なぜ、アロンソは”神ドライブ”と言われたのか?
開幕戦のレース後、ホンダF1レーシングの長谷川F1プロジェクト総責任者は、会見でアロンソのレースに触れ、『神ドライブ』というフレーズを使った。アロンソの何が”神”だったのか。
フェルナンド・アロンソは、リカルド+レッドブルが5グリッドダウンのペナルティを受けたことで、13番手の予選結果からひとつ前の12番手グリッドからスタート。得意のスタートで1台(フルケンベルグ+ルノー)を交わし、11番手でレースを始めた。
レース中盤、アロンソは入賞圏内の10番手に食い込んできた。ここから、アロンソの”神ドライブ”が始まった。
直後に、オコン+フォースインディアとフルケンベルグ+ルノーが食いついていたが、アロンソは、単にポテンシャル以上の走りをして2台を押され続けた、ということだけではなかったのだ。
ピットでつぶさにデータを観察していた長谷川F1プロジェクト総責任者は、アロンソが、後ろの2台をコントロールしていることに気がついた。
「後ろのオコンをDRSが使える1秒以内に引き寄せておいて、オコンが後ろのフルケンベルグに抜かれないように引っ張っていたんです」
そこまでのデータから、フルケンベルグ+ルノーがオコンを抜いてアロンソ+マクラーレン・ホンダの背後にきてしまうと、前に出られる可能性が高かった。金曜日からのデータからも、レース中の状況からも、アロンソはエンジニアとともにそれを察知し、だからオコンをフルケンベルグの防御壁として使った、ということだ。
アロンソは、マクラーレン・ホンダのポテンシャルを、「下から3番目」と言ったというが、それより前のフォースインディアとルノーを、コントロールした。さらに、「燃費を気遣いながらですから」と長谷川総責任者。だから”神ドライブ”だったのだ。
アロンソはレース後、こんなところで満足するために戦っているのではない、としながら、「今日のレースは、F1経験の中で最高のドライブができた」とコメントしている。
もちろん、上位で戦うためにここにいるはずのアロンソとマクラーレン・ホンダだが、上位陣の中で戦えるようになるまで、ドライバーのポテンシャルを注目点に挙げておきたい。どうやら今年のマシンは、ドライバーの能力が如実に影響する傾向があるようだし。
[STINGER]山口正己
Photo by McLaren Honda