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中嶋一貴 会見全録【ル・マン・カー初試走】

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「フィールはターボ車に似ている、素性はかなりイイ!」


◆モーター・アシストの「量」を変えるプログラムを
—-今日は、出て行って、まず10周して、そして戻って、トラクション・コントロールなどを調整して、またコースインして・・・?
中嶋一貴(以下、一貴):
ええ。

—-そこから、6周して、5周して、最後に24周で、そこでピットに入ってきましたね?
一貴:
そうですね。

—-最初に走った10周の、第一印象は?
一貴:
初めてなので、気をつけながら行ってましたけど。(苦笑して)見えないといえば見えない(視界が悪い)という部分は多少なりにもあって。まあ、左側に座ってるんで、左コーナーは、なかなか見えないですし、そこらへんは、自分が憶えている景色の中で走ってました。そこは、ちょっとむずかしいですけど。

それ以外の部分は、クルマのバランスも悪くないですし。まだ、手探りの状況ですけれど、それなりに、”いいバランス”の中で走れたと思います。

—-時速120キロ以上から使用することになるという、ハイブリッドのパワー、そのデリバリーは?
一貴:
乗ったときには、それなりに、ある程度コントロールされている状態でいたので、ぼくが聞いてたほど、ビックリはしなかったというか・・・。最初というか、ぼくが乗り始める前には、そのパワーのデリバリーが急激すぎるといった問題があったみたいで。ぼくが乗ったときには、ちょうど、それをスムーズにするようなマップを試しているときだったので、思ったほど、違和感もなく、乗れました。そのパワーの出し方も、コントロールされてたんで。まだ、完全ではないですけど、もちろん──。でも、意外と乗りやすかったですよ。

—-どんな感じなんですか? ニコラは、ターボに似た感じで、でも、それより長く”効く”と言ってましたが?
一貴:
(ターボと)似たような感じですよね。ターボみたいな感じで、グーンと力が伝わって、それが何秒か続く、ということなんで──。(パワーが)来ると、確実に感じますし。けっこう、大きいですよ、(普通のクルマとの)違いは。

—-リヤだけですよね、”アシスト”は?
一貴:
そうですね。

—-で、リヤだけは、速度ゼロでも使っていい。だから、ピットレーンでも使える?
一貴:
ええ。

◆モーターって、いったい何馬力?

—-馬力で言うと、何馬力くらい”押されてる”感じがする?
一貴:
何馬力分くらいかというのは、非常にむずかしいんですけど。ただ、「300」という数字を聞いたことがあるんで、勝手に、そう思ってるんですけど。

—-「300」とは?
一貴:
300馬力・・・。ただ、いまはそんなに出してないはずなんで、300ほどは。・・・何馬力というのはむずかしいです。

—-それは手動で、コントロールできる?
一貴:
えー、勝手に作動します、そのプログラムによって。

—-ドライバーは何もしないんですね?
一貴:
はい。

—-作動したときに、コクピット内で、音とか、何か合図はある?
一貴:
音は変わらないです。パワーが増えるだけ。まあ、(モーターなので)音はしないものなので。

—-午前中、最終コーナーは(テールが滑って)ズルズルでしたよね?
一貴:
ええ、そのマップがちゃんとしてなかったときは。ぼくが乗ったときは、作動は、コントロールしやすくはなってましたね。

—-ギヤが何速であると、これだけサポートするとか、そういう細かい制御はある?
一貴:
何速で、というのはないですね。アクセルの開土とか、トラクション・コントロールの効き方とか・・・(をセンシングして、アシストは変わる)。

—-10周してピットインしたあとで、20分くらい停まってましたけど?
一貴:
あ、あれは、ぼくが縁石にヒットしたんで(それをチェックしていた)。最後に、降りてみたら、思った以上に(フロントカウルの下側が)の壊れてましたね(笑)。

—-そのあとのピットインでは、何をチェックしていた?
一貴:
トラクション・コントロールとか、スロットルとか、そういうコントロール系のことをトライしていました。

◆ライトがショボイ! 暗いと見えない! 
—-その時点で、かなり暗くなってましたよね? ライトを点けると、どんな感じ?
一貴:
その時点では、まだ大丈夫でした。でも、陽が落ちてからは、けっこう、怖かったですよ(笑)。

—-しかもライトが、アッパーとロワーの電球を抜いて、球一個で走ってる状態でしたよね?
一貴:
はい(笑)。けっこう、恐ろしかった。途中で、しばらくハイビームを点けさせてくれたんですけど、ハイビームを点けた途端に、一秒以上、軽く速くなる。それくらいの違いはありました。

—-光量よりも、照らす範囲の問題?
一貴:
いや、いまの状況だと、光量だけ変わる感じで、照らす範囲はあまり変化ありません。だから、もうちょっとそこは、(いまより)よくできる要素はあると思います。

—-ライトを点けると、ハイブリッドのパワーは?
一貴:
ハイブリッドは関係ないです。もともとクルマに載っかっているバッテリーというか、そっちの方からですので。

—-オルタネーターがF1用だから、ちょっと足らないとか?
一貴:
それは、本番までにはよくなると思うので。(ライト関係は)早くよくなってほしいです、あまりに見えないので。

—-それは、十勝24時間のときよりも?
一貴:
そうですね。

—-木下さん(TMG社長)が、若いから目がいいのかな、と言っていましたが(笑)。
一貴:
(目で見てでなく)感覚で走ってるだけなんで、もっと速く走れるんですよ(笑)。

—-光量で、足りないのは、長さ?幅?
一貴:
長さも幅も、両方ですね。あとは、このコースが暗すぎるので、それも多少あるのかなと思いますけど。

◆”曲がりにくさ”は、やはりある・・・

120126knvo001 (5).jpg—-リヤのトラクション不足とか、タイヤサイズによる問題は?
一貴:
それはないです。リヤ(のグリップ)が足らないということもないし、それなりにバランスは取れている。むしろ気になるのは、”曲がりにくさ”の方で──。そこは、これからクルマが変わっていく中で、よくなっていくと思うんですけど。

—-その”曲がりにくさ”は、長いホイールベースのせい?
一貴:
それだけではないと思うんですけど。空力もあるし、メカニカルな部分もあると思うんですけど。ほかのドライバーも、これ(曲がりにくさ)は指摘していました。

—-それは、逆にいうと、直進性はいい?
一貴:
それも言えます、ブレーキングも安定しているし。

—-コーナーでムリをしないで、ストレートで稼ごうというクルマ?
一貴:
・・・でもない、です。どっちかというと、コーナーで稼ぐように作ってあるクルマです。

—-これからのテストで、フロントのハイブリッド(サポート)をやると思うんですが?
一貴:
聞いてないです。

—-そのときに、120㎞/h以上でないとモーターは回せないことから、たとえば300㎞/hしか出ないクルマが310㎞/hになったりするわけですよね?
一貴:
うーん・・・。どっちにしても、120㎞/hからしか使えないなら、(モーターによるアシストは)120㎞/hから使うことになると思うんですよ。タイムや性能は、そんなに変わらないのではないかと思いますけど。

—-ライトを点けて出て行ったとき、ロングランの予定だったのが、リヤのブレーキを冷やしたりとか、メモリースティックを換えるとかしていましたが、このときは?
一貴:
ウーンと・・・、どこまで言っていいですかね(笑)。ちょっと、システムが思った通りに動いてなかった部分があって、それの(修整の)ために入ってきました。リヤのブレーキは、たぶん、ついでにやっただけなのでは。・・・わかんないです、そこで呼ばれた理由は、ぼくは、システムの問題だと思ってましたけど。

—-今日のテストで、ニュータイヤは?
一貴:
最後の、夜のセッションで。

◆プジョーのル・マン・カーはもっと「ラクだ」という情報も 
—-シミュレーションの段階で感じていたことと、今日、実際に乗ってみての違いは?たとえば加速感は、電気自動車の場合、エンジン車とは違い”ワープ感”がありますが、ハイブリッドは?
一貴:
まあ・・・、そんなには(普通のクルマと)変わらない。一般車のハイブリッドと、感覚は近いです、すごく。それ(一般市販車)よりも、モーターにパワーがあるので、スピードは出ますけど、感覚としては市販車に近い。

それと、ぼくが乗ってる一般車のハイブリッドは、(モーターを)パワーとして使うものではないので、そこの感覚は・・・(違いますね)。(それよりも)ターボがついてるような感覚、それに近いのかな、と。

—-いつも、モーター工藤でピットを出て、ピットロード途中でエンジンがかかる状況でしたが、スターターは付いている?
一貴:
スターター・モーターは付いてます。だから、エンジンを掛けて(ピットから)出ていくこともできます。なにか(例えばチャージがたらなくてモーターが稼働しないときなど)があったときに備えているんだと思います。

—-初めて乗っての、フィールは?
一貴:
うーん・・・、何とも言えないですね。そもそもぼく、ほかのクルマに乗ったことがないですから、同じようなクラスの──。だから、較べようがないと言えば、較べようがないです。

ただ、パッと乗った感じのバランスとか、走りやすさというのは、そんなに”格闘”することもなく・・・。最後のロングランでも、長い距離、走れましたので。そういう意味での乗りやすさも、ある程度あるというクルマですね。パフォーマンスとしても、すごくいいと思います。これから、やって行く部分はありますけど、素性としてはいいんじゃないのかな。

—-修整しなければならない部分というのは?
一貴:
アンドレ(昨年のルマン24時間覇者で国内レースでのチームメイトのロッテラー)から話を聞いていても、プジョー(のル・マン車)というのは、そうだったみたいなんですけど、けっこう(走ってて)”ラク”らしいんですよね。ラクに運転できるらしいんですが、(現状のトヨタは)そういう感じではないですね(笑)。クルマの雰囲気も、ほかのドライバーたちに聞くと、だいぶ違うみたいだし。

ただ、それでも、(レースでは)2時間経てばスティントがあって、そのあと、時間があって、また2時間(乗る)とか、そうやって続いていくんで。2時間、プッシュするということに関しては、F1も変わらない部分があるので──。

—-いまのクルマを、たとえば速くするには、何をすればいい?
一貴:
速くするということでは、空力がほとんどだと思うんですけど。まあ(より)”乗りやすく”(する)という部分では、メカニカルとか、いろいろ(改良箇所が)あると思うんですけど。

—-その、乗りにくさの解決策はある?
一貴:
・・・と思いますけどね。セットアップなり、空力も新しくなっていくはずだし。

—-今日のは、最新の空力バージョンではないらしいですね?
一貴:
そうです。

—-シミュレーターと実車と、一番の大きな違いは?
一貴:
加速感は、だいぶ違いますね。シミュレーターって、あんまりわかんないんですよ。「G」もわかんないし、モーターが動いてるかどうかもわからない。ブレーキングも、いまのシミュレーターにはF1が入ってるんで、それと同じになってるし。見え方も、やっぱり、シミュレーターよりもちょっと見づらいし。

◆実際に乗ってみて、安心した! ここから仕上げていく
—-今日の走行では、エンジンの回転制限はあった?
一貴:
いえ、あんなものだった(制限なく走っていた)と思いますけどね。

—-どのくらい回っていたんですか?
一貴:
10000と、ちょっとくらいだと思いますけどね。

—-ハイブリッドのモーターが作動すると、ギヤ・チェンジ中でもスピードが上がる?
一貴:
もちろん。

—-それはわかる? また、それ対しては、人間が対応するしかない?
一貴:
まあ、ランプがつくくらいですから(笑)。

—-あ、ハイブリッドが作動すると、ランプがつくんですね?
一貴:
普通に、何速だというランプですよ。

—-ハイブリッドは、自分の体感で、あ、いま作動したな、とか?
一貴:
そうです。

—-モーターがアシストしているという合図のランプはつかないんですか?
一貴:
つかないですね。

—-シミュレーターに乗って感じたと昨日言っていたブレーキングがむずかしいということについては?
一貴:
もともと、このクルマは、ブレーキがロックしてるとか、そのフィーリングを感じづらいクルマらしいので。GTよりも感じづらい。・・・GTも、初めて乗ったときにはわからなかったですよ。

—-それは、慣れれば克服できる?
一貴:
(このクルマに)慣れてる人が言ってるくらいなので(笑)。まだまだ、むずかしい。これは、モーターで回生しているからとか、そういうことではないです。普通のクルマ(レーシングカー)として、ブレーキの感じがわかりづらいということで。

—-乗ってみて、これから先は楽しみですか?
一貴:
そうですね、乗ってみるまでは不安もありましたが、乗ってみて、ある程度、ちゃんと走れるのはわかりましたし。ここから、徐々に、徐々に・・・。乗ってみて、少し安心しましたね。まあ、時間もたっぷりあるんで。・・・いや、時間は、あると思って(笑)。

【STINGER/Hiroaki Iemura】
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