佐藤琢磨 会見【ニュー・シャシーについて語る】
名古屋で行われたファンイベントを前に、ニュー・シャシー「DW12」について語った琢磨。
「楽しみですね、凄く!」
◆来年のインディ・カー マシンはヨーロッパのレーシング・カーに近づく?!
—-シーズンが終了してから、今日まで、どんなことをしましたか?
佐藤琢磨(以下、琢磨):来年もインディ・カー・シリーズに参戦するための準備で、アメリカを行き来する一ヶ月でした。
—-来年からインディ・カーマシンのシャシーがガラッと変更になりますが、それによって、ドライビングに影響があったり、琢磨選手に有利な方向に働くことはありますか?
琢磨:そうですね、有利にはならないとは思いますが、それが不利になるという状況は取り払われる気がします。どうしてかというと、現行のインディ・カー・シリーズが、とにかくコストを抑えてレースをエキサイティングにするという理由でずっとここまで同じシャシーをつかってきました。(現行のシャシーは)正直言って、8〜9年使った一世代前のレーシング・カーで、ドライバーもエンジニアも、この車を極めつくしているわけです。
この車って、もう少し細かい話をすると、かつてアメリカのトップフォーミュラが、チャンプカーCARTシリーズであった時代、二つ(インディ・カーとCART)に分かれたときに、インディ・カーは100%オーバルで、CARTはF1と同じように市街地があり、ロードコースがあり、オーバルがあり、今のインディ・カー・シリーズのフォーマットでした。これが、2005年に統合して一つのシリーズになって、今のインディ・カー・シリーズになってるんですが、このシャシーは元々、100%オーバル専用に作られたもので、それを、ロードコースや市街地コースが入ってきたのをコンバートして、無理やり市街地をブレーキ踏んで曲がるような車に仕上げていたんですね。
だから、非常に癖が強い車で、僕がF1から来て、(初めてインディ・カーに)乗ったときに、かなりショックを受けました。あまりにもドライビング・スタイルが違って、最初に順応するのに時間がかかったのですが、今回新車が入ってくることで、次世代といわないまでも、僕が走っていたヨーロッパのレーシング・カーに多分、近づいてるんじゃないかなと。
というのも、元々ロードコースを走ることを念頭に設計されているので。そういう意味でのコンペティションのレベルも、一回綺麗にまっさらな状態になって。トップチームは技術者も優れているので、すぐに良いスピードを出してくると思うんですけど、それでも小さなチームや新しいチームでも、(上位を狙える)大きな可能性がある。
インディ・カー・シリーズのドライバーは、常にこの車を使い続けて使い続けて、少しずつ少しずつ良くしていくっていう作業は慣れてるけども、ガラッと車を変えるっていうのはあまり慣れてないわけですよね。この8年間無かったわけですから。そうすると僕自身はヨーロッパ時代では、それこそ毎年新しい車になるので、ゼロから白紙からの開発っていうのは(慣れているので)、置いていかれることはなく、むしろ積極的に(トップ争いに)加われるかなと。
だから、ある意味来年というのは一度リセットされた状態で、「誰がどこまで上がってこれるか?」っていうところは結構面白いと思いますね。アドバンテージというよりも、”不利は無い”という状況です。
(来年が)楽しみですね、凄く!
—-我々も楽しみです!ありがとうございました。
琢磨:ありがとうございました!