『スクーデリア一方通行』の筆者である加瀬竜哉/本名加瀬龍哉さんが急逝されました。長い闘病生活を送りながら外には一切知らせず、“いつかガンを克服したことを自慢するんだ”と家族や関係者に語っていたとのことですが、2012年1月24日、音楽プロデュサーとして作業中に倒れ、帰らぬ人となりました。
[STINGER-VILLAGE]では、加瀬さんのなみなみならぬレースへの思いを継承し、より多くの方に加瀬さんの愛したF1を中心とするモーターレーシングを深く知っていただくために、“スクイチ”を永久保存とさせていただきました。
[STINGER-VILLAGE]村長 山口正己
F対Fの大ゲンカ
…..なんか、近頃何処でもFIAとFOTAが揉めてるのなんの、ってのを眼にする。だいたいそれナニ?。フィア?、フォッタ?…..他にもバジェット・キャップとかコンコルドナントカとか…..良く解んナイけど、F1グランプリそのもののこと、ってよりもなんだか政治的なニオイのする響き。どんなジャンルにだって専門用語はあるけど、ただでさえ特殊な用語の多いF1、こうしょっちゅう聞き覚えのない新しい専門用語を出されちゃサ〜ッパリ解らない。スクイチのおかげで最近やっと”KERS“が解ったトコなのに…..(汗)。
んで、FIAとFOTA。…..あれ?、それってちょっと前までFISAとFOCAじゃなかったっけ?。いったい誰がナニしてどうなってんの???。
早いハナシ、どうもF1チームと主催者が年間予算案で揉めてるらしい。なんでもバジェット・キャップっていうのは、各チームの予算を格安に限定する代わりに好きなことやって良いのと、逆にいくらお金使っても良いけど代わりにコレとコレやっちゃダメ、みたいなのの”ふたつのルール”を参加チームに選ばせる、っていう案らしい。この主催者の提案をチーム側が「ふたつのルールがあるなんてスポーツじゃない!」とか「そんな一方的に決められてたまるか!」と反発し、しまいにゃ「どうしてもやる、ってんならウチらF1ヤメちゃうぞ!」と脅しをかけた。んで、それが
フェラーリF1撤退
なんて見出しがスポーツ紙に載っちゃたりして、んでそれをたまたま電車内で見かけた人が会社へ着くなり「ねえねえ、フェラーリってF1撤退するんだってさ」なんて吹いて回って、どんどん事実と違う認識が作られて行く。ま、それが情報社会。芸能界だって妙なゴシップはたくさんあるし、マスメディアでちょっと事実と違うことが書かれようもんなら大問題になったりする。でも出す側は見る人の気を惹きたいから誇張する。で、本人がソレ見て訴える…..ウソかホントか、を茶の間で検証する時代は終わり、報道の在り方そのものがヒジョーにシビア。
…..ソコ行くとオレは気楽だ。だってタチの悪いマニアでしかないから、”書くべきこと”がナイ。書きたいことを書くだけ。んで、読みたい人が読めば良い。”no race, no life“をやってた時、ファンの方に「写真付きで細かい数字まで紹介されているところはいっぱいあるけど、それが何なのかはココへ来ないと解らない」と言われて嬉しかった。「それってナニ?」…..それ、とっても大事。そもそも、スクイチを書いてるオレ自身が繁栄に使わなきゃなんない言葉なんだから、ちょっとまとめておこうかな。
というワケで今回は近頃耳にする厄介な専門用語解説を交えて、この”F対Fの大ゲンカ”の検証をしよう。
まずは主役のお二方から。
・FIA
“エフアイエー”、Federation Internationale de l’Automobile、国際自動車連盟である。何するトコかというと、主にヨーロッパを舞台とするF1やラリー、GTカー・レースなんかを主催/取り仕切る組織。インディ500とかのアメリカン・レースは全く別。本部はモーター・スポーツ発祥の地・フランス/パリ(なのに今年フランスGPがナイ)。
会長はマックス・モズレー、1969年にマーチというF1チームを設立したあと1991年にFISA会長となり、任期は4年なので現在4期目。昨年S◯プレイ中のビデオがスクープされて騒ぎになったイギリス人のオヂサン(…..)。
このFIA、元は1904年に発足したAIACR(エーアイエーシーアール/Association Internationale des Automobile Clubs Reconnus/国際自動車公認クラブ協会)が前身。が、彼等の活動はレースの主催だけじゃなく、自動車メーカーやオーナーの国際振興や安全/環境保護活動なんかも含まれており、当初はAIACRの下部組織にあたるCSI(シーエスアイ/Commission Sportive Internationale)/国際スポーツ委員会)が行っていた。1978年にFISA(フィサ/Fédération Internationale du Sport Automobile/国際自動車スポーツ連盟)に改編、1993年にFISAがFIAに吸収される形となった。なので現在F1を主催しているFIAと、かつてのFISAは基本的には同じ組織と思って良い。
…..ん?、既に混乱中?(爆)。ま、AIACRやCSIはもうナイので、ようするにFIAってとこがF1を取り仕切ってる、ってことで次に進もう。
・FOTA
“エフオーティーエー”、Formula One Teams Association、F1チーム協会。
F1グランプリに参加する全チームによる組織、発足は2008年。会長はルカ・モンテツェモーロ(フェラーリ社長)。
’74年にF1CA(エフワンシーエー/Formura1 Constructors Association)がF1史上初の労働組合として参加コンストラクターのオーナー達により発足。会長はバーニー・エクレストン、F1で最も権力を持つ人物(もちろん、FIA会長よりも!)。で、ここからがちょっと厄介。F1CAはFOCA(エフオーシーエー/Formura One Constructors Association)と名を代え(紛らわシイ…..)、参加チームの権利と保証などを軸に、FIA(当時FISA)とそりゃあもう悲惨な闘いを繰り広げる。どのくらい悲惨かって、レースのボイコットで非選手権になっちゃったグランプリが存在するほど。主な激突原因は金銭面と、フランスベースのFISAとイギリスベースのFOCAで参戦しているチームがまっぷたつに対立してしまったこと。ルノー、フェラーリ、アルファロメオなどがFISA側に着き、マクラーレン、ウイリアムズ、ロータスなどがFOCA側。…..コレ、実はなかなか勝てない独自エンジンのチーム(前者)と、コスワース・エンジン使って自由な発想で勝ってたチーム(後者)の権力争いでもあった。あんまりにもこんなことが続くモンで、両者が歩み寄る機会が作られた。それが’81年に結ばれた”コンコルド協定”である。
・コンコルド協定
Concorde Agreement。’81年にFIAとFOCAの大ゲンカを取り仕切るために誕生した、お互いの利益のために「何か行う時は事前にいつからどんな風にやるのか決めて、更に参加全チームの同意が得られてからにしましょうね」という協定。基本的にはルールやレギュレーションはFIA、興行に関する権利がFOCA、と割り振られている。その効力たるや絶対的で、金銭面以外でF1というカテゴリーに留まるには完全にこの協定を受け入れなければならない。が、その中身/詳細はモノ凄い極秘で、外には絶対に漏れない。もし漏らしたら選手権から除外されてしまう。特にTV放映などの分配金に関しては相当ガチガチに取り決められており、何処かが得して誰かが損をして、がないよう作られているらしい。”コンコルド”は協定締結を行ったFIA本部のあるパリの”コンコルド広場”に由来する。
…..つまり、F1の主催者(FIA)とF1の参加チームによる労組(FOTA)は、お互いが結んだ協定(コンコルド協定)によって、万事が上手く運ぶようになっている…..ハズ。
が、そこには巨大な規模と支出/利益に加え、思惑や時代背景などが複雑に絡み合い、F1というスポーツ/競技を国際的な政治紛争へと発展させてしまう。とは言え、根っこの部分は世界規模の”校則を巡る先生/PTAと生徒会の争い”みたいなもの。皆ちゃんと毎回学校(サーキット)へ来て出席取って(車検)授業受けて(レース参加)、終わったら「んじゃまた次回」と帰って行くのだから、興行(キャンパスライフ/笑)としては全然成り立っている。が、それが参加チームの損得に関わって来ると話はそう簡単に終わらない。場合によっては学校ヤメるゾ!?と言い出すヤツが出て来る。今回、その発端になったのがコレ。
・バジェット・キャップ案
FIAが提示した、’10年(つまり来年)からの年間予算制限。何をどう制限しようとも高騰し続けるF1の費用を飛躍的に下げるのが目的。基本的には’10年からチームの年間予算を4,000万ポンド(約59億円)に制限する。ただし、なんとこの条件を呑んだチームには様々なレギュレーションが有利になり、呑まずに大金を使い続けるチームには不利になるという、ふたつの選択肢を設けたのである。以下、例。
・開幕以前のテスト
選択=無制限△非選択=15,000km以内
・風洞実験に於けるスケール/スピード
選択=自由△非選択=60%スケール/毎秒50m以内
・エンジン回転数
選択=無制限△非選択=18,000回転以内
・年間使用エンジン/ギア・ボックス数
選択=共に無制限△非選択=エンジン8基/ギア・ボックス4レース1基
・フロントウィング調整
選択=10°/回数自由△非選択=6°/1周につき2回以内
・走行中のドライバー自身によるリア・ウイング角調整
選択=可能△非選択=不可能
・KERS
選択=160馬力/6.67秒△非選択=80馬力/6.67秒
・四輪駆動
選択=可能△非選択=二輪駆動のみ
…..つまり、年間予算を59億円以内にするのならテストでいくら走ってもエンジン何基使っても可動式ウイング使ってもOK、でも条件呑まないでお金使うんなら全部ダメ、的なレギュレーション。斬新と言えば斬新。実際、これなら開発の時間が欲しい新チームとノウハウを持っているベテラン・チームの差が縮まりそうな気はする。何より、年間数百億円と言われるこれまでのF1参戦費用を考えれば、”たったの”59億円で参戦出来るんならフル・グリッド埋まるだろうし、選手権自体も活性化する筈。
…..が、これまでその”数百億円”を費やして来た既存のチームにしてみればこりゃ面白くない。なにしろ、彼等は既に常に高額が必要な様々な分野に予算を注ぎ込む事で現在の体勢を築いており、いきなり風洞使うなテストするな、と言われたら大混乱、それこそ新参チームに負けることだってあり得る。というワケで既存のチームがまたも同盟を結成し「反対〜!」と叫び始めた、ということだったのである。それがFOTA。今回は自動車メーカーではなく、全チームによるもの。
一方、この画期的な減額案により、新たにF1へ参入を希望するチームが多数現れ、USF1/カンポス・レーシング/ローラ/マーチ/プロドライブ/ライト・スピードらが既にFIAへ’10年からのエントリーを申請した。フラビオ・ブリアトーレ(ルノー)は「GP2のチームがF1へ入って来て闘うのは間違っており、F1のイメージも技術も下がってしまう」と激怒。…..彼は忘れたのだろうか。自らがF1へ参入したベネトン・チームは、フォーミュラ・フォード2000のチーム、トールマンによるステップ・アップである。その小さなチームがベネトンとなり、現在自らの率いるルノーとなった。それを解っていて言うのであれば、彼等は「我々は自動車メーカー同士の争いに終始するからこれ以上レーシング・チームには来て欲しくない」という意見と受け止められる。結果、既存のチーム達は「我々の意見が聞き入れられなければF1を撤退する」と言い始めた。
…..だが、その”彼等”は幾度となくこの手のやりとりを繰り返して来た前科がある。FIA対GPMAである。
・GPMA
“ジーピーエムエー”、Grand Prix Manufacturers’ Association、グランプリ・マニュファクチャラーズ・アソシエイション。今度はコンストラクターじゃなくてマニュファクチャラーと来た(笑)。前身はGPWC(ジーピーダブリュシー/Grand Prix World Championship/グランプリ・ワールド・チャンピオンシップ)。発端はFOCAが巨大になり「バーニー・エクレストンが儲け過ぎている」とチーム側が反発(もっとも、その争いはずっと続いていた)、フェラーリ/ルノー/メルセデス/BMW/フォードの自動車メーカー5社が結成した。彼等は「コンコルド協定が切れる2008年にF1を離脱し、独自の新シリーズを立ち上げる」と豪語。
が、この動きを察知したエクレストンが上手くコントロールし、まずフェラーリが”裏切り”、コンコルド協定にサイン。裏でどんな取引があったのかは解らない。その後フォードがF1そのものから撤退、ホンダ/トヨタの日本メーカー2社を新たに迎え、ここでGPMAに名称変更。が、世間の誰もがこのシリーズ発足に関して本気にしておらず、言わばどうやって交渉を有利に進めるか、という材料、つまりブラフでしかないことは知っていた(オレの一番キライなやり方だ!)。その内ルノーやトヨタも離脱することとなり、当然ながら新シリーズなんぞ立ち上がりはしなかった。普段開発/順位を争うライバル同士が仲良く同じ方向に向かう、ということ自体が極めて困難であり、どちらかと言えばどうやって敵を欺くか、の方が重要である。そういう意味では真っ先に”裏切った”フェラーリが、この組織を最も上手く使ったのかも知れない。
何でもそうだが、誰かがリーダー・シップを取って「なあ皆、立ち上がろうぜ!」とか言い出すと瞬間的に連合が出来上がる。が、時間の経過と共に皆冷静になり「ちょっと待てよ、つまりどうすりゃいいんだ?」と考え始めると各自の意見に差が出て来る。自身の損得も含め、果たして組織の向いている方向が自分にとって本当に正しいのか、を考え直す機会は必ず訪れるもの。
で、今回もそこから「イチ抜〜けた」と反旗を翻し、サッサとFIAにエントリーを申請、覚悟のFOTA一時除外処分となったのが闘将フランク・ウイリアムズ率いるウイリアムズ・チーム。「ウチはレースしに来てるんだから署名してアタリマエ。で、それを快く思わない他のチームの言い分も解る。だから協会から除外で結構」…..う〜ん、カッコイイ!。群れることが目的なんじゃなくて、闘いに来てるんだというその姿勢(なにしろオレがそういう生き方なモンで…..良〜く解る)。とは言え、コレで統一思想を持っていた筈のFOTAが影響を受けるのは当然。もしもウイリアムズ同様、自動車メーカー系でないチーム…..ブラウンGP、レッド・ブル、トロ・ロッソ、フォース・インディアがコレに続けば5対5でまっぷたつになり、これに賛成派である新規チームが加われば、FOTAは事実上の崩壊を迎える。ただ、前述の5チームも他の5社(フェラーリ/メルセデス/ルノー/BMW/トヨタ)からエンジン供給を受けているわけで、ぶっちゃけそっちから圧力がかかってもおかしくない。にも関わらずウイリアムズが強行した裏には…..エンジン供給先であり、フェラーリと共にF1撤退をほのめかしたトヨタの’10年のF1活動自体が危ういのでは?、という憶測を呼ぶ。ただでさえ同じ日本のホンダが撤退し、残ったトヨタの参戦意義が常に問われ続けており、加えて先日、念願のF1開催のために巨額を投じて改修した富士スピードウェイでの日本GPを手放すのではないかとの報道がなされ、前回のフォード(ジャガー)と同様にトヨタがFOTAどころかF1そのものを撤退する可能性が出て来ている。同じことはルノーにも言え、F1そのものが非常に大きな転機を迎えている時期なのかも知れない。彼等自動車メーカーにとってF1とはいったい何なのか。エンジン開発の場を奪われ、自前のテスト・コースや風洞施設を稼働させられないのであれば、そこでの勝利から得られるものは極めて小さくなってしまう。そうやって鬩ぎあって来たライバル同士の”結束”が、告発や密告などのスパイ事件も実在する中、いったい何処まで信憑性の高いものなのかは疑問である。
現在のFIAの方向性はひとことで言うなら”ワンメイク”である。…..確かにソイツはF1じゃない。何故なら、F1は各コンストラクターが独自に作ったマシンで闘うカテゴリー、であるからだ。だいたい、ウイリアムズは’07年にFIA側の早急なコスト削減対策としてトロ・ロッソやスーパー・アグリのカスタマー・シャシー参戦(前者はレッド・ブル、後者はホンダ)を容認したことがコンコルド協定に違反すると反発、他チームの容認の姿勢の前でもコンストラクターのあるべき姿を問い続けていた。今回は「既にスポンサーと2012年までの契約を結んでいるので、選手権にエントリーするのはアタリマエ」という姿勢。…..内部分裂よりお客様命、これぞF1チーム。
グランプリを主催するFIAが望むのは観客が入り、儲かり、でもコストが安く、レースが面白く、そして安全な選手権である。
例えばひとつのチームだけが何年も続けて圧倒的に強いと、観客の興味は失われる。そうなると車両規定などのレギュレーションを操作し、現在圧倒しているチームのアドバンテージとなっているものを取り除き、各チームがイコール・コンディションとなるようルールを操作しようとする。ここで、困り果てていたライバル達から「そりゃありがたい」という声が出る反面、当該チームからは「冗談じゃない!せっかく最強の状況を作ったのに」と反発の声があがる。2000年代はフェラーリ、’90年代はウィリアムズ・ルノー、’80年代はマクラーレン・ホンダ、’70年代はロータスがその渦中にいた。現在全てが2.4リッター/8気筒と決められているF1のエンジンも、黎明期の’50〜’60年代には最大16気筒のエンジンが使用されていたことがある。’70年代のフォード・コスワースV8の大成功を経て、ターボ時代の’80年代、’90年代前半の12/10/8気筒の混在ののち’00年に初めて10気筒に統一、’06年から現在のV8エンジン規定となった。更に’11年からは2.2リッター/6気筒への変更案が予定されている。格下のGP2やフォーミュラ・ニッポンがV8なのにF1がV6、ってのも不思議なハナシ。FIAは更にエンジンの”標準化”、つまり全チーム同一エンジンの使用を求めており、エンジン開発という部分からかけ離れてしまうことに自動車メーカーが反発中。反面、KERS(カーズ/Kinetic Energy-Recovery System/運動エネルギー回生システム)に関しては「面倒だから同一のものを供給してくれ」というのがチームの言い分。
独自開発とワン・メイク。この異なる要素をごちゃ混ぜにした状態の現在のF1の未来はいったい何処にあるのだろうか。FIAは混在を求め、FOTAは公平を求める。が、レギュレーションの隙をついた極端なアイデアや他を出し抜くための強行な予算編成を奪われた時、そこにあるのはもはや”フォーミュラ1″ではないかも知れない。
…..5月29日、注目のFIAの’10年選手権エントリー締め切りを前に、先にエントリー済みのウイリアムズを除くFOTA加盟全チームが、大方の予想通り”条件付きエントリー申請“を行った。その条件にはFOTA独自の予算削減案や新規チームの参入に対する支援も含まれていたが、結果的にFIAの提示したバジェット・キャップ案は断じて受け入れない、という姿勢のままの申請であった。今後FIAとFOTAは両者の”妥協点”を探って行くことになるのだが、少なくとも両者共に相手に譲る気配は全くない。FIA側は通達通りの案を、FOTA側は自らアレンジした案を盾に、6月12日のエントリー発表ギリギリまで議論が重ねられることになる。
ただ、如何なる結果になろうともグランプリは続いて行く。そこにロマンとスペクタクルがある限りは。
「我々の提案が受け入れられなければ選手権に出るつもりはない」’09年5月/FOTA