多重クラッシュでウィッケンズ重傷–2018インディカー第14戦決勝
金網を引きちぎる酷いアクシデントで病院に運ばれたロバート･ウィッケンズ H。命に別状なしだったが、緊急手術を受けた。
2018年8月19日、ペンシルヴァニア州ロングポンドのポコノ･レースウェイで行なわれたインディカー第14戦の決勝レースで、二度に渡ってアクシデントが起き、ロバート･ウィッケンズが病院に搬送された。
ABC Supply 500は、スタートラインを横切る前にグラハム･レイホールがスペンサー･ピゴットに追突。いきなりフルコースイエローが出、7周目にリスタートしたが、その直後に多重クラッシュが勃発した。
ライアン･ハンターレイの左後輪にロバート･ウィッケンズの右前輪が軽く接触、ハンターレイは、スピンしてウォールに激突してコースに跳ね返され、ウィッケンズはハンターレイのフロント部分を飛び越える形で空中に弾かれ、フェンスに当たって激しく回転してコースに戻り、後続を巻き込んだ。
ロバート･ウィッケンズは、ペンシルバニア州アレンタウンのリーハイバレー病院にヘリコプターで搬送され、命には別状ないものの、肺や両手、両足を損傷を負ったことが確認され緊急手術を受けた。アクシデントに巻き込まれた他のドライバーは、トラックの内の医療センターで検査を受けた後に解放された。
アクシデントは、ロバート･ウィッケンズ以外に、ジェイムス･ヒンチクリフ、ピエトロ･フィティパルディ、ライアン･ハンターレイ、そして佐藤琢磨を巻き込んだ。レースは、ロバート･ウィッケンズが当たった金網などの修復作業を終えた2時間後に再開。アレクサンダー･ロッシが優勝した。
10番グリッドからスタートした琢磨はブールデを抜いて9番手に浮上したところで多重クラッシュに巻き込まれ、メディカル･センターでケガを負っていないことが確認され、今後のレースに出場してもいいと判断されたが、今回はリタイア。正式結果で21位と認定された。
佐藤琢磨のコメント
「ライアン･ハンター-レイがウォールと接触するのを見た瞬間、スロットルを緩めましたが、ヘルメットやマシーンにオイルを浴びてしまい、まっすぐウォールに向かっていき、できることは何もありませんでした。この事故には多くのマシーンが巻き込まれましたが、500マイルでこのようなことが起きたのは残念です。いまは、ケガをしたほかのドライバーのことが心配です」
「サイドbyサイドになるとアドレナリンが沸きだし、少しでも速く走りたくなるのは自然なことですが、問題は、かつてただのキンク（緩い“くの字”のコーナー）だったターン2にあります。以前はここをサイドbyサイドのままフラット･アウトで駆け抜けるのは何でもないことでしたが、今シーズンからはダウンフォースが減らされ、しかも路面がとてもバンピーなので、細心の注意を払って走行しなければいけません。僕はブールデとサイドbyサイドになったので、コーナーに進入するところではスロットルを戻してブレーキングしましたが、僕の前でロバート（ウィッケンズ）とライアン（ハンターレイ）が接触したので、僕にコントロールできることは何もありませんでした」
次戦は8月25日にゲートウェイ･モータースポーツ･パークで開催される。
【STINGER】
photo by Honda
