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WEC-JAPANの見どころ!!

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地元富士のレースをポールポジションからスタートするトヨタTS030-Hybrid。1台で王者アウディに挑む。

◆トヨタとアウディのハイブリッド対決!!
WEC-JAPANは、富士スピードウェイを舞台に本日11時にスタートする。佐藤琢磨や中野信治など、日本人の活躍も興味深いが、トップ争いの”王者アウディR18 e-toron quattroとトヨタTS030hybrid”のハイブリッド対決の行方が最大の関心事だ。

アウディは、ディーゼル・ハイブリッド、トヨタはガソリン・ハイブリッド。アウディの2台体制に対して、トヨタは1台。富士のデータ量や経験値ではトヨタに分があるが、アウディにも、アンドレ・ロッテラーやブノワ・トルルイエというフォーミュラ・ニッポンやスーパーGTのトップドライバーがいる。

アウディがウィリアムズに開発を委託している比較的”軽め”なハイブリッド・システムを搭載しているのに対して、トヨタは市販車にリンクする徹底したハイブリッド機構である。村田久武ハイブリッド・システム責任者は、市販車に直結するレーシングハイブリッドに大いなる自信を持ち、その可能性にも大きな期待を抱いている。

総合力では、すでにベース車両のR18が完成の域に達しているアウディに分があるが、”スピード”という点で、トヨタが一歩リードしている。チーム代表である木下美明TMG社長は、”効率の高いダウンフォース”をTS030の優位点のひとつに挙げている。F1で培ったノウハウを投入したTRS030は、コーナリングマシンなのである。

◆注目は第二スティント!?
ダウンフォースが高ければ、中高速コーナーで優位を保てる。ただし、ストレートは、その分の抵抗が増え、絶対スピードは落ちる。長い富士のストレートだけを切り取ると、アウディ有利だ。しかし、ハイブリッドシステムで、F1のKERSの3倍の加速性能を持つことで、立ち上がりの加速はTS030-Hybridが上だ。

もうひとつ、トヨタの”戦略”は、第4戦のシルバーストンで明らかにされた。規則上で、ディーゼルよりガソリンの燃費が厳しく規制されていることから、6時間レースでは、トヨタTS030-HybridはアウディR18 e-toron quattroより、1回多いピットインを強いられる。ここをどうカバーするかがトヨタにとってのカギになる。

「1周コンマ5秒速ければ、6時間の中で、1回のピットインのタイムロスを挽回して、さらに1分ほど余裕ができる」という計算をトヨタ陣営はしている。ブラジルでは、正にそのとおりのレースを行なって、アウディの牙城を切り崩した。富士でも同じ作戦だ。

ダウンフォースが大きいことは、タイヤへの優しさも意味している。滑ることによる磨耗が少ないからだ。「ちょうど第二スティント辺りにその差が最大になると思います」と木下チーム代表はコメントした。1スティントは50分なので、レースがスタートして1時間を経過した辺りのトヨタのラップタイムが、このコメントを裏付けることになるはずだ。

スピードがあることを、中嶋一貴のポールポジション獲得で証明した。木下代表は、「本来ならもう少し差をつけたかった。アウディが思ったよりも進化してきていた」と語った。ルマン24時間でデビューしたトヨタTS030-Hybridは、競争力をつけているが、それは固体のポテンシャルが上がったのではなく、「ポテンシャル自体はデビューした時ほぼ同じだけれど、使い方がうまくなった」(村田久武ハイブリッド・システム責任者)のだという。

トヨタの弱点は、1台体制というところだ。2台あれば、戦略の幅がグッと広がり、2倍以上のポテンシャルを保有できるが、1台では、リスクを避ける作戦しか取れない。ここは、アウディが自信を持っている点であり、同時に、トヨタ陣営のウィークポイントだ。仮にトヨタが2台体制なら、アウディは、安閑としていられないはずだ。市販車へのフィードバックの大きさが理解され、来年に向けて、2台体制の予算が捻出されることを祈りたい。

さて、11時にスタートするレースは、どんなドラマを展開するのだろうか。そして、6時間後に表彰台最上段に上がっているのは、アウディなのか、トヨタなのか。アウディとトヨタのそれぞれの特徴をバックボーンにして見物すると、さらに面白い展開が見えてくるはずだ。
[STINGER]山口正己

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