タイヤバーストの原因は使い方

バーストは、使い方で誘発された。ピレリの責任ではない。
スパ-フランコルシャンのベルギーGP決勝で、3番手を走っていたフェッテル+フェラーリ のタイヤがバーストした。
これに対してセバスチャン・フェッテルはフェラーリのリリースで、”こんなことが前触れもなく起こらないように、お互いに話し合う必要があるよ。起こったことに対してなにも説明がないからね。あれはパンクじゃない、タイヤがとにかく破裂したんだよ”と、タイヤが悪いかのようなコメントをしている。
これに対してピレリは、”使用上限が22周だったにも拘らず、フェッテル+フェラーリ は27周走っていた”と反撃した。
フェラーリとピレリのどちらの意見が正しいかの前に、もし、タイヤの問題でバーストが起きていたのとしたら、ピレリはすべてのタイヤを回収して、別のタイヤを供給しなければならなかったはずだがそうしなかった。
それは、タイヤが”通常に”使われていれば安全である、と保証できたからである。そうでなかったら、危なくて(ドライバーの安全も、そしてピレリ自身の保守の意味でも)同じタイヤを使えないはず。
1987年サンマリノGPで、ネルソン・ピケのウィリアムズ・ホンダが、高速コーナーでタイヤの問題でクラッシュしたとき、当時一社供給していたグッドイヤーは、一晩で全チームに供給するタイヤをイモラ・サーキットまで運ぶ離れ業を実行したことがあった。
タイヤに問題があるか、もしくは、アクシデントの原因が特定できない場合は、何があっても交換が必須だ。それをしなかったのは、タイヤを交換する準備があったかどうかは別にして、そういうリスクを背負うことは絶対にしないはず。つまり、ピレリの言い分が正しいことになる。
一昨年のシルバーストンでの”回転方向逆使用”にしても、ピレリから”逆向きに使ってはダメ!!”という強行な命令がなかったところに供給サイドの責任があったとしても、タイヤのせいではなくて使い方のせいだった。
空気圧も、限界周回数も、限界を越えてもそれでも大丈夫なタイヤを作れ、というのは無理な注文。タイヤに原因があったとするのは、最も簡単な解釈の仕方かもしれないが、ピレリにとっては死活問題になる。
土曜日に、ロズベルグ+メルセデスのタイヤが、走行中に壊れてスピンしたアクシデントについてピレリは、そうなった原因は、調査の結果、『外的要因』としている。これも、仮にタイヤの問題が原因だったとしたら、当然回収作業が行なわれてしかるべきだ。
つまり、ピレリは形だけでこうした発表はできない。少しでも有利な状況を創り出したいチームが、無茶を実行して、それをタイヤのせいにされたのでは、タイヤの供給元はたまったものではない。
[STINGER]山口正己




