オリジナル リリース-スクーデリア・トロ・ロッソ【イギリスGP(木)】
◆帰ってきたシルバーストン
楽しい時間が早く過ぎるという見方をすれば、ドニントン・パークでのイギリスGP開催は大成功だった、ということになるだろう。シルバーストンでF1のレースが開催されなくなってから1年以上が過ぎたとは、とても思えないからだ。もちろん、その間には様々なことがあり、ほとんどのファンは、やはりシルバーストンで開催されてこその英国GPと考えている。
シルバーストンでのGP開催が実現したのは、このサーキットを強力に支援し、オーナーである英国ドライバークラブの活動を高く評価してきたバーニー・エクレストンの存在があったからこそだろう。素晴らしいレイアウトのメディアセンターやベネチア風の陸橋、レンガ作りのトイレなど、伝統的な建物の多くがそのまま使われることになったのも、エクレストンの影響かもしれない。英国ドライバークラブの存在感は、ツィードのジャケットに帽子という昔ながらの服装をした紳士たちが集うグッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードやグッドウッド・リバイバル・ミーティングなどにも顕れている。コース・レイアウトには変更が加えられ、観戦施設も新しくなったのは残念なことで、あまりに多くの観客が詰めかけ、そのあたりの景観が一変してしまわないことを祈るのみだろう。
シルバーストンがF1カレンダーに復帰したことで、トロ・ロッソはモンツァに次ぐ2番目のホームレースを手にすることとなった。ビチェスターの風洞実験施設が、サーキットからほど近い場所にあるからだ。トロ・ロッソはサーキットの周辺を取り巻く食べ物の屋台とも深く関係している(ここでの食事は、5つ星レストランに勝るとも劣らない楽しみを味わわせてくれる)。観客席の近くでは、いたるところでチーズバーガーが提供されており、スクランブル・エッグのオープンサンドは今でも1〜2を争う人気メニューとなっている。
日曜に行われるレースへの関心は、南アフリカで行われているサッカーのワールドカップと二分されることになるだろうが、会場を訪れたファンのために、シルバーストンのコース周辺にある巨大スクリーンには、イングランドかウェブリーでドイツを破り、ワールドカップの王者となった1966年の試合の模様が映し出される。今年のレースも熱戦が予想され、その内容によっては、ドニントン・パークでイギリスGPが行われていたことなど、すぐに忘れられてしまうだろう。もちろん同じ日にドニントン・パークへ出かけて行くのも一興で、そこではいつもの日曜市が開催されているはずだ。