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モナコ・モンテカルロの難易度と気になる天気

モナコ-ラスカス.jpg
最終コーナーの”ラスカス”。気持ちだけガードレールを外に膨らませて、これでもリスクを減らしているつもり?!

◆ハイリスク-ハイリターン!!
今日からモナコ・グランプリが始まる。木曜日にフリー走行1と2が、それぞれ現地の10時からと14時から1時間半ずつ行なわれる。日本時間は、7時間加えた17時と21時である。金曜日は、生活道路を開放する、という建前(?)で、観客を長く留めたい中日とし、土曜日以降は通常GPのスケジュールに戻る。

2010年に優勝したマーク・ウェバーは、ポールポジションからのスタート前に、前年ウィナーのジェンソン・バトンからこう言われた。「最後の1周は本当に長いよ」、と。ウェバーは、トップでチェッカードフラッグを受け、ロイヤルボックスに招かれた後、にしみじみと言った。「本当に、長かったよ」。モナコ・モンテカルロのコースが、如何にリスキーであるかを物語る名言だった。

通常のコースは、セフティゾーンと呼ばれるマージンがあるが、モナコにはそれがない。ならば、オーストラリアやシンガポールも、ガードレールに囲まれている公道コースだから同じではないか思うかもしれないが、モナコ以外のコースは、極端な話、直線を直角コーナーでつないだレイアウトであり、難易度はモナコが一番高いのだ。

アップダウンがある公道コースもモナコだけだ。1コーナーを登り切ったカジノ・コーナー付近は、パーマネントコースのようなワインディング。鈴鹿のS字区間がガードレールに囲まれていると思えばいい。

◆モナコは腕の見せ所
さらに、280km/h以上で通過するトンネルがある。中嶋悟さんは、初めてモナコを走った時、「トンネルの中は、緩く右に曲がっているから、前で何かあった終わり。エイヤッと目をつぶって行くしかない。目はつぶらないけれとね(笑)」と言った。

鈴木亜久里さんは、狭いモナコのことを尋ねると、”筑波と同じだよ。ガードレールがあるかないかだけ”と言ったものだ。

トンネルと言えば、1987年に鈴鹿にF1GPがやってくることになる前段階で、”立体交差があるのが問題”とされたことがあった。トンネルに比べれば、危険リスクは遥かに低い。要するに、”伝統”があるから、モナコは許されるのだ。

モナコの空.jpg
こういう空が拝めるのは、金曜日だけ?

ピレリ・コンサルタント ジャン・アレジは、「モナコは12回経験している。ドライバーが力の差を見せつけることができる場所。思い出すのは、1990年、ピレリタイヤを装着したティレル・フォードで初めて走ったモナコだよ。いいペースで走ることができ、優勝したアイルトン・セナとわずか1秒差の2でフィニッシュした。翌年はフェラーリで、セナとナイジェル・マンセルに次いで3位になった」と得意だったモナコを振り返った。

そして、こう続けた。「モナコは、エンジンパワーよりもマシンセットアップとドライバーのスキルが報われるサーキット。相対的な絶対速度だ高くないので、ダウンフォースが一番出るウィングを使うから、空力よりもタイヤが重要になる」、と、マシンポテンシャルだけでは計り知れないドラマを予感させるコメントを披露した。

モナコは、他のレースと違って、スケジュールが木曜日に始まる。2週間前に、日本人の久保田克昭さんが優勝したクラシックフォーミュラが行なわれたが、それ以外は、1年間、公道として機能していることから、路面が非常にダーティーで、走る毎に路面が改善されていく。

さらに、F1の走行がない金曜日を1日挟むことから、土曜日の予選での路面コンディションを読み、今回初投入されるスーパーソフトをどう機能させるかが勝負の分かれ目になる。

基本的に抜けないコースなので、予選は非常に重要なのは言うまでもないが、タイヤ交換のタイミングいかんで、レースの流れが大きくかわる可能性がある。そして、それは、リスキーなコースであることから、セフティカーの出動の可能性が高いことにもつながってくる。

◆タイヤ交換は、1回? それとも2回?
ピレリは、”タイヤ交換は1回でカバーできる”としながら、”必ずしも戦略的にそれがベストとは限らない”とも。そしてアレジは、「レース終盤の新品スーパーソフトが大きな差を生む」とも言っている。スーパーソフトの新品を温存できれば、レース終盤にもう一度スーパーソフトに交換し、どんでん返しが起きる可能性がある、ということだ。

ちなみに、去年優勝したニコ・ロズベルグは、ポールポジションからスタートし、スーパーソフト – ソフト – スーパーソフトとつなぐ2ストップ戦略だった。

また、低速からの立ち上がりでは、ターボと回生エネルギーによるモーターによって増強した低速トルクで、ホイールスピンのリスクが増加した。”ホイールスピンを回避することによってタイヤをケアすることがより重要”とピレリは言っている。

そして、”空力グリップよりもメカニカルグリップが重要なため、タイヤを理想的な作動温度領域に入れ、その状態をキープすることが極めて重要”とも。適正なタイヤ・ウォームアップを伴った一貫したスムーズなドライビングスタイルが不可欠、ということだ。

そして、不気味なのは、変わりやすいモナコの天候。週末は金曜日が晴れマークだが、土曜日と日曜日には雲が広がって気温が20度以下に下がる予報。木曜日の予報は、雨模様である。

[STINGER]山口正己
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