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タイヤと燃料が波瀾のドラマを演出–2016スーパーGT第2戦決勝

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レース序盤、青いカルソニックIMPAL GT-Rがレースをコントロール。2年ぶりの優勝目前に星野監督を愕然とさせる事態が待っていた。

ゴールデンウィーク真っ只中の5月4日に、85000人を集めて静岡県御殿場市の富士スピードウェイで行なわれたスーパーGT第2戦『FUJI GT 500km RACE』は、波瀾万丈を絵に描いたようなレースだった。

雨の予想から一転、青空に見下ろされて午後2時にスタートしたレースは、タイヤと燃料がドラマの主役になった。

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まず、ブリヂストン・タイヤを履くゼッケン12、J.P.DE.オリベイラ/安田裕信のカルソニックIMPAL GT-Rが、ポールポジョンからレース前半を完璧にリードしていた。

波瀾の幕開けは、110周レースの78周目にやってきた。ブリヂストン・タイヤのゼッケン100、山本尚貴とコンビを組む伊沢拓也のRAYBRIC NSXコンセプトGTの左りやタイヤが、皮肉なことにアドバン・コーナー(ヘアピン)手前でバースト!

伊沢拓也は無事だったが、バーストしたタイヤがリヤカウルをたたき割って破片がコースに散乱、セフティカーが導入された。

このセフティカーがレースを大きく動かすことになった。セフティカー導入のタイミングが、多くのチームにとって二度の給油が義務づけられたルーティンのタイミングにピッタリマッチしてしまったからだった。

今年から、セフティカー出動中にはピット作業にはペナルティが着けられることになった。

その結果、まずは予選2番手から、本山哲と千代勝正の巧みなドライビングでレースを進めていたS Road CRAFTSPORTS GT-Rがペナルティ覚悟でピットインを強いられ大きく後退。ギリギリの燃料でセフティカー解除後のピットインを待っていたZENT CERMO RC Fが、78周目のセフティカー解除から再スタートの周に燃料が底を突いてストップしてしまう。

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ミシュラン・タイヤで優勝にひた走る松田次生/ロニー・クィンタレッリのMOTUL AUTECH GT-R。タイヤがレースを決めた。

このタイミングは、セフティカー導入で、11秒差を台無しにされたカルソニックIMPAL GT-Rと、直後に迫ったMOTUL AUTECH GT-Rのトップを争う2台の”運命”も握ることになった。

セフティカー明けに2台はピットインしたが、NISMO陣営の迅速なピット作業でMOTUL AUTECH GT-RがカルソニックIMPAL GT-Rの前でコースに送り出した。しかし、予選から安定した速さと強さを見せていたブルーのカルソニック・カラーは、J.P.DE.オリベイラの見事なドライビングと相まって、ゼッケン12はクィンタレッリがステアリングを握るMOTUL AUTECH GT-Rに追いついて96周目に逆転、トップを奪回して終盤を迎えた。

ところが、ゴールまで3周となった107周目に、チェッカードフラッグ目指してトップを快走していたJ.P.DE.オリベイラを不運としか表現できないタイヤバーストが襲った。伊沢拓也のNSXと同じく、左後ろのブリヂストン・タイヤが音を上げて高速100RでJ.P.DE.オリベイラはブルーのGT-Rのコクピットを降り、コースサイドで頭を抱え込むことになった。

優勝したロニー・クィッタレッリとのコンビで優勝した松田次生は、表彰台最上段を喜びながらも、カルソニックIMPAL GT-Rのタイヤバーストでの勝利を「複雑」と表現した。MOTUL AUTECH GT-Rはミシュラン・タイヤを履いていた。

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一方、GT300は、激しい闘いの末、ポールポジョンからスタートして序盤のペースをコントロールしていたARTA BMW M6 GT3を、ヨコハマ・タイヤを履くB-MAX NDDP GT-Rが逆転、星野一樹とヤン・マールテンボーロが歓喜の優勝、マールテンボーロは、2戦目の優勝を「信じられない」と喜んだ。

次のレースは、オートポリス戦が、熊本震災の影響で開催が見合わされていることから、2カ月半後の7月の菅生。今回以上にタイヤに厳しくなる真夏のレースがどう展開するか、注目されている。

◆GT500トップ10
 1. MOTUL AUTECH GT-R(MI) 松田次生/R.クィンタレッリ
 2. DENSO KOBELCO SARD RC F(BS)H.コバライネン/平手晃平
 3. KeePer TOM’S RC F(BS)J.ロシター/平川 亮
 4. au TOM’S RC F(BS) 伊藤大輔/N.キャシディ
 5. WAKO’S 4CR RC F(BS) 大嶋和也/A.カルダレッリ
 6. ARTA NSX CONCEPT-GT(BS) 松浦 孝亮/野尻 智紀
 7. S Road CRAFTSPORTS GT-R(MI) 本山 哲/千代勝正
 8. WedsSport ADVAN RC F(YH) 関口 雄飛/国本雄資
 9. フォーラムエンジニアリング ADVAN GT-R(YH) 佐々木大樹/柳田真孝
10. Epson NSX CONCEPT-GT(DL) 中嶋大祐/B.バゲット

◆GT300トップ10
 1. B-MAX NDDP GT-R(YH)星野 一樹/J.マーデンボロ
 2. ARTA BMW M6 GT3(BS)高木 真一/小林 崇志
 3. VivaC 86 MC土屋(YH) 土屋武士/松井 孝允
 4. UPGARAGE BANDOH 86(YH)中山 友貴/山田 真之亮
 5. GAINER TANAX GT-R(DL)A.クート/富田 竜一郎
 6. JMS LMcorsa 488 GT3(YH) 都筑晶裕/新田守男/脇阪 薫一
 7. Hitotsuyama Audi R8 LMS(DL)R.ライアン/藤井 誠暢
 8. triple a ランボルギーニ GT3(YH) 細川慎弥/佐藤公哉/飯田 太陽

 9. TOYOTA PRIUS apr GT(YH) 永井宏明/佐々木孝太
10. DIJON Racing GT-R(YH) 高森博士/田中勝輝/青木孝行

※MI=ミシュラン/BS=ブリヂストン/YH=ヨコハマ/DL=ダンロップ

[STINGER]山口正己
photo by [STINGER]
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