重量発表で作戦が見えた!!
◆正反対のルノーとブロウンの作戦
ハンガリーGPのスタート時点の重量が発表された。最低重量605kgから、燃料搭載量が読める。今回は、チームの作戦が明確で面白い。
まず、ポールポジションのアロンソは、予想通りの超軽。ルノーのデータによると、オンガロリンクは、10kg重くなると0.43秒遅くなる。とすると、仮にアロンソがフェッテル+レッドブルと同じ燃料を積んでいたとすると、0.75秒遅くなって、6位に落ちる。
しかし、アロンソは、単にポールを取りたかったのではなく、3ピット・ストップに勝機を見いだしてるのだ。簡単ではないけれど、正攻法では勝てない。護りのチームには真似ができない作戦だ。もちろん、アロンソの揺るがないデタミネーションあってこその作戦でもある。
◆手堅い(!?)ブロウン
その真似ができなかったのが、ブロウン。いや、そもそもブロウンさん、真似をする気はサラサラなかった? バトンに665.5kg、バリチェロにはなんと689kgを背負わせてスタートさせる。
2チームの作戦は、これまたルノーの資料によると、フンガロリンクの燃料消費が1周につき約2kg使うとのことだから、アロンソは16周目にはピットに入らねばならないのに対して、バトンは22周まで、バリチェロは70周レースの半分を楽々越える42周まで引っ張れることになる。つまり、バリチェロは、1ストップもあり、ということだ。
3ストップは無謀にも映るが、ピットロードのレイアウトから、他のコースよりもピットインのロスが短くて済むオンガロリンクは、3ストップは現実味がある。さらに、抜きにくいフンガロリンクのグリッドは、前にいるほどレースを有利に進められる。
ところが、なのにブロウンは二人とも重かった。バリチェロは後方スタートだが、”抜けないコース”を考えると、超重はありか。いずれにしてもバトンの重さは、よほどレースに自信がある、という解釈もできる?
さて、どちらが正解か。また、これまで、650kg前後でブレがなかったブロウンが重い燃料でスタートすることを決め、さらに二人に20kg以上の差をつけた裏にあるのは、苦し紛れなのかそれとも。後半戦に向けて、ブロウンのマシンポテンシャルがどういう方向に向いているか、レースの流れが教えてくれそうだ。
◆ハミルトンのダッシュに注目
ポールポジションのアロンソと、ブロウンの2台、そしてQ3進出が金星だったブエミの4台を除いたトップ10の6台は、650kg台で足並みが揃っている。
そこで注目されるのが、予選4番手のハミルトン+マクラーレン。2台のレッドブルよりやや軽めで、かつKERSを持っている。スタートの1コーナーで、前戦のドイツGPのようにダッシュが決まれば、レースのカギを握る存在になるかもしれない。
オンガロリンクは、元々追い越しが難しい。ハミルトン+マクラーレンが前に出たら、”抜かれない武器”であるKERSの威力が証明されることになるかもしれない。
ちなみに、ブロウンのバトンはコースが汚れたダーティー・サイド。斜め後ろから、やや軽めの一貴が前に出る場面も考えられるから、いつものレース以上にスタートは大きな見どころになりそうだ。
※上記記事で、ハミルトンの予選順位が「3番手」と間違って表現されていましたので、「4番手」に修正しました。
予選順位 | No. | ドライバー | チーム | 総重量 | STG重量 | 目安 |
1 | 7 | アロンソ | ルノー | 637.5kg | -33kg | ▽▽▽ |
2 | 14 | ウェーバー | レッドブル | 652kg | -18kg | ▽▽ |
3 | 15 | フェッテル | レッドブル | 655kg | -15kg | ▽ |
4 | 1 | ハミルトン | マクラーレン | 650.5kg | -19kg | ▽▽ |
5 | 16 | ロズベルグ | ウィリアムズ | 654kg | -16kg | ▽▽ |
6 | 2 | コバライネン | マクラーレン | 655.5kg | -14.5kg | ▽ |
7 | 4 | ライコネン | フェラーリ | 651.5kg | -18.5kg | ▽▽ |
8 | 22 | バトン | ブロウン | 664.5kg | -5.5kg | |
9 | 17 | 中嶋一貴 | ウィリアムズ | 658kg | -12kg | ▽ |
10 | 3 | マッサ | フェラーリ | ———- | ———- | |
11 | 12 | ブエミ | トロ・ロッソ | 671.5kg | +1.5kg | |
12 | 9 | トゥルーリ | トヨタ | 671.3kg | +1.3kg | |
13 | 23 | バリチェロ | ブロウン | 689kg | +19kg | ▲▲▲ |
14 | 10 | グロッグ | トヨタ | 679.2kg | +9.2kg | |
15 | 8 | ピケ | ルノー | 667.7kg | -3kg | |
16 | 6 | ハイドフェルド | BMWザウバー | 658kg | -12kg | ▽ |
17 | 21 | フィジケラ | フォースインディア | 680.5kg | +10.5kg | ▲ |
18 | 20 | スーティル | フォースインディア | 683.5kg | +13.5kg | ▲ |
19 | 5 | クビツァ | BMWザウバー | 666kg | -4kg | |
20 | 11 | アルゲルスォリ | トロ・ロッソ | 675.5kg | +5.5kg |
<目安>
*670Kgを基準値として、重くなる場合は▲、軽くなる場合は▽
*▲と▽は、ひとつ=10~15kg、ふたつ=15~20kg、三つ=20kg以上