降ってきて、いきなりフル・ウエットに替えるというドライバーが多かったのが意外だったが?
一貴 ここ(マレーシア)の雨というのは、降りだしたらドカッと来るという傾向があるので、(あの時点で)インターで行くという方が逆に”ギャンブル”なんですね。
――今日は、レースしたような気がしないのでは?(笑)
一貴 そうですね……なので、点数もつけようがない(笑)。今回も、また前回も、レースができてないので、次のグランプリではしっかりと、今年一番のレースができるように……。
クルマのポテンシャルとしては、ニコが前を走っているのでもわかるように、決して悪くはないので。
◆スタートをミスって、中団に埋もれて……
――スタートを振り返ると?
一貴 スタートは、ホイールスピンがちょっと多くて。かつ、周りの KERS 搭載のクルマには、思いっきり抜かれまして……(笑)。
――多くの燃料搭載で、クルマが重かったせい?
一貴 それもあるでしょうけど……。でも、マッサは自分より重かったはずなので。あと、マクラーレンもそうですね。だから単純に、出足とそのあとの加速と……。すべてにおいてよくなかったと、そういうことですね。
――それから、ピケに前を塞がれて?
一貴 そうですね。でも、ピケを抜き去れるほどには(自分のクルマは)速くなく……。
――……で、雨が降りはじめてピットインして、フル・ウエットを履いて?
一貴 そうです。チームはレーダーをずっと見ていて、もっと降るだろうからという判断だったでしょう。降ってきたら教えてくれとは、その前からいわれていて……。
でも、結果でいうと、あの時点では、インターどころかドライ(タイヤ)で走っていた方が速かったでしょうね。
――燃料を積んで、後半に賭けるという作戦だったのに、そこに来る前にレースが終わってしまった?
一貴 そうですね。……ただ、周りのクルマの方が(車重は)若干重かったんで、基本的には、そのクルマよりは前に行っていないといけないんですね。そのへんも、スタートで全部パーになって……。
――それは、相手がKERSだったから?
一貴 そうではなく、自分自身のスタートの問題で。なかなかトラクションもかからず、加速も鈍かったので……。まあ、マッサに抜かれたときにはビックリしましたけどね、スピード差に!(笑)
◆知る限り、最もひどい雨!
――大雨になって、映像では各所でスピンやコースアウトが映っていたが、同じように、どこかでスピンした?
一貴 あ、ぼくはしてないです、はい。
――雨は、去年の富士よりも?
一貴 ええ、ひどかったと思います。(自分の)F1経験のなかでは、最もひどい雨でした。
――レースが再開されなかったのは妥当?
一貴 妥当、でしょう! それと、もう暗かったですからね。夕方の5時スタートで、こういう状況になると仕方ない、というか……。
――もっとレースがしたかった?
一貴 そうですけど、その前に、予選でもっと前に行ってないとね!(笑)クルマ的には悪くないので。でも、(今日みたいに中団以降に)埋もれちゃうと、やっぱりちょっときびしいです。