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イスパニアが”緊急リリース”を配布した裏舞台

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フリー走行2の間に、イスパニア・レーシングの広報担当が、プレスルームでリリースを配布した。

メインテーマは「イギリスGPに山本左近を起用した」というものだが、並列して触れられているB.セナについての記述の中に、チームの複雑な事情が見え隠れしている。

B.セナとイスパニアの関係として、以下のようになことが思い当たる。

◆B.セナとチームの契約は、イスパニアとしてスタートする前の”カンポス時代”。つまり、現在のチーム代表のC.コレリスの選択ではなかった。
◆ブラジルのペトロブラスを始めとするスポンサーが頼りだったが、支払いがない。
◆期待されたB.セナのポテンシャル的にも、時としてK.チャンドックを越えられていないレベルに留まっている。

チームとしては、後半戦を戦う抜くために資金は必須。その前に、実は、コレスチーム代表は、左近+C.クリエンのコンビを理想としているが、C.クリエンはスポンサーがなく、資金持ち込みができない。

こうした状況を含んだ上で、チームの発表を読み返すと、違う視点が現れるかもしれない。

例えば、左近をイギリスGPで採用することに関して、「在籍している4人のドライバーの中から」と表現し、さらに、B.セナの”憶測”に触れる項目では、「今後もドライバーのひとりとして在籍し、2010年シーズンの残るレースに参戦する」としている。

つまり、B.セナは、今後もイスパニアの”4人のドライバーの一人”ではあるものの、レース・ドライバーとしてのポジションを継続するとが保証されているわけではない。

さらに左近について、「28才の誕生日に、再びイスパニア・レーシング、HRT F1チームのマシンを走らせる」と表現していることから想像できるのは、「契約上、B.セナとの関係を絶つことはできないが、資金的パフォーマンス的に、レース・ドライバーとして継続は不可能」ということだ。

では、今後のレースは、左近が乗ることになるのかと言えば、それは明確ではない。左近がフリー走行を前にして、「申し訳ないですが、現在できるコメントはありません」と答えたのは、その辺りの含みがあったからかもしれない。

クリエンと交代でステアリングを握る、というのが、現在の情報から予測できる最も信憑性の高い形だろう。

[STINGER] / 山口正己
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