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今年のフェラーリは注目に値する!!

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下半分が2015年モデル、上半分が今年のSF16H。黄色の矢印部分の”太さ”に注目!!


◆太ったフェラーリが痩せた理由
続々と新車が登場し始めた。レッドブルRB12が、現代風の艶消し塗装で注目を集めたが、それに比べればオーソドックスながら、実にイタリアらしい美しさのフェラーリSF16-Hは、今年の注目マシンになることを予感させるフォルムで登場した。

2014年に”失敗作”の烙印を押され、リヤ部分を太らせることで2015年に3勝を記録したそのリヤカウルを、再びスリムにして登場したからである。

リヤの絞り込みは、リヤウィングに効率よく空気を流し、より少ない抵抗で大きなダウンフォースを獲得するためのアイデアである。それほどまでに空気の力は大きいということだが、マクラーレン・ホンダは、1年遅れで”サイズ・ゼロ”と呼ばれるそのアイデアを取り入れ、そして2014年のフェラーリ同様酷い目に遭った。それを見たパドックでは、「フェラーリが失敗したのにマクラーレン・ホンダはダメに決まっている」とささやいた。

リヤを絞り込んだ2014年のフェラーリF14Tが、狭められたリヤカウルでパワーユニットのスペースユーティリティが犠牲になり、結果としてダウンフォースは稼いだもののパワー不足に泣き、フェルナンド・アロンソとキミ・ライコネンは未勝利の辛いシーズンを過ごすことになった。「マクラーレン・ホンダは、それも分からずに愚かなことをやったもんだ」、と訳知り顔の声が聞こえた。

フェラーリはそこを反省し、2015年のSF15-Tは、リヤを”太らせて”登場。メルセデスには遠く及ばなかったものの、3勝したことで、リヤ部を小さくしたのは間違いだったことを証明したかのようだった。だが、フェラーリは再び2016年用のマシンのリヤを細くしてきた。やはり空気の力は棄てがたく、そのために、改めて”狭いスペースで効率のいいパワーユニット”の開発を達成させたのである。

リヤを絞り込んだ2014年の基本思想が間違いだったのではなく、狭いスペースで効率のいいパワーユニットができなかった、ということだったのだ。今年のフェラーリSF15-Tのパワーユニットは、狭いスペースでも力を発揮するポテンシャルを身につけた。空力的なポテンシャルアップも実現した。

◆風が吹けば桶屋が儲かる?!
ところで、フェラーリの駿足が現実なら、マクラーレン・ホンダの狙いも間違いがないことになる。新井康久ホンダF1レーシング代表は、「サイズ・ゼロをやめる理由はない」と、昨年12月に行なったSTINGERのインタビューに答えている。

バトン+マクラーレン・ホンダ (2).jpg

「今年やってきた方向に対して、変える理由もないし、変えてよくなる部分は見えない。別にサイズ・ゼロが邪魔しているわけでもなんでもないので。そもそもコンパクトに設計するというのは物事の基本で、それが間違っているとなると、サイズ・ゼロに限らず、物事の摂理が全否定になってしまう。メカニカルな部分をコンパクトにしていくのは、クルマだけでなくて、いろんな利点が出て来るけれど、それが活かせていない、というのは事実。なので、もっと初年度をベースに2016年のマシンをマチュア(熟成させる)していこう、というのは、マクラーレンとも合意していることです」と言っている。

ホンダが2015年にもがき苦しんだのは、復帰初年度だったことと、想像以上に開発には資金的にも人的にも負担が大きかったこと、そして、タービンの大きさが、想定したものより小さかったことなどが想像できるが、フェラーリのSF15-Tによって、サイズ・ゼロが間違ってはいなかったことが証明されることになった。

もちろん、実際のレースでは、外見だけで判断できない現象も起きる。ライコネンも発表会で、「走ってみなければ分らないけれど」と、率直な意見を口にした。だが、白いペイントの面積が増えて美しく仕上がったカラーリングの印象通りの走りを期待してもよさそうだ。

フェラーリがメルセデスにどこまで追いつくのか、22日から始まるテストが楽しみになった。

[STINGER]山口正己
photo by FERRARI/HONDA
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