受け継がれるロータス神話
佐藤琢磨が駆るKVレーシング・テクノロジーのマシン。
2010年9月28日
クラーク、セナ、アンドレッティ、モス、マンセル、ヒル、フィッティパルディ。F1、インディカー、ルマン。ロータスとモータースポーツは、切っても切れない関係にある。
国際的なシリーズ戦から草の根のイベントまで、全360レースの活動計画も、ロータスの伝統を考えれば驚くに当たらない。ロータスのモータースポーツ部門を指揮するクラウディオ・ベッロは、この辺りの事情を完璧に言い表している。「ロータスはモータースポーツそのものであり、レースの遺伝子が私たちに組み込まれている。ロータスはモータースポーツ史に特異な地位を占め、今後も当然のことながら幅広い活動を続けてゆく。レーシング・マシンと市販車に共通する技術を披露するのに、実戦の場ほどふさわしい所はない」。
「パリ・モーターショーで新しいラインナップを発表するのに先立ち、世界のモータースポーツ・ファンが歓迎するだろう新時代の活動計画を明らかにすることとなった」。
それではさっそく、新しいモータースポーツ・プログラムの中身を紹介しよう。
◆インディカー
2011年も、引き続き佐藤琢磨の所属するKVレーシング・テクノロジーに技術的なサポートをおこなう。これによって、少なくとも2台のマシンをエントリーし、これと並行して2012年からの新しいレギュレーションに合わせたボディシャシーを開発する。
◆GP2/GP3
長年活動し、タイトル獲得の経験もあるARTグランプリと手を組み、2011年のGP2(ヨーロッパおよびアジア)とGP3シリーズに参戦する。ARTとの契約に基づき、ロータスは最短でも3年間、GP2およびGP3の技術的支援をおこなう。
◆エボラGT4
エボラGT4を新たに改良し、GT2およびGT3に出場するマシンを開発する。ペブル・ビーチで発表されたGT4は、すでに20台を受注しており、最初の完成車は10月末に納車される。
◆GT2
ロータスは将来の市販車をベースにした新しいGT2マシンを開発しており、パリ・モーターショーで発表される。新しいGT2マシンは、変更されたレギュレーションに沿って設計されている。
◆LMP2
パオロ・カトーネの指揮の下、特別なプロジェクトが進められている。ACOの規定に準じたマシンはクローズド・ボディを持ち、2011年から活動を開始。2012年のルマン24時間出場を目指している。
◆ロータス・ドライビング・アカデミー(LDA)
草の根のモータースポーツを応援する方針に従い、世界各地で好評のLDAを開校する。ヘーゼルの本校と並んで、2011年の初頭からアラブ首長国連邦ならびに東欧にアカデミーを設立。2012年にはアメリカ合衆国中部での開校が予定されている。さらに13年からは、モスクワ、マレーシア、アメリカ合衆国の第2校が開かれる。新人育成と並行して、LDAは各種のドライビング・スクールやロータス・オーナーの試乗にも絶好の施設を提供する。
◆ロータス・カップ
ヨーロッパ、日本、アメリカ合衆国、アラブ首長国連邦で、ロータスのワンメーク・シリーズを開催する。ヘーゼルにあるロータス・モータースポーツがこれを支援し、ロータスを走らせる世界中のドライバーにテストとレースの機会を用意する。
◆タイプ125およびエクソス体験走行
先月、ペブル・ビーチで発表されて以来、高い関心を集めたモデルは、最初の10台が、オーナーに仮納車されている。テストはクリスマス前からはじまり、2011年には高温に備えたさらなるテストがおこなわれる。最初の完成車は4月に配送され、エクソス・クラブの初イベントが2011年5月に開催される。
エクソスとは、F1の技術を用いたマシンでドライビング技術を磨きたいというオーナーの要望に応えて作られた特殊な車両で、元F1ドライバーがその扱いを指導する。ロータス125は、コスワースV8エンジンを搭載したF1マシンのレプリカで、まさにロータスの精神を体現した1台と言える。
◆ロータスの新テスト・コース
FIAの規定に準じた新たなテスト・コースの建設が計画されている。ノーフォーク、ヘーゼルのロータス工場に隣接するコースは、合計24台を収容する12のガレージを持ち、FIAの安全基準を満たしている。全長3.6km、コース幅12メートルのコースは、GTおよびF1マシンのテストに適した構造となっている。