WTCC日本ラウンドに参戦する道上龍を直撃!!
久々のレースに思わず笑顔。
9月4日にツインリンクもてぎで決勝レースを迎えるFIA世界ツーリングカー選手権(WTCC)第9戦に、道上龍が、Honda Racing Team JASの4人目のワークスドライバーとして、シビックでスポット参戦することが決まった。
2014年のGT300以来の久々のレース参戦が決まり、興奮気味の道上に訊いた。
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6月26日、ポルトガルでティアゴ・モンテイロが、ポールポジョンから地元優勝を決めたWTCC第7戦の日、日本の時間は明け方に道上に電話がかかった。「乗ってみないか」という、突然の、そして久々のオファーだった。
「寝ぼけていたこともあって、最初は意味がわからなかったんですけど(笑)、とにかく乗れ、ということだったので、”少し考えさせてください”と伝えましたが、数時間後には、スペインのバルセロナに行く決心をしていました」
「レースは久々になるので不安もありました。クラスとして
は、シビックで走っていたJTCCと同じだけれど、当然、当時よりパワーは上がっているし、速くなっているはずですから。まずはブランクが心配でした」
道上は、あくまで久々のレーシングドライブを楽しめるテストのつもりでバルセロナに向かった。しかし。
「テストだけのつもりで行ったんですが、現場に行ったら、なんだかすべてがレースに出る算段で動いていまして(笑)」
「実際に走ってみたら、心配していたより走れました。まだまだ走り足りませんが、GT500やスーパーフォーミュラでの経験もあり、スピード勘自体は直ぐに取り戻せましたし、なによりクルマが素晴しく安定していて乗りやすいんです」
クルマもサーキットも初めてでしたが、レギュラードライバーから1秒離れることもなく、現場の評価も上々だった。
「ボクとしては、厳しい評価をしてください、とお伝えしたのですが、(プロジェクトリーダーの)堀内さんも、イケルイケル、レースでも一桁いけるよ、みたいな感じで、まぁ、ハメられたというか(笑)」
「前輪駆動はJTCCのシビックで経験していますが、今回のクルマも、入り口オーバー、出口アンダーのFF特有のクセがありました。ターボのブ-ストがかかった状態の400馬力近いパワーの領域でのコントロールとか、もっとツメたいところがあります。それと、テストの時に気温が35度くらいあったこともあって、室内が熱いので、これから1カ月半、体力的な準備もしていきたいと思います。本番の前にもう1回テストで走れたらいいんですが、シミュレーターでもできる限りトーレニングをしてもてぎに臨みたいです」
「レースまで1カ月半、期待よりもまだ不安の方が大きいですが、楽しめるレースにしたいです」
今回の決定に対して、堀内大資シビックWTCC開発プロジェクトリーダーは、「ホームレースで、スポット参戦とはいえ日本人ドライバーにドライブしてもらうことができ、非常にうれしい」と前置きして、以下のように続けた。
「長年Hondaのクルマに乗っている道上選手なので、バルセロナテストでは、すぐにFF車の特性に合わせた感覚を取り戻してくれて、レギュラードライバーのハフやモンテイロと遜色のない走りを見せてくれました。もてぎラウンドまであまり時間はありませんが、JASモータースポーツと協力し、全力でサポートしていきます。日本のファンの皆さまにいい走りを見せてくれることを期待しています」
道上龍:全日本ツーリングカー選手権、全日本選手権フォーミュラ・ニッポン、SUPER GTなどで通算11勝、11回のポールポジションを記録。2000年に全日本GT選手権の年間チャンピオン。2014年からスーパーフォーミュラシに参戦する「ドラゴ・コルセ」を結成、2015年からはSUPER GTの監督を務める。
photo by HONDA