TMG木下美明TMG社長に訊く、圧勝の理由
実は、トヨタとアウディ、そしてポルシェのダウンフォース設定はそれぞれだった。
日曜日に行なわれたWEC(世界耐久選手権)開幕戦のシルバーストンで、トヨタTS040 HYBRIDが1-2フィニッシュの圧勝を見せた。トヨタの総本山、ケルンに本拠地を構えるTMGの木下社長に伺った。
—-見事なレースでした。
木下美明TMG社長(以下、木下):序盤に雨がちょっと降って止んだ時、アウディは、スリックタイヤのままで我慢していましたが、湿度が89%もあったのです。この湿度なら30分は絶対に路面は乾かない。なので、ちょっと信じられませんでしたが、その通りになりました。
—アウディは、ベテランのロッテラーとトルルイエがスピンして大きく遅れました。結果から見るとある意味、自滅でした。
木下:きっと、スパ-フランコルシャンの雨で、酷い目に遭ったことがなかったのでしょうね。スパは、湿度が高いので、路面がなかなか乾きません。今日は、スパの湿度でした。
—-王者の奢り、でもないでしょうが。
木下:アウディは、ハイダウンフォース仕様だったので、それに自信を持っていたところもあったのかもしれません。
—-といいますと?
木下:アウディのハイダウンフォースに対して、ウチはミドルダウンフォース、ポルシェは、ローダウンフォース、でレースをしたんです。
—-なるほど!!
木下:最高速のデータを見ると、アウディが275km/h、ウチが285km/h、ポルシェが295km/hと、ちょうど、10㎞/h飛びになっていました。
—-そういう作戦の違いもあったのですね。いずれにしても、王者を向こうに回して、圧倒的な強さでした。
木下:その後は、十分なリードがあったので、ポルシェのタイムに合わせて後半の3時間を、軽く流して!!走りました(笑)。
—-軽く流して(笑)。
木下:(笑)。でも、冷静に分析すると、アウディとは、ホントウに、実力拮抗していると思います。ドライだったら、壮絶なレースになっていたと思います。
—-ルマンはもちろん、日本の富士でのレースを含んで、今年のWECが楽しみになりました。
木下:まだまだ始まったばかりですが、いいレースをして楽しんでいただきたいと思います。
—-期待しています。
木下:がんばります!!
まとめ:[STINGER]山口正己
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