F1/モータースポーツ深堀サイト:山口正己責任編集

F1/モータースポーツ深堀サイト:山口正己責任編集 F1 STINGER 【スティンガー】 > F1ニュース >   サイズ・ゼロに冷却問題はない–[STINGER]特別企画:新井代表に訊く2/3

F1ニュース F1の動向が一目でわかる新着ニュースや最新トピックを随時更新。

サイズ・ゼロに冷却問題はない–[STINGER]特別企画:新井代表に訊く2/3

f1150923002H.jpg
冷却の問題は数戦でクリアーしている(新井代表)。

1/3からつづく)

◆サイズ・ゼロに冷却問題はない

—-確認ですが、サイズ・ゼロは、来年も引き継いで、技術開発が進んでいるわけですね?
新井:もちろんそうです。

—-コンセプトは変えない。
新井:今はないです。なぜかといえば、今年やってきた方向に対して、変える理由もないし、変えてよくなる部分は見えない。別にサイズ・ゼロが邪魔しているわけでもなんでもないので。そもそもコンパクトに設計するというのは物事の基本で、それが間違っているとなると、サイズ・ゼロに限らず、物事の摂理が全否定になってしまう。メカニカルな部分をコンパクトにしていくのは、クルマだけでなくて、いろんな利点が出て来るけれど、それが活かせていない、というのは事実。なので、もっと初年度をベースに2016年のマシンをマチュア(熟成させる)していこう、というのは、マクラーレンとも合意していることです。エンジンも、足りない部分を改善して、シャシーも、空力を含めてプラットホームをマチュアしていくことが2016年の我々の挑み方だと。

—-サイズ・ゼロは、冷却が問題なのではないのですか?
新井:全然、まったくないです。

—-とすると1年間、苦戦したのはなぜなのですか? 結果につながっていないのは、どこが足らなかったのでしょうか。
新井:我々が担当している部分は、信頼性がひとつ、エンジン出力がひとつ、それからデプロイ(ため込んだエネルギーの効果的に活用すること)の問題で、冷却に関する部分はひとつもないです。

—-パワーユニットのスペースユーティリティが追い込まれたサイズ・ゼロだから冷却に苦しんでいると思っていました。
新井:ぜんぜん、まったく、それはないです。最初の数戦でケリがつきました。

—-メルセデスは、タービンとコンプレッサーを振り分けていることで冷却が有利という話がありますが。
新井:それはないですね。メルセデスが冷却に有利なんてことはないです。メルセデスのレイアウトが冷却に有利とは我々は思っていません。関係があるという状況証拠があるかといえばそれはないですね。彼らは彼らのコンセプトで作っているわけで、冷却そのものとは密接関連性はないと思います。

—-とすると、メルセデスはなぜ強いのでしょう。
新井:それは、信頼性が高くて4基しか使っていない、デプロイの問題はない、エンジン出力が出ている、そしてマシンのポテンシャルが高い、ということだと思います(笑)。

—-なぜ信頼性が高いのでしょう。
新井:ひとつは開発時間が長いからですね。

◆メルセデスとのギャップ

メルセデス・エンジン-1.jpg

—-メルセデスは2016年に向けてさらに進化すると思いますが、マクラーレン・ホンダはそこに追いついて行っている状況、ということですね。
新井:追いつかなければ勝負にならないと思うので、ギャップを感じながら、キャッチアップしようとしているわけです。

—-ホンダというと、パワーのホンダ、と思いたいのですが。
新井:エンジン出力的にも追いついていないですね、まだ。信頼性、出力、デプロイの課題、MGU-Hの話、すべてがそろわないと、パワーユニットとしては厳しいと思います。

—-ホンダの中では、目標値があって、近づいて行っている。
新井:もちろん、近づいて行っていますが、まだメルセデスとのギャップはある、と認識しています。

—-フェラーリは、メルセデスに限りなく近くなっていますか?
新井:いや、メルセデスは頭ひとつ飛び抜けていると思いますね。

—-最終戦のアブダビGPで、アロンソがレース中のファステストラップが3番手だったり、その直後のアブダビのテストを担当したバンドールンが最速タイムを記録したりと明るい材料が見えました。シーズン最後に、光がみえた気がしますが。
新井:アブダビGPの中で、クルマのセットアップがうまくいきつつある、というのは確かだと思います。初日には差があった二人のドライバーのタイムが、そろっていったことも含めて、チーム全体で感触はポジティブな方向と感じています。

—-セットアップの話ですが、まずはパワーユニットがまともにならないと、セッティングを語れないと思います。
新井:そうですね。

—-夏ごろに、勝手な情報が流れて、マクラーレンのシャシーに問題がある、という話になりかけましたが、あれはわかっていない意見と思っていました。基本的に、マクラーレンじたい、ここ数年のマクラーレン・メルセデス時代の成績は芳しいものではなくて、レッドブルやメルセデスと同じシャシーポテンシャルを持っているとは思えませんが、日本サイドから見た場合、マクラーレンのことを言う前にまずはパワーユニットをまともにすることが先決と思います。
新井:それは、我々の責任はパワートレーンなので、ちゃんとしなければと思いますが、最後のアブダビで3日間走った中で、細かい微調整はしてますが、エンジン側に何も問題はなかったですから。クルマ全体のバランスをどんどんよくして行ったからああいう結果になったのだと思います。

3/3につづく)

photo by MERSEDES / [STINGER]
記事が役に立ったなと思ったらシェアを!

F1 最新レースデータ

F1 ポイント・ランキング

F1ドライバーズ・ポイント
1位マックス・フェルスタッペン491ポイント"
2位セルジオ・ペレス240ポイント
3位ルイス・ハミルトン220ポイント
F1 コンストラクターズ・ポイント
1位レッドブル・レーシング860ポイント
2位メルセデス409ポイント
3位フェラーリ406ポイント

PARTNER
[協賛・協力企業]

  • CLOVER