流れはハミルトンに?! — ホットライン rd.14 シンガポールGP 1/2
ガードレールに囲まれ、リスキーで、燃費にも厳しいマリーナ・ベイ市街地サーキットで行なわれたシンガポールGP。ニコ・ロズベルグをトラブルが襲い、ルイス・ハミルトンがポイントリーダーの座を奪って、ますます目が離せない終盤戦へ。
レース好きのエディター羽端さんと、STINGER編集長が語る、シンガポールGPの見所。
◆チャンピオンに”なれる”ための条件・・・・
羽端恭一(以下、羽端):おもしろいレースでした! ・・・・で、あらためて、ルイス・ハミルトンの強さがわかったというか。シロートだから、この時点でこんなこと言っちゃいますけど、今年(のチャンピオン)はルイスだなあ、と。
STINGER編集長山口正己(以下、STG):素人もなにも、未来のことは神のみぞ知るってことですけど(笑)、う〜ん、確かに流れはそういう感じですね。
羽端:何というか、その年の幸運の量と不運の量、年間でね。そういうのがあると思うんですよ。
STG:あるある!
羽端:どのくらいツイてて、どのくらい恵まれないかというのかな。それでルイスって、その”不運”の部分は今年の前半で消費したんじゃないか、と。だから、このシンガポールも含めて、これから先はその種のことはない。
STG:確かに。
羽端:対してニコ・ロズベルグは、そうした不運の部分が、むしろこれから出て来る。言い換えると、これまでルイスと対等みたいに見えていたのは、彼が今年の前半、ずっと幸運だったからだ(笑)。
STG:速さで言えば間違いなくルイスだと思うんですが、でも、モーター・レーシングは複雑な要素が絡み合うので、それだけではなくて。で、仰る”運”もそうとう作用しますからね。
羽端:・・・・まあ、ここまで言うと、ちょっと言い過ぎなんですけどね(笑)。
STG:でも、たしかに 過去のチャンピオンを振り返っても、映画『ラッシュ』のラウダとハントもそうでした。前半で、ハントがウィングの車両規定でポイントを剥奪されたと思ったら、中盤でラウダがアクシデントに遭って。最終戦の富士スピードウェイの雨は、甦ったラウダにとってつらい仕打ちだった、というような。
羽端:そうでしょう?
STG:セバスチャン・フェッテルが最初にチャンピオンを獲った時もそうだった。
羽端:最後の方で、フェルナンド・アロンソとやりあってましたね。
STG:韓国GPでポール・ポジョンからスタートしながらエンジントラブルでリタイアしたとき、当時ブリヂストンにいた浜島さんと、”今年勝てなかったら、彼は永久にチャンピオンにはなれないかも”と話をしたことを思い出しました。
羽端:でも、そこを乗り越えたら4年連続チャンピオン。
STG:ですね。最初のチャンピオンは、さらに、”運”を引き寄せるパッションがないと。
羽端:あー、なるほど。
STG:ひとつは、ルイスがチャンピオン経験者という強みがあると思います。
羽端:それもひとつありますね。
STG:チャンピオンだからこそ、という言い方もできるかも、ですね。
羽端:これまでのハナシを全部ひっくり返してまとめると、自分より速いのがいた時に、コーナーで後ろから、その彼にぶつかっていくようなやつに、年間チャンピオンの資格はない、と。そういう簡単なハナシでもあるんですけどね(笑)。
STG:う〜ん、そこは難しいところですね。ぶつけちゃだめだし、モナコみたいに、予選でわざとコースオフして相手のアタックを阻止したような見え方になるのはよくないけれど、とにかくギリギリまで攻めないとチャンピオンにはなれない、という側面もあるし。
羽端:まぁね。でも、とにかく、きれいに決めてほしい!
STG:賛成!(笑)。
Photos by
MERCEDES AMG PETRONAS Formula One Team (ハミルトン&ロズベルグ、ハミルトン、ロズベルグ)
GAGA (ラッシュ—プライドと友情のハントとラウダ)