ホワイティング、ディフューザーとウイングに関する質問に回答
2011年5月20日 金曜
カタルーニャ・サーキット
FIA(国際自動車連盟)のレース・ティレクター、チャーリー・ホワイティングが、ブロウン・ディフューザー、可変ウイング、フロント・ウイング関する質問に回答した。
■ブロウン・ディフューザーについて
Q.FIAが特定のエンジン・マップと組み合わせた時のブロウン・ディフューザーを規則違反と考える理由は何ですか?
「データを解析することによって、使い方しだいで規則違反になるという結論に達した。エキゾースト・システムはエンジンの排気をおこなうもので、スロットルを閉じた状態では排気がおこなわれない。それを空力特性の変更に利用することができ、技術規定3.15に違反するものと考えられる」。
Q.なぜ昨年か冬のあいだではなく、今この問題が浮かび上がってきたのでしょう?
「最初は目立たなかったのが、しだいに大きな影響を及ぼすようになり、今後さらに拡大する恐れがあるからだ。そのため、今なんらかの手を打つ必要があると考えた」。
Q.なぜすぐに禁止するという方針を考え直したのですか?
「チームに最初の通知をおこなったあと、さらに議論する必要があると考えるようになった。2〜3のメーカーと話し合ったが、急いで結論を出すのは得策ではない。私たちは常に開かれた話し合いを望んでいる。まず6月16日の技術作業部会に諮り、問題のエキゾースト・システムがレギュレーションに違反しているかどうかを検討する。なんらかの結論があるわけではなく、とにかく話し合いを始めることが当面の目標だ」。
Q.現在のディフューザーが規則に違反していない理由は何ですか?
「排気ガスをなんらかの方法で排出することは認められており、チームは可能な限り有効にそれを利用しようとする。今回の事例までは、エキゾースト・パイプの出口がどこにあるか、問題になることはなかった」。
Q.ブロウン・ディフューザーを使っていないチームから抗議が出される可能性は?
「そうなるかもしれない。私たちとしては、通常どおりの手順でレギュレーションを施行していくだけで、過去にもそういう抗議が出された例はあまりないが、可能性がゼロではない」。
■可変ウイングについて
Q.モナコGPに関して、ドライバーとは、どんなことを話し合ったのですか?
「ドライバーがモナコで可変ウイングを使うことに懸念を持っていると知り、数名に意見を聞いた。大半のドライバーは、モナコGPで可変ウイングを使用することに反対だった」。
Q.モナコで可変ウイングを禁止しなかった理由は?
「危険だという確かな裏づけはないし、もともと追い越しを促進するための道具を、追い越しがもっとも難しいサーキットで用いない理由が見当たらなかったからだ」。
Q.FIAが可変ウイングの使用を差し止めた場合、危険性を認めることにならないでしょうか?
「問題があると考えれば使用を差し止める。安全を何よりも優先するのが私たちの基本方針であり、そういう体制が出来上がっている」。
Q.可変ウイングは狙い通りの効果を発揮していますか?
「追い越しを簡単にするのではなく、可能にすることが可変ウイングの目的だ。オーストラリアでは、ストレートの長さがじゅうぶんになく、追い越しを可能にすることができなかった。中国とマレーシアでは、完璧に機能していたと思う。トルコについては、追い越しが簡単すぎたという声もあるが、むしろタイヤの消耗が大きく影響していた。マシンのスピードに大差がついていたのも、タイヤのせいだ。今のところ、可変ウイングの働きを制限する考えはない」。
Q.フリー走行や予選で可変ウイングを自由に使用させている理由は?
「適切なギヤレシオを設定できるようにするためだ。それができなければチームは可変ウイングを使いたがらないだろう。これについてはさまざまな意見がある。逆にレース中、使用できるヵ所を増やすことも検討している」。
Q.カナダでは2カ所で使えるようにするということですが?
「メルボルンでストレートが短すぎた例があるからだ。使用ヵ所を増やすことや、使用法の変更も検討している。モントリオールは、これを検討するいい機会だろう。バレンシアでも、ターン10〜12、ターン14〜17の2ヵ所を使用可能にすることが考えられる」。
■フロント・ウイングについて
Q.現行のフロント・ウイングに規則違反はないのでしょうか?
「柔軟性は曲がる幅が20mmまでとはっきり定められている。検討しているのは、その幅が大きすぎるのではないか、ということだ。サーキットによってウイングにかかる荷重が違い、誤差が生じるという意見もあるが、荷重を変えてテストすることもできる。チームも現状に不満はないはずだ」。
Q.先ごろの死亡事故を受け、カフェ・カーブの安全性をインテルラゴスまで確認に行ったということですが?
「金曜に改善の余地がないか見てきた。まだ具体的な案はないが、主催者側は協力的な姿勢を示している。これから、なにか望ましい対策はないか考えるところだ」。