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「STR6」 解説とスペック

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STR6

チームの存在意義は「若手ドライバーの育成」だと、はっきり認めている。育て上げたドライバーは他チームに供給するのではなく、レッドブルに送り出すのが目的。すなわち、第2のセバスチャン・フェッテルを発掘するのが、トロ・ロッソに与えられた使命だ。チャンピオンになる必要はないが、あまりに遅くては育成にならないということだろうか。シーズンを戦ううえでの目標は、控え目に表現すれば「新規3チームを上回ること」。すなわち昨シーズンと同じで9位。できれば、「選手権8位」で終えたい。

というような目的で参戦しているチームだから、マシンにアグレッシブな設計を持ち込む必要はない。当初はレッドブルと共通設計でやや型遅れなのが基本だった。ところが、2010年から事情が変わる。知的財産権の線引きが厳格になり、自前で設計する必要が出てきたのだ。イタリア・ファエンツァのファクトリーに必要なスタッフを増員し、イギリス・ビチェスターに風洞施設を手配したものの、2010年に向けては体制を整備するので手一杯。STR5は、2009年のSTR4をベースに規則変更に対応させただけに終わった。

自社開発2年目のSTR6は、CFD(数値流体力学。コンピュータによるシミュレーション技術)と風洞を駆使して自社開発したマシンだと、トロ・ロッソは主張する。ひと目見てわかるとおり、過去のマシンの延長線上にあることは確か。使えるようになったからといって、すぐに優秀な回答を引き出せるほど、世の中甘くない。そのことは、過去の新興チームの例を見れば明らかだ。

ただし、目を奪うような造作もある。それが、サイドポッドの大きなくびれ。開口部のある前端下部を大きくえぐる構造は近年のF1では一般的。後方を大きく絞り込むのもまたしかり。ただし、ラジエターやオイルクーラーなどの冷却システムを搭載する都合上、サイドポッド中央部は外に張り出した形状にならざるを得なかった。ところが、STR6はアンダーカットがサイドポッド前端から後端まで貫通している。後方への空気の流れに良い影響を与えそうな形状だ。

果たしてこれはトロ・ロッソ自身のアイデアなのか。それとも兄貴分にあたるレッドブルの指示によって投入し、良い結果が出たらレッドブルに移植する考えなのだろうか。そう勘ぐってしまいたくなるほどの上下関係。若手ドライバーを送り出すだけでなく、技術を送り出す役割を担っていたとしても不思議ではない。

【STINGER / Text by Kota Sera(世良耕太)】

■シャシー
型式: STR6
モノコック: コンポジット・モノコック構造
ボディワーク: カーボンファイバー・コンポジット
サスペンション: アッパー&ロワー・ウィッシュボーン/トーションバー・スプリング&アンチ・ロールバー/Sachs製ダンパー
ギヤ: 7速
クラッチ: Sachs製 プル・タイプ
キャリパー: ブレンボ
ブレーキ: ブレンボ(パッド&ディスク)
ホイール: Advanti Racing
冷却システム: スクーデリア・トロ・ロッソ
コックピット計器: スクーデリア・トロ・ロッソ
シート: 各ドライバー専用カーボンファイバー・シート
シートベルト: OMP
ステアリング: スクーデリア・トロ・ロッソ
ステアリング・ホイール: スクーデリア・トロ・ロッソ
消化システム: スクーデリア・トロ・ロッソ/FEV
燃料電池: ATL
重量: 640kg(ドライバー、カメラ含む)

■エンジン
型式: フェラーリ056+KERS
タイプ: 90°V型8気筒(砂型鋳造アルミブロック)

大きい写真はこちら(WEB専用ページです)。
http://www.f1-stinger.com/f1-data/2011/team/toro_rosso/photo_gallery/

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