「ここからはみんな仲悪くなりますよ(笑)」–インディ500最終フリー走行終了後会見
充実の表情の佐藤琢磨。
5月26日11時から、日曜日の本番に向けて、カーブデーと呼ばれる最終プラクティスが行なわれた。
トップのカストロネベスに続いて、2番手の琢磨。今日も、先週確認した好調を持続する結果だった。
会見場に呼ばれ、アロンソと並んで英語の会見の後、日本のファンに向けてレースへの状況を、ジョークを交えながら、充実の表情で語った。
—-流れはいかがですか?
琢磨:今日は、ガーニー・フラップの違う種類を付けたりして、ドラッグとダウンフォースの関係も確認できたし、いろいろトライできてよかったです。
—-ヒンチクリフのエンジンにトラブルが出ましたが。
琢磨:でも大丈夫でしょう。
アロンソ:(突然、背後から)ガンバッテ!!
琢磨:お〜(笑)。
—-クルマの仕上がり具合は?
琢磨:いままでは、月曜日とカーブデーで思わぬサプライズがあって(笑)、セッティングを変えなければならなかったりしましたが、今回はそれもないです。
—-あとはスタートするだけ?
琢磨: そうですね、レースですから何が起きるか分らないですが、それと、コンディション次第ですね。日曜日の天気予報がよくないですが、今日のミーティングで5時半が最終スタートで、8時まで明るいので、レースはできます。
—-かなり万全感が強いですか?
琢磨:まぁ、でも、通常はこういう状態なんでしょうね(笑)。
—-いつも苦労が多かった?
琢磨:ここまで非常に順調にいっているので、(今回は)大丈夫です。
—-日本のファンの期待も高まっていると思いますが。
琢磨:まだ飛行機、間に合いますよ!!(笑)。
アロンソ:(再び背後を通り掛かって)ガンバリマス!!
琢磨:はいはい(笑)。
—-今日が終わると、日曜日のスタートまで走らない。通常の感覚だと、コンディションも変わってしまって、と思いますが、先週の長いフリー走行で、その辺りのデータもしっかり取れたと思っていいですか。
琢磨:そうですね。もちろん、6台のチームメイトを活かして、セッティングもいろいろ分けて、さらには、6台別々ではなくて、AA、BB、 CCのような分け方や、気象条件風向きなどで、たとえばAAとACを同じコンディションで、いろいろな状況を想定して走らせて、どんな状況でもカバーできるようにチームとしてやってきました。
それぞれ、個体差というか、ドライバーの好みもあるので、フィルターをかけますが、6台とも非常に似通ったクルマになっているので、テストの上で一番いいところを取れるようになってきたと思います。
(先週の長い)プラクティス予選を通じてできたので、月曜日に最終確認をして、今日それぞれのベストな組合わせで走りました。
—-チームの6台でグループランは、イルカが仲良くランデブーをしているようで非常にいい感じでした。それは今年6台のチームになって始めての経験だったのですね。
琢磨:初めてですね。これまではトラフィックは探して、それも燃料の制裁状況やタイヤのエイジ(使い込みの違い)の違いがある中でのことでしたが、今年は合わせ込むことができるので、お互いが、リスペクトしながら走れたので、非常に”優しい”トラフィックランでした。実際のレースは、もっともっと下に降りて来るし、エアをカットしたりできるので。そういう状況を想定しながらのグループランでしたのは、これまでにない経験でした。
—-先週のプラクティスを見ていて、いい感じの仲間を感じてほのぼのとしましたが、ここから後は、敵になります。
琢磨:あぁ、ここからはみんな仲悪くなります(笑)。
冗談ともかく、お互いのことを考えて、というのはありますけど、その関係で重要なデータが取れてそれが自分に跳ね返ってくるので、だれも、一人で違うことをやることはなかったです。
—-レースではどうなるでしょう。
琢磨:最初の100ラップは、お互い、燃費も含めて無理なことはしないで、100から150周にかけては、みんな無理しないと思います。ポジションニングをしっかりやって、最後の50〜30周は、みんな100%いくと思います。
—-展開的には、ずっとリードしたい?
琢磨: したいですけど燃費が相当厳しいので。でも、1回は試しで前に出てみたい、というのはあります。それができたら、3〜4番手から4〜5番手がいいと思います。空気の流れとしてもキレイだし、なにかあってもフロントグループだし。
—-他の人もみんな同じように考えてますね(笑)。
琢磨:あはは、そうですね。
—-クルーの気合の入り具合はどうですか。
琢磨:非常にいいですね。
—-楽しみにしています。
琢磨:ありがとうございます。
[STINGER]山口正己
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