F1/モータースポーツ深堀サイト:山口正己責任編集

F1/モータースポーツ深堀サイト:山口正己責任編集 F1 STINGER 【スティンガー】 > F1ニュース >   即時解決が必須の安全タイヤ対策

F1ニュース F1の動向が一目でわかる新着ニュースや最新トピックを随時更新。

即時解決が必須の安全タイヤ対策

20130702_PIRRELLI.jpg
ドイツGPまでの数日間、ピレリの真価が問われる。

イギリスGPで、タイヤが連続してバーストした件について、ピレリ・タイヤは、”状況を深刻に受け止めている”と紳士的にリリースでコメントし、ポール・ヘンベリーモータースポーツ・ディレクターは、”早急な解決が最優先事項である”として、今週末のドイツGPまでに対策を講ずると述べた。

5台のマシン、それもすべて左後輪にバーストが頻発した。同じタイヤに起きたということから、ある意味原因を特定できる。それは、今回、舞台となったシルバーストンが、平均速度が200㎞/hを大きく越える超高速右回りのコースであり、左後輪に大きなストレスがかかることから、負荷が集中したため、ということだ。

コースが変わってタイヤへの入力負担が減れば、今回のようなことにはならない。しかし、いずれにしても、不安をもったままでは解決にはならない。

L.ハミルトンのタイヤ・バーストは、7周目だった。もともとメルセデスとL.ハミルトンのドライビングがタイヤへの入力が大きいとはいえ、僅か7周壊れるタイヤでは話にならない。ただし、スタート直後は150kgほどの燃料を搭載していることから、負担が増大したことも考えられた。

つまり、重量が軽くなる終盤は許容範囲ではないか、と。しかし、違った。トロロッソのJ.E.ヴェルニュは52周レースの35周目、マクラーレンのS.ペレスが46周目に、ほぼ同じ状況で左後輪がバーストした。S.ペレス(マクラーレン)の場合でいえば、スタート時よりも100kgは軽い状態だったにも関わらず、である。

したがって、シルバーストンのような超高速ではなく速度が下がるとしても、特にスタートしてしばらくの重量が大きいところでは、ストレス的に問題が起きる可能性を否定できない。

ハード的なタイヤ側の原因は、ピレリの解析を待ちたいが、ひとつ考えられるのは、イギリスGPの前戦のカナダGP以前に頻繁に起こったトレッド剥離を解決するために講じた対策が、今回のバーストを引き起こしているのではないか、ということだ。今回の対策に対して、連発したバーストという事態を予測する意見があった。

最も単純な解決策は、”硬くてどうしようもない”と酷評された昨年モデルに戻すこと。しかし、そうなると、今年のタイヤで開発した今年用のマシンでは、別の問題が起きることも考えられ、戻せばいいということでもない。

トレッド剥離もバーストも、3つの意味で大きな危険を伴う。まず、バーストしたタイヤを装着していたマシンはコントロールを失い、ステアリングを握っているドライバーを危険にさらす。次に、コントロールを失ってスピードが大きく落ちることから、後続車との接触や、破片を踏むことによるアクシデントも誘発する。そして、意外に重量のある”パーツ”が飛び散ることで、破片が後続のドライバーに当たることだ。タイヤのバーストは、思いの外、危険を伴うのだ。

1987年にイモラ・サーキットで行なわれたサンマリノGPの予選で、ネルソン・ピケがクラッシュした。タイヤにも原因のひとつがあるとして、当時タイヤを供給していたグッドイヤーは、一晩でアメリカからタイヤを空輸して、翌日のレースに間に合わせた、という話もある。アメリカとの時差に助けられたとはいえ、このときのような即刻対応が、今回も期待される。

今週末に迫ったドイツGP、ということは、金曜日のフリー走行開始まであと3日、ピレリがどう対応するか、注目しておきたい。

[STINGER]山口正己
記事が役に立ったなと思ったらシェアを!

F1 最新レースデータ

F1 ポイント・ランキング

F1ドライバーズ・ポイント
1位マックス・フェルスタッペン491ポイント"
2位セルジオ・ペレス240ポイント
3位ルイス・ハミルトン220ポイント
F1 コンストラクターズ・ポイント
1位レッドブル・レーシング860ポイント
2位メルセデス409ポイント
3位フェラーリ406ポイント

PARTNER
[協賛・協力企業]

  • CLOVER