[STINGER]新春特別企画 浜島裕英エンジニアに訊く、”フェラーリの3年間とこれから” 3/4 アロンソは、新たなメーカーに期待した?!
◆アロンソに移籍を決意させたもの
・・・・浜島さんは以前から、星野一義さんとミハエル・シューマッハが、走り始めていわゆる全開の”グランプリ・モード”に持っていく時間の短さで、群を抜いている、と仰っられていました。フェラーリに入った頃、それが素晴らしいけれど、もしするとアロンソの方が上かもしれない、と仰っていましたが。3年間付き合っていかがですか?
浜島:う〜ん、そうかもしれないですね。まぁ、同じ時に比較できていないので、難しいですけどね。
・・・・その才能を持ったアロンソが、来年マクラーレン・ホンダに乗ると決めた意味がもうひとつわからない気がするのですが。ホンダ・エンジンは、1年遅れてやってくるし、F1を休んでいたというデメリットもあるし。
浜島:ホンダさんのエンジンについてはわかりません(笑)。ただ、みなさんもご存じの通り、エンジン開発凍結のレギュレーションがあるので、今年のフェラーリとメルセデスのギャップをどうやって埋められるのかを考えたとき、今年やっていたことを勉強して、レイアウトもメルセデスに近くできるエンジンメーカーと組んだ方が得、と考えたのかもしれないですね。
・・・・なるほど。
浜島:フェラーリとルノーは、エンジン凍結レギュレーションがあるので、メルセデスと同じレイアウトにはできない。2020年までレイアウト変更はできないはずですから。
・・・・でも、ホンダは自由だから、と!!
浜島:そう考えると、メルセデスに行くか、新しいメーカーに行くか、ということになる。メルセデスに行くのが一番着実で、新しいメーカーに行くのは可能性が高い、と考えるのが普通かな、と思います。
・・・・☆(ゲストからの質問)フェルナンドは、いつごろ、出て行っちゃうかな、と感じましたか?
・・・・☆(ゲストからの質問)ハンガリーGP辺り?
浜島:(7月27日)ハンガリーより前ですね。ハンガリーは結果がそれなり(※4)だったので、ごまかされちゃいましたけど、今年は、フェラーリになんというかチョンボが多くて、キミもフェルナンドも、パートナーに起きているトラブルを見ているわけです。
※4:予選5位からスタートし、最後まで優勝争いに絡んで2位。
つまらないトラブルが起きるということは、チーム力が落ちているということじゃないですか。例えば、タイヤ交換のときにジャッキが調子悪くなるとか、そんなことは去年までなかった。そういうことが起きるということは、ファンダメンタル(基本的能力)が落ちていることになるじゃないですか。プラス、エンジンが、GPSの解析でいくと、有馬記念は来週でしたっけ?(取材がおこなわれたのは昨年12月末) その馬50頭分くらい少ない、と分かっちゃうわけです。そうすると、さっき申し上げたエンジンのレギュレーションで、まぁ、50%は変えられるけれど、基本の変更はできなので、いくら頑張っても、見込みがない、延び代がない、ということになるわけですよね。その頑張り代は、メルセデスはがんばれるので、ずっと同じとはいわないけれど、ほぼ平行線。なので、違うところに行きたくなったのかな、と思いましたね。
Photos by
Ferrari S.p.A / FOTO STUDIO COLOMBO (アロンソ)
STINGER (浜島裕英エンジニア)