スパの見どころ—[STINGER]はスパをこう観る!!
◆可夢偉は、バトンとの相性抜群!!
小林可夢偉(ザウバー・F1・チーム)は、2004年ヨーロッパGPの佐藤琢磨と並び、日本人最高位の予選2番手からスタートする。前には、斜め右にポール・ポジションを奪ったジェンソン・バトン(ボーダフォン・マクラーレン・メルセデス)がいるだけだ。そのJ.バトンと可夢偉は、相性のいいドライバーとして知られる。
可夢偉がデビューした2009年のブラジルでも、次のアブダビでも、タイミングよく”新人”は”チャンピオン”をパスしてみせた。ついでに言えば、J.バトンと道端ジェシカさんの恋仲は周知のこと。日本人に対して、通常のイギリス人より、敵愾心は少ないはずだ。
後ろの3番手にいたパストール・マルドナルド(ウィリアムズ・F1・チーム)は、予選中の走路妨害のペナルティで3グリッド下がったが、代わりにそこにはキミ・ライコネン(ロータス・F1・チーム)がきたけれど、J.バトンと、どう絡んでレースができるか。可夢偉ウォッチをする上で、最初にして最大の注目点に違いない。
◆スパとDRS
ベルギーGPの舞台、スパ-フランコルシャンは、心臓破りの超高速”オールージュ”を駆け上がった後に、長いストレートが待ち受けている。ここで前車との間隔が1秒以内なら、DRS(drag reduction sistrm/可変リヤウイング)を使って、追い越しが比較的やり易い。
一方で、”やり易い”ということは、”やられ易い”ことでもある。抜いたからと安心できない。次の周の同じ場所で、抜き返される可能性がある。つまり、あえて抜かずに後ろで待って、最後の最後に仕留めれば、そこから先で追い越しは簡単ではない。
しかし、可夢偉も言っているように、そうそう簡単にはことは運ばない。可夢偉のフェラーリ・エンジンは、J.バトンのメルセデス・エンジンに比べて馬が足らないのは周知の事実。だから可夢偉は、”オールージュでがんばって(より高速で抜けて)、次のストレートで抜くしかないでしょう”と言っている。この辺りのせめぎ合いを可夢偉がどう闘うかが、二つ目の見どころだ。
◆バトンのセッティング
J.バトンは、木曜日の会見で、スパ-フランコルシャンでこれまでいい成績がないが、なにかあるのか、と質問されて、苦笑いした。そのJ.バトンがポールを取ったのだが、気になる情報がある。”長いストレートで、残り800mくらいでエンジンのリミッターが当たりっぱなしだった”というのだ。
金曜日にギヤ費を決定しなければならない規則だが、マクラーレンとJ.バトンは、7速がそこまで伸びるとは思わないレシオのギヤを選んでいたことになる。この情報が正しければ、最高速に到達するまでの時間は、低いギヤ比で早いけれど、そこから先の伸びがない、ということになる。
そもそも、スパが不得意のJ.バトンは、ポールを取れると思っていなかったのではないか。同じポテンシャルのマシンなら、ルイス・ハミルトン(マクラーレン)の方が”捨て身の一発”で前にいるはずだが、L.ハミルトンは7番手だった。好調なフェルナンド・アロンソ(スクーデリア・フェラーリ)のポジションも5番手。ここからすると、もしかして、それぞれのチームが考えたことと、なにかが変化した状況で予選が闘われたことになる。
例えば路面コンディションである。気温やGP2のレースで、日曜日の路面はさらに別のモノになっているかもしれない。
いつも以上に予断が許されないレースになりそうだ。