新居TCD金曜日会見全録
「今回のオプション・タイヤは、レースでも使えそうだ」
◆トラブルはあったが、プログラムはこなせた
新居章年技術コーディネーション担当ディレクター(以下、新居) 今日は、朝も午後も、ヤルノのクルマが止まったりで、決して”いい一日”ではなかったんですけど。でも、何とか予定していたことはできたので、明日以降に関しては、そんなに影響は出ないと思ってます。
そのヤルノですけど、朝はフロントのブレーキを換えるという作業が入ってしまって。そして午後は、ピットから出たらエンジンが止まって……というか、ミス・ファイアして。リカバリー・モードで(ピットに)帰ってこようとしたんですけど、はじめのうちはそれがうまく作動せず……。帰ってきてピットで見たら、(トラブルは)電気系だけだったので、すぐに走れる状態にはなったんですけど、30分ほどロスしてしまいました。
したがって、プログラムの変更などもしたんですが、でも、最低限のことはできたので。
ただ、非常に接近した闘いのなかで、小さなミスもしないようにしようとやってきたのに、こういうことになって……。ですから、もう一度しっかり、明日に向けては、細心の注意を持ってやりたいなと思ってます。
—-ヤルノのクルマが火を吹いたという原因は?
新居 あれはですね、エンジンのコントロールがうまく行かなかったので、排気から出たガスが燃えただけで、クルマが燃えているというようなことではなかった。(出た)生ガスが燃えたんですね、アフター・ファイアというか。
—-ヤルノのエンジンは、センサー系のトラブルだったということですが?
新居 エンジンを監視して、エンジンをコントロールしている部分の不調ですね。ECUのバグというより、「ノイズ」が入ってしまったということですね。
—-ノイズが入ると、どういうことになるんですか?
新居 エンジンがいま、自分がどうなっているかがわからなくなる(笑)。ですから、エンジンそのものに何か問題があったということではありません。
—-ブレーキを交換したというのは?
新居 ブレーキの具合がおかしいんじゃないかというデータが上がってきて、念のためにやったんですけど、でも、やる必要はなかった(笑)。同じ仕様のティモは問題なく走れていたので。ちょっと余分なことをしてしまったなと思ってます。
◆ティモは、クルマもタイヤも、ロングランで好感触
—-今日のティモは?
新居 ティモは今日は、どっちかというと、ロングランの方がよかったといってましたね。ただ、ニュー・タイヤのときのバランスが、うまくない。けっこうコースも、まだスリッピーだったみたいですね。
最後の方で、ロングランをやったんですけど、数ラップすれば、タイヤが路面をつかむような感じが出てくるということで、そのあとは、安定した走りになりましたね。
—-それは、どちらのタイヤも?
新居 スーパーソフトの方、ですね。だから、ちょっと意外だった。ただ、(セッションの後半になって)路面が変わったからということはあるかもしれません。セットアップを変えてるところもありますしね。
ただ、最後のオプションでの走行が”いい”というのは、ぼくらとしてもよかったと思ってます。
ですから、レースでも、オプションが使えそうですよね。
今日の温度で、スーパーソフトがああいう状態だったとすれば、気温が下がる(はずの)日曜日では、もっと戦力になるかもしれない。……ということで、レースでのタイヤの使い方は、しっかり考えたいなと思ってますけど。
一方では、硬い方といってもソフトで、ロー・ワーキング・レンジのタイヤですから、硬いことがいい面に出るということもあります。
よくドライバーが、「タイヤの上でクルマが動く」という表現をすることがあるんですけど、これに関しては、硬いタイヤの方がいい結果になるということは、これまでもありましたので。
—-ロングランに関しては、どっちのタイヤがいい?
新居 今日は、ヤルノは時間がなくてティモだけだったですけど、ティモの「スーパーソフトのロングラン」についてのコメントは、「いいと思います」でした。今日は、これが大きな収穫だったと思いますね。
—-最終コーナーで、ティモがかなりアンダーステアを出しているように見えましたが?
新居 あ、ティモは、アンダーは言ってないです。ニュー・タイヤのときのバランスだけですね、言ってるのは。
—-明日は?
新居 当然、表彰台につながるポジションを狙います!