ピレリのリリースに、乾杯!!
ピレリが歴史をつくった?!
ある種”歴史的”な、ピレリの戦略予測が、リリースとして配布された。
ピレリというイタリアのタイヤメーカーが、いかにモーターレーシングをよく理解し、文化的なスタンスでタイヤを供給をしているかがかいま見えた。それはある種のピレリの”したたかさ”と言えなくもないが、久々のヒットと思えた。
そこでピレリは、実にポジティブに、自分たちのタイヤがいかにレースにとって重要かを伝えた。
もちろん、どのチームも、そしてもろん2年前までF1タイヤを供給していたブリヂストンも、そうした表現がなかったわけではないけれど、今回のピレリのリリースは、実にストレートな表現になった。ある意味、F1の歴史に残る出来事、と言ってもいいかもしれない。
トヨタがF1参戦中に配布していたリリースは、報道向けではなく、東京の本社向けだ、という厳しい見方もあったが、トヨタはそのスタンス変えず、したがって、役に立つ内容がほぼなかったといえるものだった。
今回、中国GPの予選が終了した土曜日のピレリのリリースには、予選の流れを伝えた後に、以下のような”予測”が掲載されていた。
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◆ソフトでスタート
1回目のストップ:6〜9周でミディアムへ交換
2回目のストップ:22〜26周でミディアムへ交換
3回目のストップ:39〜43周でミディアムへ交換
◆代替戦略/ミディアムでスタート
1回目のストップ:15〜18周でミディアムへ交換
2回目のストップ:33〜35周でミディアムへ交換
3回目のストップ:46周前後でソフトへ交換
ソフトタイヤのデグラデーションをコントロールするチームは2ストップも可能です。しかし、両コンパウンド間の性能差が縮まらない限り、2ストッパーの方が3ストッパーより遅くなる可能性があります。
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これまで、タイヤの交換時期は、チームの”機密事項”として、表立って伝わることがなかった。その理由は、機密だからというだけでなくレースを”予測する”ということじたいが、複雑な要素が絡み合って簡単ではなく、間違うとウソをいったことになってしまうからだ。無責任な予想は、企業としてやりにくい、というのが少なくとも日本の企業の場合の常識。しかし、ピレリは、違った。
積極的に予測を出すことで、より一層、レースを楽しんでほしい、というサービス精神と、モーターレーシングへの思い入れがリリースに現れていた。
もちろん、レースは複雑な要素が絡まりあって結果が出る。タイヤ交換のタイミングだけですべては決まらない。しかし、そこを機軸にしてレースを観れば、過去にない心拍数になっている自分を発見できるはずである。大切なのはキッカケ。ピレリは明確にそれをリリースという形で提供したのだ。
明日の午後3時(日本時間午後4時)にスタートする中国GP決勝を、ピレリに感謝しつつ観たいと思う。
[STINGER]山口正己