フェラーリの絶縁グローブ
フェラーリのメカニックが腰に着けているのが絶縁グローブ。
スペインGPでは、ルノーとBMWザウバーが”放棄”した形になっているKERSシステム。マクラーレとフェラーリだけになった”搭載組”のなかで、フェラーリのマッサが予選4位に食い込んだ。
ブレーキのエネルギーを利用して溜め込んだ電気エネルギーを1周に付き7秒間だけ使える。未来的先進的システムだが、実はそうそうF1のレベルで効果を出すのは簡単ではないことを、KERS放棄宣言うした2チームが証明したことになる。
一方で、フェラーリとマクラーレンは徹底的にKERSでいく構えだ。今回、KERSはスタート以外にメリットがほとんんどない、といわれる屈曲したレイアウトのカタルニア・サーキットで、マッサが予選4番手に食い込んで進化の兆しをフェラーリが証明した。
KERSシステムは、重量増のことよりも、モーターのトルク(パワーではない)をスムーズに使うために、実はエンジン出力とは別のサスペンションに対する考え方とセッティングが求められる。KERS組の苦労はその辺りにもあると見られている。
ところで、KERSカーかどうかの見分け方は、ボディに貼られたEマークか△に雷マークかで判断できるが、ピットではもっと簡単な見分け方がある。KERSカーは、高電圧を帯電していることから感電の危険があり、メカニックが絶縁グローブをつけているのだ!
ところで、マッサの予選4位について、”一体本当にKERSが付いてるの? KERSつきにしては速過ぎないかい?”という疑問の声が上がった。カタルニア・サーキットは、スタートこそ、1コーナーまでの距離の長さでKERS有利ではあるけれど、「それを除けば優位性がないコース」のはずだからだ。マッサは、燃料搭載量が、トップグールプの中ではトゥルーリ+トヨタと並んで多く、つまりは重かった。にもかかわらずの4番手。
もしかすると、KERSがついてなくて、ついてることにする”形”としてグローブが必要じゃないの?”という意地の悪い声もある。だが、エンジンとは違うトルクの出方を巧いことコントロールしてドライバビリティ向上の糸口を見つけたのだとしたら、今後の”進化”によっては、手のつけられない強さになる可能性がある。そうなれば、赤いクルマ(もしくは銀色のクルマ)が勝って勝って勝ちまくる『フェラーリ(まためマクラーレン)退屈症候群』が戻ってくるかもしれない。スペインGPは、そこも含めて注目されるレースになりそうだ。