決戦前夜のザヒール・サーキット
◆フェラーリ優位?!
明日から開幕戦のスケジュールが始まる。夕方のピットには、チームの状況がそこかしこに現れて面白い。
夕方5時。唯一、フェラーリだけがタイヤ交換の練習をしていた。この時間は、並行して車両検査が行われる。当然のことだが、車検を受けるためにはクルマの組み立てが完了している必要がある。つまり、準備万端整ったチームから、車検を受け、それが終わったところでタイヤ交換の練習をする、というのが最も自然な順番だ。
ここから、フェラーリの優位が見える、というのはやや気が早いか。フェラーリは、タイヤ交換の練習を、まだ若干明るい5時30分には終了していた。
◆新たな工夫
メルセデスがタイヤ交換を始めたのは6時を回った頃だった。ロス・ブラウンが見守る中で、手際よくルーティンワークを確認した。
メルセデスGPのピットで目に着いたのは、フロントジャッキ。今年は、電動のジャッキが禁止されたため、各チームが趣向を凝らしてタイヤ交換にあたる。ブラウンのフロントジャッキは、レバー部分が左右に大きく振れるようになっている。正面でマシンを受けてレバーを押し下げてジャッキアップ。タイヤを交換している間に、ジャッキの担当者は、レバーを持ったまま30度ほど横移動する。タイヤ交換が終わると、ジャッキを下ろし、前方に投げるようにしてジャッキを抜き取る。正面にいてジャッキを降ろしてから横に逃げる必要がないから、その分早くピットアウトが可能、という寸法。
◆時間切れ?!
一方、新参チームは、車検に間に合わないのではないか、という状況が見える。特に、3月に入ってからチーム名を変えたイスパニア・レーシングは、準備をしているというより、マシンを作っている状態。整理整頓世界選手権のF1GPへの参戦が簡単ではないことを証明するように、完全に陽が落ちても、作業を終えられない状態が続いていた。
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