スティング君の”トヨタF1さよならツアー” 第1回 (シミュレーターがあった1)
ドイツのケルンに横たわるトヨタF1の前線基地だったTMGを[STINGER]特派員のスティング君が見学した。これまで見られなかったトヨタF1のすべてをシリーズで紹介する。
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1)シミュレーターがあった!—その1
中嶋一貴が所属したウィリアムズのシミュレーターの話題は、一貴の会見の中で何度も出てきてよく知られていた。マクラーレンも、”すでに2000ラップした”というL.ハミルトンの熱心さとともに存在が明らかになっていた。フェラーリは、”ライコネンが全然興味を示さない”という情報があり、レッドブルも持っているけれどうまく使えていないと伝えられていた。しかし、トヨタF1チームの本拠地であるTMG(トヨタ・モータースポーツ有限会社)には、2基の風洞を備える全方位充実F1ファクトリーとして万全を期しているけれど、ドライビング・シミュレーターは持っていないことになっていた。
シミュレーターに乗り込む前の記念撮影。
しかし、あったのだ! ただし、その存在を知っていたのは、関係者のごく一部だけ。したがって、外部に出ることはなかったのは当然といえば当然のことだった。
第二風洞の建物の1階(ヨーロッパでは地上階)。歴代のF1マシンが陳列されたショールームの奥のトビラのさらに奥まった小さな部屋に、それはあった。
半径4mほどのシミュレーター・ルームには、湾曲スクリーンの中央に、タイヤのついていないパナソニックカラーのF1マシンが6本の足の上に乗っている。その後方の、窓がついたコントロール・ルームからは、エンジニアがその模様を”監視”する形だ。
コースは、2009年にF1GPが行なわれた18サーキットから選ぶことができる。スティング君が見物した12月3日には、日本から帰国したばかりの小林可夢偉が乗り込んで、朝9時から夕方まで、2010年用のTF110の風洞モデルで得た空力データを入れ換えつつ、検証を行なった。
シミュレーターは、新規サーキット習熟や若手ドライバー育成という通常知られている使い方だけでなく、「新規開発アイテムやセットアップ検討を通じ、デザイナーとエンジニアへのフィードバックも可能」なのだ。
スティング君の”トヨタF1さよならツアー”
第1回 (シミュレーターがあった1)
第2回 (シミュレーターがあった2)
第3回 (徹底式に計測する)