トヨタのハイブリッド・ル・マンカー、順調なテストラン
経過は上々。
トヨタ・レーシングは、 2月15日17日の3日間、フランスのポール・リカール・サーキットで、初の長距離耐久走行テストを行なった。
FIA世界耐久選手権とル・マン24時間レースに参戦するTS030 HYBRIDにとって三度目のテストとなる今回、16日の午後からの30時間の耐久走行も消化した。
テストには、ル・マン24時間レースへの2台目のTS030 HYBRIDとして発表されたゼッケン8のドライバーも加わった。 セバスチャン・ブエミは、トヨタ・レーシングのドライバーとして初のテストに、トリオを組む石浦宏明と共に参加。ナンバー1カーであるゼッケン7のアレックス・ブルツ、ニコラス・ラピエール、中嶋一貴の3名ととも走行を重ね、多くの距離を消化、耐久レースに向けての第一目標を達成した。
テクニカル・ディレクターのパスカル・バセロンは、「有意義なテスト」とし、「デビューレースへ向けた準備が進んだことに満足している」とコメント。村田久武ハイブリッド・プロジェクト・リーダーも、「THS-R(TOYOTA HYBRID System – RACING)を使ってこれだけ長いテスト・セッションをこなしたのは初めて」とし、以下のようにコメントした。
「トラブルなしで終わるとは思っていなかったし、実際いくつかの問題は発生したが、重大なものではなかった。THS-Rシステムの動作について、長時間の走行を経て全ドライバーからの詳細なフィードバックと、多くの情報を得ることができ、次のテストまでに克服すべき新たな問題も発見できた。今回の目標は達成でき、喜んでいる」と語った。
また、エース・ドライバーのアレックス・ブルツは、「今回のテストは興味深いもので、貴重な経験を重ねることができた。ハイブリッド・システムを含めたコンポーネント間の連携について最適化を続けており、TS030 HYBRIDは更なる進化を遂げている。耐久テストでいくつかの問題も発生したが、それがテストを行なう理由だ。チームのスピリットは強固であり、共に開発を進めていく喜びを感じている。我々は日々、お互いに理解を深めている。テストは、喜ばしい結果と言える」とコメントした。
また、公開前のテスト走行でTS030のシェイクダウンを担当した石浦宏明は、「TS030 HYBRIDでの初の耐久テスト走行は本当にエキサイティングだった」と興奮気味。「ポール・リカール・サーキットを走るのは初めて、しかもナイトランだったので、最初は手さぐりだった。SUPER -GTでは夜間走行の経験はあまり無く、多くの経験ができ、有意義だった。多くの周回をこなすことができて良かったし、チームとの二度目の作業もエンジョイできた」。
久々の海外でのチャレンジに意欲を見せる中嶋一貴は、「全体的にテストは上手く行った。初めての耐久走行であり、レースのコンディションにより近い状況でのテストをすることができた」と冷静になコメントを寄せた。「気温が低かったが、車両もタイヤも問題なかった。多くのスティントをこなし、非常に忙しかったが、長い距離を走破できた。ここまでは問題なく、TS030 HYBRIDのポテンシャルの高さも示せていると思うが、細かいところなどまだまだ開発が必要なところはあるが、正しい方向に進んでいると思う」。
また、2台目のマシンのドライバーとしてテストに初参加した、去年スクーデリア・トロロッソでF1を戦ったセバスチャン・ブエミは、「TMG(ドイツ・ケルンのトヨタ・モータースポーツ有限会社:チーム本拠地)でドライビング・シミュレータは体験しており、ある程度想像はしていたが、実際に乗ってみると別物だ」と目を輝かせた。「技術的観点からTS030 HYBRIDは非常に興味深く、改良の余地はあるが、今のようなテストの段階では当然のこと。ロング・スティントをこなし、ナイトランや燃料消費の管理など、耐久レースの走り方について学び、自分のドライビング・スタイルを合わせていった。これらの全てが速くなるために重要なトレーニングだと思う」。
トヨタ・レーシングの次のテストは4月中に予定され、チームでは、5月5日(土)にデビュー戦の決勝レースを迎えるFIA世界耐久選手権第2戦のスパ-フランコルシャン6時間に向けたアップデート・パッケージの準備に専念している。