小林可夢偉×前原国土交通大臣 対談全録
左から、溝畑宏観光庁長官、小林可夢偉、前原誠司国土交通大臣。
第12戦を終え、ハンガリーから帰国した小林可夢偉は、8月4日、前原誠司国土交通大臣と対談し、今後の日本のモータースポーツや自動車業界について、それぞれ想いを語った。
前原誠司国土交通大臣(以下、前原大臣):F1での成績というのは?始められたところではありますが。
小林可夢偉(以下、可夢偉):そうですね、最初の方(シーズン序盤)は、難しかったんですけども、最近は順調に良くなって、ポイントもコンスタントにとれるようになってきてます。
前原大臣:(F1というのは)小林さんのような、ドライバーもですが、チーム全体がサポート体制をとらないといけませんね。
可夢偉:ほんとうに、究極のチームスポーツというか、それがF1なので。F1チームにはだいたい400人、500人が2台の車を走らせるために働いていて、チームとして大きいし、僕らとしても、すごい重要な立場の仕事だなと思いながら、最終的な成績について言えば、ドライバーにかかっています。
前原大臣:そうですね。
可夢偉:そういう人間(ドライバー)が24人、26人(控えのドライバーも含めて)いるので、そういう意味では、僕がここにいるのは、限られた人間だと思いながら、日本代表として頑張っていきたいと思っています。
前原大臣:この頃、若い方が段々段々、クルマに関心を持たなかったりしてるんです。私、48(歳)なんですけれど、とにかく大学に入ったらクルマの免許取って、アルバイトして、中古車を安くで買って、クルマの運転をしたものですけど、この頃の若い人はクルマにはあまり乗らなくなりましたよね。小林さんはどういう経緯で(クルマや、モータースポーツに関心を持つようになりましたか)?
可夢偉:僕自身は、小さい頃からクルマに興味があって。僕のお父さんはあまり興味が無かったんですけど。それで、たまたまテレビでゴーカートの番組を観て、当時9歳で、そのとき、初めて9歳でもゴーカートに乗れるんだということを知って、お父さんにすぐに連絡して”連れてって”と言って。それがキッカケでこの世界に入りました。
僕が今、この立場にいて、大事だなと思うことは、先ほど前原さんが言っていただいたように、やっぱり、(若い方に)クルマに興味を持っていただいて、ドライバーやスポーツだけではなくて、技術面でも、やっぱり車が好きだから車に触りたいと思ってもらうことによって、技術とかも上がってくると思います。だから、そういう意味でもっとモータースポーツから、クルマ自身に興味を持っていただくためにも、F1を盛り上げるというのはすごく大事で。
僕がF1で成績を残すというのは、過酷ですごく大事なことなんですけど、それ以上に日本人としてF1をやっていく中で、そういう風にモータースポーツを盛り上げて、クルマにもっと、(若い)世代の人たちに興味を持っていただいて、それが最終的に技術に変わってっていう風に考えていただければ、これからの日本のモータースポーツや自動車企業が大きく変わるんじゃないかなと思いますので、(前原さんにも)ご協力いただければと思います。
前原大臣:リーマンショックの後、企業の経営状況が悪くなって、F1から撤退したりもしてましたけど、小林さんのような若い方が夢をもってやられて、全世界で、6億人くらいがF1を観ているということで。私も、それほど(F1には)詳しくはないですけども、ミハエル・シューマッハがまた復帰したとか、セナとか、有名な方がおられる中で、日本でも最近はあまり、著名な方がおられないというのは残念なことですけども、小林さんがね、どんどん勝ってもらって、良い成績を残して、日本の小林から、世界の小林になっていただいて、そしてまた、日本のモータースポーツや、あるいは自動車会社が、もう一度バックアップしようということになっていただければ、ありがたいなと思っています。…プレッシャーをかけているわけじゃないですよ?(笑)
可夢偉:大丈夫です!プレッシャーは僕は常にあるんで!
前原大臣:あ、それはそうでよすね。(笑)
溝畑宏観光庁長官:ハンガリーでこの間、9位に入ったんです。この日に合わせて、9位に。
前原大臣:おー、そうですか、おめでとうございます。
可夢偉:ありがとうございます。 是非、(鈴鹿に)F1を観に来てください!
前原大臣:ええ、(それまで)国土交通大臣をやっていれば(笑)
可夢偉:よろしくお願いします。
前原大臣:注目してますので、頑張ってくださいね。本日は、わざわざお越しいただいて、ありがとうございました。
可夢偉:ハイ、ありがとうございました!