ポールリカール復帰が嬉しい理由
地中海沿いの南フランス。青空と開けた空間が爽快な気分を演出する素晴しい舞台装置。
2018年にフランスGPが復活する。最後の舞台となっていたマニクールだったら、あまり嬉しいニュースではなかったが、ポールリカールと聞いて、思わず”オッ”と声が出た。それはポールリカールが素晴しいサーキットだからだ。
いや、ミストラルという名のストレートや、シーニュという特徴的なコーナーがあるからではない。長いストレートから緩く右に曲がり込むそこは、確かにスペクタクルなオーバーテイクを何度も見せてくれたが、ポールリカールの魅力は、そうしたマニア向けではないところにある。
1991年に、フランスGPがポールリカールからマニクールに移った時、多くの関係者が嘆き哀しんだ。マニクールが、パリから3時間ほどかかる交通の便が最悪な田舎で、周囲にはまともなホテルもなく、単にミッテラン大統領のいわば依怙贔屓で親友のギ・リジェが本拠を構えていたマニクールに無理やり引っ越した、という不自然さだけでなく、ポールリカール・サーキットが特別な立地条件だったからだ。
ポールリカールは、マルセイユから東のニース方向に直線距離で40kmの山の中のル・カステロというフランス最南端の地中海沿いの地域にある。そこは小高いなだらかな丘の上で、解放感あふれる場所だ。そしてフランスGPが行なわれていた7月上旬は、ほぼ100%快晴に恵まれ、解放感は倍増する。
地中海に向けて坂を下ると、20分ほどでバンドールという小さな港街があるのも嬉しい。ワインでお馴染みのあのバンドールだ。ワインもおいしければ、魚も最高。F1をひとつだけ観に行くとするとどこがいいですか?と訊かれたら、特別なイメージがあるモナコ、と言いたいところだけれど、ズバリフランスGP!!と答えていたのは、解放感と好天とおいしい食事があったからだ。
嬉しいことに、2018年のフランスGPも、7月にスケジューリングされることになりそうだ。当然、スケジュールの決定権を持つメンバーも、ポールリカールの立地条件を知っている。[STINGER CLUB]で、ツアーの候補に上げておきたいフランスGP復活である。
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[STINGER]山口正己